社内ゼネラリストが好きな日本。専門化が好きなアメリカ。

The New York TimesにGoogleの面白い記事を発見。

The New York Times : Google Answer to Filling Jobs Is an Algorithm

Desperate to hire more engineers and sales representatives to staff its rapidly growing search and advertising business, Google ― in typical eccentric fashion ― has created an automated way to search for talent among the more than 100,000 job applications it receives each month. It is starting to ask job applicants to fill out an elaborate online survey that explores their attitudes, behavior, personality and biographical details going back to high school.

コンピテンシーって言葉が人事を生業にしている人達の間で流行ったことがあるというのを聞いたか読んだかしたことがあるが、こういうのを数学的な手法だのを取り入れて大真面目にやってしまうところがGoogleの凄いところなのかもしれない。でも実は当エントリでは実はGoogleについて語りたい訳ではなく、この記事を読んで感じたことがあるのでそれについて書きたいと思う。

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というのは日本企業において採用について語られるとき、大学での成績なんぞ考慮されるケースはどれだけあるのだろうということだ。前提知識がない方のために一応書いておくと、記事中に出てくる「grade-point average」というのは(GPAと略されることが多い)4.0を最高点とする大学の成績のポイントの付け方で、ごくごく簡単に言ってしまえばオールAだったら4.0、オールBだったら3.0というような点数の付け方である(A,B,C,Dの四段階評価を基準としている)。僕は現在勤めている企業にて採用にある程度関わった経験があるが、成績証明書の提出を求めたこともなければ申告もさせていない。他の企業のことは知らないのであまり決め付けた言い方は出来ないのだが、就職活動中に提出させられた書類などから推測するに、成績を採用の判断基準としている企業はそんなに無いのではなかろうか。
この現状にはまあ日本企業の意識が当然見え隠れしている訳で、まあ企業に説明を求めれば返ってくる返答はおそらく「大学の成績と会社での成果は比例しない」とか「当社の研修で優秀な成績を修めることが出来れば問題ない」とか、まあなんだかそんなものだろうなと思う。これは仕事の細分化を出来る限り行い、そこにスペシャリストを割り当てる方式であるアメリカ方式とは違い、「その企業のやり方」というものを一から身に付けさせ、その企業の中では色々な役割をこなせるゼネラリストを生産するという日本方式だからこその採用なんだろうなと思う。MBA取得者が日本の企業に就職しても「活かしてもらえない」という感想を持つという話を聞いたことがあるし、大学院に行くよりも大学出てすぐ就職したほうが結果的に有利という就職活動時代に聞いた情報も、結局この文化から来るというか、専門家を専門家として使うことをしない日本企業の体質からくるものなんだろう。
個人的にはアメリカ型の方が好きだけれど、まあこれがどっちの方が良いとか悪いとかそういう果てしない議論を新年早々する気はない。ただですね、きちっと専門分野を規定し、その分野について深く勉強している、もしくはしようとしている若人の未来が開けていないような世界はちょっと嫌だな、と。そういう感想を持った訳です。例えばコンピュータサイエンス一生懸命勉強しようって学生がいて、「Googleに入りたいから」って言ってくれればなんか「ああ、いいな」って思うじゃないですか。日本でそういう一生懸命勉強したい人間に白けた現実がある、と僕は思っているのですが、そういうのも結局ゴール地点と思われている新卒採用時点での成績に対する企業の目線が冷たいというか、無視されているというかそういうものが大きく関係しているような気がする。
本日風邪気味かつ時差ぼけであり、勢い余って適当な内容のエントリを書いていることは書きながらも認識しているのだが、最後にひとつだけ。新卒の面接時に「学生時代に一番頑張ったことは何か」的な質問を持ち出すと、九割を超える学生がバイトかサークルなどのグループ活動を持ち出す。これは別に面接マニュアルに書いてあったからとか、そういう話ではなく、多分事実そうなんだろうと思うが、僕が面接官として、一番聞きたい答えはおそらく「大学では勉強に明け暮れてました」という答えだ。そしてその分野に対して適切な視点を持ち、適切な意見が言えるようであれば、その人間に対する判断をそこから行いたいと思うくらいだ。「お前は勉強したのか」と問われれば申し訳ありませんとしか言いようなないのだが、そんな突っ込みはまったく建設的ではないので誰に対しても言いたくないし言われたくもない。
ああ、なんだか2007年初頭からネガティブな内容になってしまったが、「勉強だけ出来ても使えない」と思っている人事担当者の方、自分が鋏を使いこなせてないだけか一度考えてみるべきと思います。