ティム・オブライエン「世界のすべての七月」

世界のすべての七月

世界のすべての七月

訳者(村上春樹氏)のあとがきに「今の若い世代の人がこれを読んだらどのように感じるのか知りたい」という様なことが書いてあったのだが、正直言うと1969年という時代を知らない僕にとっては、この同窓会の空気、この同窓会に集まった人間の考えなど、どれもしっくりこないことばかりだったように思う。しっくりこなかったから小説が面白くなかったとか、面白かったとかそういう話ではないのだけれど、全体としてはあまり楽しめなかった。
ただ小説の技巧的には面白く感じたのだが、長編小説の様でもあり、短編小説の様でもありというつくりになっている。僕はそんなに読書経験があるほうではないが、こういった作りの小説は初めて読んだ様に思う。
さて、この同窓会のメンバーに対する1969年の様な年が我々にもあるのだろうか。可能性としては2001年かな、と思った。衝撃的な事件があったし、あの年に我々の世代は社会に飛び出したのだ。従って一番印象的な年となっている可能性は高いかもしれないとぼんやり思った。