斎藤孝「座右のゲーテ」

座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)

座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)

斎藤先生の著書も、本屋に行って目に入らないことはないですね。一冊買っちゃいましたよ。

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本書は斎藤先生がゲーテの示唆に溢れる言葉を元に考え、咀嚼し、実際の活動(仕事とか)のレベルにまで落とし込んで我々にアドバイスを与えてくれるものである。

  1. 集中する
  2. 吸収する
  3. 出会う
  4. 持続させる
  5. 燃焼する

とテーマを分けて、それぞれに対してゲーテの言葉をいくつか挙げている。さすがにここでゲーテの言葉をたくさん引用するような真似はしないが、刺激を受けたものをひとつ。
pp.98

人はただ自分の愛する人からだけ学ぶものだ。

「3.出会う」の中に出てくる言葉。斎藤先生曰く、自分と性分が合い、情熱の湧くような相手からではないと、本当に大事なものは学べないのではないかということ。「好きこそものの上手なれ」ではないが、自分が本当に「素晴らしい」と思う相手からでないと、人間中々学べないものである。反面教師という言葉と矛盾しなくもないが、そういうことだろう。仕事で言えば「この人は尊敬できる」と思う人を見つけ、なるべくその人のそばで働くというのが成長の近道だということだろうか。

本書で挙げられていた中だけでも、ゲーテの言葉に「これって矛盾してんじゃん?」と思うものもあったが、そんなつまらないことに引っ掛かってしまうよりは、「この考え方はこういうケースで。こっちはああいうケースで」と場面を想像しながら、ゲーテの言葉を自分の血肉に変えていくほうが有益だと思う。是非素直な気持ちで読んで欲しい。あまり関係ないけれど、斎藤先生の文章からはとても「素直」という印象を受けたこともここに書いておく。