
- 作者: 串田孫一
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1990/01/01
- メディア: 文庫
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冒頭で著者も述べているが、神話というと一般的には「そこから何か教訓を得られるのではないか」というイメージを我々に抱かせるが、ギリシア神話からその様な教訓を得ようとするのは間違いであると思う。ギリシア神話は特に何かしらのメッセージを発している訳ではないただの物語であり、ジャンルに分類する必要があるのであれば「コメディ」に分類するのが一番妥当なのではないかというのが本書を読んだ僕の感想。繰り返される神々の暴挙、嫉妬、殺戮、闘争、感傷は読み進めていくほどに滑稽であり、僕の笑いを誘った。
これも本書の最後に著者が述べていたことそのままだが、「ギリシア神話を読みたいけれど、分厚くて難解そうな学術研究の対象になるような本はちょっと読みたくないけど、絵本みたいなギリシア神話もちょっと…」という方がいたら本書はお薦め。ページも文庫サイズで200ページ強と短めなので、まずはここからギリシア神話に入ってみると、その内難解な方向にも興味が出るかもしれない、そんな一冊。