
- 作者: 会田雄次
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1973/11/10
- メディア: 文庫
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僕は日本人として、この本に対してどういった感想を持つべきか。
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僕が一番興味があるのが、この本で詳述されているような英国人(当時は英国人に留まらず、白人全般に遍く浸透していたのかもしれないが)の日本人及び黄色人種に対する優越感は一体どこから発生したものかということだ。これが極めて自然なものであっととの著者の指摘はおそらく当たっていると思うので、誰かしらにそのような教育を受けたというわけでもなければ、ドイツ人のように扇動されたということでもないのだろうと思う。極めて自然なもので「普通に」優越感があるのだ。
「現代は平和な時代だから」と思考停止に陥ることなければ、このときに両者が感じた「強い優越感」と「激しい劣等感」は現在にも禍根を落としているだろうと考えるのはむしろ当然だと思う。例えばインドがITにて勃興しようとしているが、「ついに帝国に勝てるときがきた。それがIT社会だ。」という意識でインド経済に貢献している者もいると何かで読んだ記憶がある。まあ憶測であーだこーだとこういう「人種」に関する話題を色々と書いてもいけないんだろうけど、たかだか60年とか前のことな訳で、「この本に書いてあるのは昔あった悲惨なこと。戦争はだめだね。」という短絡的な考え方だけはしたくない。
個人的に昭和史に非常に興味があるのだが、その理由は「敗戦を代表とする、昭和に日本人が受けた強いショック」が今の我々にどのような影響を及ぼしているのか、そしてこれからの日本人にどのような変化をもたらすのかに興味があるからである。例えば外交問題を考えるにあたっても、そういった考察は非常に有益なものと思われる。
こういう言い方は好きではないのだけれど、「日本人なら読んでおくべき」と思う一冊である。