江國香織、辻仁成「冷静と情熱のあいだ」

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

同名の映画はいつだかに見たが、ブックオフの105円コーナーにあったので何となく購入。二人の著者が交換日記のように物語を書き上げていくという手法は面白かったものの、やはり内容は女性向けかなというところ。

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ストーリー上しょうがないところはあると思うが、主人公達の過去に引き摺られた描写が多く、少し読んでいて湿っぽい気持ちになってしまう。物語の中ではずっと雨が降っていたんじゃないかと錯覚すら覚えた。なんというか「後ろ向き」な本である。
また、せっかくイタリアという美しい街を舞台にしている割には、描写によってそれが伝わってくるということはなかった。確か映画の方はその辺りに気を使ったつくりになっていた記憶がある。このあたりは好みの問題かもしれないが。
比べるものではないと思うが辻氏のBluの方が読み応えはあった。おそらく江國のRossoよりも多少物語りに動きがあったからであろう。