ぺ・ヨンジュン氏と草磲剛氏にノーベル平和賞を

韓国に行って非常に強く感じたことのひとつに、韓国の対日感情の良さ、がある。韓国と言えば中国と並んで歴史問題が常に議論の俎上にあり、経済的には良好な関係にあるものの対日感情が悪い国であるかの様にマスコミが取上げる国である。だが、韓国の対日感情は良い。僕が今回出会った韓国人は観光業を生業としており、僕が客という立場だったことを差っ引いても断言できる。今の若者が韓国の中心となる時代には、両国は非常に良い関係を結べるはずだ。
そして何と言っても、その未来へのドアを抉じ開けた存在として、ぺ・ヨンジュン氏と草磲剛氏の貢献は忘れることは出来ない。

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つい最近まで韓国にとって日本は、そして日本にとって韓国は「よく分からない国」であったと思う。10年前の日本人に「韓国人で知っている人を挙げてみろ」と質問しても、せいぜい時の大統領の名前が返ってくるくらいのもので、まったく知られていなかったはず。それは韓国でもおそらく同様であったであろう。そしてひとりも相手国の人間を知らないが故に、マスコミが好き勝手に垂れ流すイメージや、教科書で語られる残酷な人間像を丸呑みし、勝手に嫌うという「食わず嫌い」な状況に陥っていたと思われる。
その状況を二人が打開した。日本人はどういう人間か、韓国人はどういう人間なのか、互いに知ってみよう、食わず嫌いだったけど色々と知るようにしようという意識を相手国にもたらした。勿論二人がそんなことを意図していたとは思えないし(草磲氏は語学に関しては相当な努力をされていたようだが)、まったく偶然の副産物ではあろうが、二人の貢献は大きい。タイトルにあるようなノーベル平和賞は正直言いすぎだが、何かしらの形で国が表彰しても良いかもしれない。あるいは既にされているのであろうか。
今思うと、二人がいわゆる「かっこいい系」ではなく「和み系(癒し系)」のキャラであることも偶然ではないような気がする。相手がまったくどういう国なのか分からない状況で、人がまず触れたいと思うのはクールな美男子よりも、接し易いタイプの人間であろう。そのニーズに両者はピタッと嵌ったんじゃないかと思う。
マスコミは色々と騒ぐし、テレビでは一部の活動家や政治化の話のみが取上げられるので、相変わらず両国の関係はよくなっていないような印象を受けることはある。しかし少なくとも僕は、自分が現地で受けた感触から、両国の関係が今後良好になることを確信している。現在、韓国から日本に旅行に来る方は大変多いようだが、その方達にも僕と同じような感想を持って日本に帰って頂きたいものである。