Michael Lewis「Moneyball」

Moneyball: The Art of Winning an Unfair Game

Moneyball: The Art of Winning an Unfair Game

やはり原著で読むと時間がかかるな。まあその分読後感は爽快なんだが。

本書は副題の「The Art of Winning an Unfair Game」が表すとおり、実在する米野球チームthe Oakland Athleticsが、如何にして少ない予算の中で数多くの勝利を掴みとっていったのか、について書かれているドキュメンタリーである。著者のMichael Lewisは大好きな本であるニュー・ニュー・シングの著者でもあるだが、プロ野球チームの予算と勝利数の関係に着目して「なぜオークランドは予算も少ないのに、こんなに試合に勝てるのだろう」という疑問を抱き、この取材に身を投じたようだ。

オークランドのゼネラルマネージャーであるビリー・ビーンがこの物語の主人公である。彼は類稀な運動神経を持つプロ野球選手であったが、自身の現役時代の経験とあるレポートとの出会いから、独特のチーム運営方法、ドラフトする選手の選別方法を育んでいく。彼の側近にいるのはベテランスカウトマンではなく、ラップトップを常に持ち歩く経済学を学んだビジネスマン。「打率」よりも「出塁率」に注目する。そこらへんにこの物語の鍵がある。

話は逸れるけど、米国人は本当に数字が好きな人間が多い。日本にもプロ野球やサッカーが好きな人間は山ほどいるけど、一度として彼らが数量的な分析をしているのを見たことはないな。自分自身スポーツ観戦があまり好きではないので気持ちは分からないが、そんな分析してたらシラけてしまうのかも。

日本語版(マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男)も出版されているので、野球好きな方はどうぞご一読を。

以下はこの本に関連する梅田さんのエントリ。

「メジャーリーグを楽しむための経済感覚と歴史感覚」
http://www.mochioumeda.com/archive/president/040315.html
「ソフトウェア開発の組織論を野球に学ぶ」
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/000718.html