梅田望夫、平野啓一郎「ウェブ人間論」

ウェブ人間論 (新潮新書)

ウェブ人間論 (新潮新書)

遅ればせながら読了。って発売と同時にAmazonから届いて一時間ばかしで読み終えてはいるんだけど、献本された方々が速攻で書評を上げておられるので、どうも今更感が強いなあと思いつつも書いてみるとしよう。

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「ウェブが人間をどのように変えていくのが」が主要なテーマだと判断した僕の読解力が間違っていなければ、正直本書についてまず最初に感じたのが「そんな難しいところから入るかあ、普通」という感想。難しいところって言い方もなんですが、要はウェブと狭義に捉えず、広義に「テクノロジーが人間をどう変えるのか」というところから考えていけば、科学の進歩により生み出されたテクノロジーやそれを応用した商品が人間の行動様式を変えてしまったなんて例はいくらでもあったであろうし、想像もし易いと思うが、そこら辺のアナロジーを使った切り口が通常この問題を議論する上での基本かなと思うんだけど、そういった切り口ではなく、なんというかお二人はウェブを特別視しているという感想を持ちました。多少脱線しますが、例えば携帯電話の普及なんかで「待ち合わせという行為の消失」みたいなことが今の若い子の間では起きていて興味深いと個人的には思っていて、むしろその辺りの話から議論に入った方が、どんな世代の人間でも「じゃあウェブは自分に何をやらかしてくれたのか」みたいなことを考えさせる良いきっかけになったんじゃないかな、と。例えばSNSが発展すると若い女の子の長電話も無くなるのかなーなんて考えたりとかですね。まあ梅田さんはもとより、平野さんも常日頃からウェブが人間に及ぼす変化を考え続けられているとのことなので、この辺から話を進めるのも野暮だと判断されてのことかもしれませんが。
まあお二人は初対面だったということもありましたし、8時間に及ぶ対談が2回とのことですけども、それも言っちゃえばまだたったの16時間。それもリアルの世界のマラソン対談のみ。今後はどうでしょう、ネット上で議論を深めてみては。もはやお二人の対談は商品価値を持ってしまいましたが、梅田さん自ら「ダークサイドに墜ちてますよっ」なんて素晴らしいツッコミを紹介なさっていたわけですし、今後恐竜の頭の方向にいってブログ読者全員からツッコミくらわないようにウェブ対談しかないでしょう。今回はマラソン対談だったかもしれませんけど、ウェブ対談なら将棋対談になりますよ。じっくり考えながら言葉を交わされてみては。
今まで興味なかったけど、平野さんの小説を一冊読んでみてもよいかもと思いました。