梅田望夫「ウェブ時代をゆく」

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

献本御礼(嘘)
昨日開店から30分くらい経ったオフィスの近くの書店で購入したが、平積みされていた本書の「山の高さ」は随分と低くなっていた。ウェブ進化論の続編という位置づけ売り出しているようなので、当然と言えば当然の注目度なのだろうが、それでも「結構売れているんだな」というのがそのときの正直な感想。今更ながら少し驚いた。
さて内容についてである。全体的な印象について述べさせて頂くと、梅田氏は、使い古された表現ではあるけれど「数人を千歩動かすことより、数万人を一歩動かすこと」に力点を置いているのだろうな、と感じた。例えば野球の指南書に例えるとしたら、この本を読んだ誰かの内の一人が将来イチロー級のプレイヤーになるよりも、この本を読んだ人の多くが「じゃあ明日からキャッチボールでも始めるか」と思ってくれればいい、というような考えでやっている。そう感じた。そして多くの人がそのように軽くウェブに参入してくることで、ウェブ上の集合知も(少なくとも量は)増していくであろうし、マスコラボレーションも促進されていくであろう。彼はそういう世界を狙っている。そんなイメージを受けた。
本書の内容とは直接関係ないのだけど、この本を読んでいて「あるモノ(本書で言えばウェブ)が面白くなっていく為の条件」というものについて少し考えた。矛盾しているようだけれど、あるモノが面白くなる為には、そのあるモノを面白いと思う人がたある程度存在することが条件なのかな、と。例えば何故渋谷が若者にとって刺激的な街になっていったかというと(僕の感覚は古いかもしれないが)、渋谷が面白いと思って集まった若者がいたからであろう。なぜゲームが日本でどんどん進化していったかと言えば、それはゲームを面白いと思う人がたくさんいたからだろう。それと同じように、ウェブが面白くなる為には、もっともっと色々な人がウェブに興味を持ち、ウェブに集まってきてもらう必要がある。そうすることでさらにウェブが面白くなる、そして面白いから人がもっと集まる、そういうサイクルが必要な訳だ。つまるところ、梅田氏が狙っているのはそこだろう。ウェブに向かって万人を一歩踏み出させる。そういう本ですよ、これは。
よって「数人を千歩動かす」の数人に含まれるようなウェブに既に浸かっているタイプの人間にはそんなに面白い本ではないというか、某ブロガーが言っているように既知の話題で埋め尽くされているような印象を受けるかもしれない。
と、いうこと考えた今日は29歳の誕生日。今年一杯でこのブログのタイトルも変更だな。