内藤誼人「人生相談は「不幸な人」にしよう」

人生相談は「不幸な人」にしよう 心理学に学ぶ意外な日常の法則 [ソフトバンク新書]

人生相談は「不幸な人」にしよう 心理学に学ぶ意外な日常の法則 [ソフトバンク新書]

慶応大学の博士を持っているような学者さんが、このように一般人レベルまで降りてきて本を書いてくれるケースも珍しいのではないか。

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本書は日常の中に潜む面白い心理的要素を、様々な学者さんがまじめに研究した成果をまとめたものであるが、はたから見てるとその研究成果は「酒の肴」のようなネタの様な話ばかり。心理学を含めて、学問の入門書というものは得てしてつまらないものであることに問題意識を持つ著者が、世間一般の人でもまず「面白そう」という入り口から心理学に入ってこられるようにこのようなネタ的かつ真面目な研究成果を集めたようだ。
例えば以下のような研究成果がある。いかにも酒の肴になりそうだろう。

  • 人生相談をするなら、「不幸な人」にかぎる
  • 私たちは、自分にだけ”甘い点”をつけたがる
  • 臭い部屋では、人は怒りっぽくなる
  • 人間の記憶装置は、とてもいいかげん
  • 私たちは、似た名前の人を好きになる
  • 嫌われ者ほど、交通事故をよく起こす
  • 親の出産年齢が早いと、子供もなぜか早くなる
  • 朝方人間のほうが、試験でいい点をとれる
  • 業績悪化の理由を言い訳している会社は、1年後に株価が下がる

などなど。このような内容が8章に渡ってたくさん書かれており、当分は飲み屋でのトークに困らないんじゃないかと思うほどだ。
本書は何もネタ的な話ばかりではなく、ビジネスや実生活で役に立つと思われる内容もたくさんある。だが大事なのは、このような結果を近視眼的に自分の行動指針として採用するのではなく、自分の考えで行動することを基本とし、このような研究結果を自分が物事を考えるうえでの材料とすることだろう。