小室直樹「数学嫌いな人のための数学」

数学嫌いな人のための数学―数学原論

数学嫌いな人のための数学―数学原論

小室先生と言えば「○○原論」シリーズで有名だと思うけど、この本は副題にあるとおり「数学原論」らしい。原論の名に相応しく根源的な内容を扱っており、話題は宗教、歴史、経済と周り巡る。正直この本をタイトルを見ないで買ったとして、これが数学の本だと気付く人いないだろう。

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さて結局数学の根本とは何だろうか。それは「論理」である。少なくとも小室先生はそう見ている。数学とは人間が論理を追い求めてきた結果気付きあげた体系的な知識なのだ。例えば「神はいるのか、いないのか」など、根源的な問いかけをたくさんの人が今までしてきた訳で、結果としてそれが論理学を構築することとなったし、数学を構築するきっかけにもなった。そういう訳で「論理学ってなんじゃらほい」という方は一読の価値があると思う。色々と雑学的な話も多いので楽しみながら学べると思う。逆に数式大好きっ子が本書を読むと肩透かしをくらうのでご注意。
しかし途中で「必要条件と十分条件の取り違い」が話題にあったのだが、これは本当に日常でよく出くわす取り違いである。注意したいところだが、こういう問題の困ったところは、相手がこの概念を理解してくれていないと、その取り違いを指摘しても無駄なことである。