
- 作者: 藤原正彦,小川洋子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/04/06
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 61回
- この商品を含むブログ (251件) を見る
「国家の品格」×「博士の愛した数式」対談。
—–
どうやら二人はゆかりがあったらしく、「博士の愛した数式」が生まれたきっかけに藤原先生が絡んでいたようだ。その詳しい内容はさすがに書きませんけれど、知りたい方はご購入あれ。
小川さんの素朴な疑問をきっかけとして、藤原先生が「いかに数学というものは美しいのか」、もっと言えば「美しいということがどうして数学なのか」についてやさしく解説してくれる内容となっている。本質的には難しい話をしているんだけど、その中から易しくて美しい部分を拾って藤原先生が話してくれているので、特に頭を悩ますような記述はありません。
藤原先生は完全に数学を「美学」と捉えている。学校の教科で言えば美術や音楽と同列の捉え方をされているようだ。あとがきを読むまで分からなかったが、「実学(すぐに役に立つこと)」の教育ばかりに重きをおく現在の教育体制に対する批判も本書には込められていたようだ。「数学」の役割、というかそれが我々に与える影響をひとつに限定する必要はないと思うし、数学が役に立つ部分も、役に立たない部分もある。だが藤原先生も仰っているように、人間には「美しいものを見たい。美しいものを知りたい。美しいものに触れたい」という欲求がある。そして藤原先生のように数学を説明できる先生がもっと増えれば、「数学ってなんて美しいんだろう。もっと知りたい」という子供達は増えるはずなのである。あとはそれだけで勝手に話が進んでいくと思うのだが。
それにしても意外だったのは、小川さんが「数学が苦手だった」ということ。「博士の愛した数式」はまだ読んでないのだが、数学が絡む話を書いているので数学が好き、または得意な人間なんだろうと思い込んでいた。勝手にビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡を重ね合わせていたようだ。博士の愛した数式は早くも文庫本になったようなので、今度購入してみます。