猪浦道夫「語学で身を立てる」

語学で身を立てる (集英社新書)

語学で身を立てる (集英社新書)

「語学を勉強しよう」と思う方は是非読んでほしい。いや読みましょう。「語学で飯を食っていこう」という人にも勿論読んでほしいけれど、僕としては「語学を勉強しようと思っているけど、英会話学校とかに通わないといけないのだろうか」と考えてて、かつ知的レベルは高めだという方にこそ読んでほしい一冊。
経営破綻した英会話学校をはじめとした英会話学校のマーケティングの効果と、我々日本人の大多数が持っている欧米人へのコンプレックスのおかげで、日本の英語勉強感はまったくもって狂っていると思う。これは受験英語が間違っているとかそういう話を超えて、何の資格もない米国人の主婦のお小遣い稼ぎに高いお金を出して英会話を習いにいってしまったりとか、大学を出たばかりの適当な外国人を見繕った英会話学校に通ってしまうだとか、そういう「語学を勉強する事」に関する人々の思慮の浅さは多分とんでもないことになっている。きつい言い方のようだが僕はそう思っている。
誤解のないように言っておくが、本書はそういった世の中を批判している本ではない。ただまじめに、誠実に「語学でやっていくとはどういうことか、その為には何が必要なのか、語学で食っていっている人間はどういう人たちなのか、どうやって就職するのか、どうやって勉強するのか」といった事を書かれている。そしてこれらの情報は、「語学でやっていこうとまでは考えていないけれど語学を勉強したい」と考えている人間にもかなり有効なものである。是非一度読んでいただきたい。