
- 作者: 山本啓二
- 出版社/メーカー: 日経BP出版センター
- 発売日: 2004/11/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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日本のIT業界が抱えている問題の一つとして、若い技術者に将来の姿を示しづらいというのがあると思う。その現状に少しでも光を差そうという著者の意図には好感を持つものの、中身は正直読ませるものではなかった。
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著者は本書で、所謂プログラマやSEと呼ばれる人達の将来の姿として「アーキテクト」という役割を提示している。著者が提唱するアーキテクトとは、要はシステムやソフトウェア作りの際、「技術的な観点」からリーダーシップをとり、例えば使用するOSや言語の決定、フレームワークの決定、後輩プログラマの指導、技術的な観点からの営業補佐などといった役割をこなす人物である。
本書ではそのアーキテクトの役割を、システム開発の物語に沿いながら説明している。この物語は何となく、現場に居る人間からすると(著者も現場の人間のようだが)「そんなに上手くいくんかいな」的な部分はあるのだが、まあ今回提唱するアーキテクトの役割を説明するには十分な内容。
著者も最期に書いているが、アーキテクトと横文字にするとカッコいいけれども、実際は大工の棟梁のような役回りであり、「技術を極めたっていいじゃないか」と表紙にはあるものの、技術力というよりは、相当の人間力を必要とされる役回りであり、そういった意味では従来の課長とか部長とかそういう存在と変わらないんじゃないかと思った。そういったポジションとの違いをもう少し明確に説明されていると、より分かりやすかったかもしれない。
米国と違い、日本ではソフトウェア会社でも「チーフアーキテクト」とかそういった存在を聞くことは少ない。でも役割はどうあれ、若い技術者の目標となるようなポジションが分かり易く明示されているだけでも意味あるとは思うので、今後そういった人間、つまり会社が認めた「抜きん出たエンジニア」が出てくること願う。