
- 作者: 高安秀樹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2004/09/18
- メディア: 新書
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やばい。なんだこの本、滅茶苦茶面白かったぞ。久しぶりに味わったこの知的興奮。是非とも皆さんも味わいなされ。たったの760円、250ページ強ですから。
本書は経済現象(本書では主に為替の変動を扱っている)を物理学的手法による解明を試みる新しい分野、経済物理学(エコノフィジックス)について解説した本である。フラクタル、ベキ分布、カオス。物理学者の目から見れば、経済情報の中に物理現象と似た現象が頻繁に観察出来る。そしてある経済的な問題(例えばインフレとかバブルとか)に対する解法も、物理学的手法により導き出せる可能性がある。そういった「経済を研究している物理学者」のお話である。
個人的な話になってしまうが、「経済物理学」という言葉を初めて知ったときは嬉しかった。「人間の行動をマクロに見たときに、物理の法則に似たある決まった動きが見られるのではないか」という考えをずっと持っていたからだ。そのことについて考えるとき、大学で勉強した統計力学を思い出したものだが、その考え方があながち間違っていなかったこともこの本を読んで分かった。さらに経済学を学ぶと誰もが抱く「そんな上手いこといくんかいな」的なもやもや感を見事に祓ってくれる可能性のある学問であることもこの本を読めば分かる。今まで読んだ経済学の本とはすっきり度が違う。この感動を無くさないうちに、高安先生の他の書籍にも手を出したいところだ。
この分野のさらなる発展を望む。