基本的に商用言語って地頭が普通なら数ヶ月で覚えられるように出来ていて、逆にそうじゃなきゃ商売にならない。バッドノウハウを極めるには何年もかかるが、それこそ数年で廃れる技巧だし、会社に入って人柱として埋められてから積み上げれば済むことだ。大事なことはデータ構造とかアルゴリズムで、あとは社会に出てからの飲み込みを早めるに、オブジェクト指向っぽいCライクな言語*2をひとつぐらい覚えておけば良い。あとは大学なんだから、できるだけ世間で役に立たない才能の無駄遣い的な最先端技術に触れて、素晴らしい技術が流行るとは限らないことを思い知り、批判的な視座を持ちつつ頭を柔らかくしておいてくれることの方が重要だ。
今だから共感出来る文章だけれども、学生の頃というかちょっと前の僕でも共感が難しかったのではないかと思われる文章。この文面は主に大学批判だけれども、ちょっと学生側というかプログラムを側からの視点で考えてみたい。
いや、「考えてみたい」とか偉そうなこと書いてしまったけれど、結局「どんなことがかっちょいいのか」という価値観の問題なんですよ。血気盛んな学生の集まりの中でじゃあAVL木とかB-Treeのデータ構造がどういった用途に適しているだとか、SICPでLispの素晴らしさが分かったとかそういう話と、RoRでクールなページがさくっと出来たぜとかFLASHでカッチョいいアニメーションを作ったとかいう話とどっちが周りの人間に響くかといったら巧者な訳ですよ*1。そんな状況の中で硬派に教養を身につけようと考えられる学生というのはかなり筋の通った人間ではないかと思う訳です。事実、僕の勤めている企業に若いエンジニアが毎年は入ってくるけれど、硬派なデータ構造とかアルゴリズムとかフリップフロップとかそういう所を勉強しようなんてやつは滅多にいないです。基本はやれAJAXだRoRだっていう方向の話にみんな行っちゃいます。
僕も本郷の学生には軟派な方向に行ってほしくないって思うし(当然他の大学の情報系もそんな方向には行ってほしくないが)、それをしなければ明日の日本のIT業界なんて本当見えてこないんだろうけど、若い頃の価値観っていうのは結局周りからどう思われるのかってのがほとんど全てだろうから、自分の何分の一かってくらいしからプログラムを理解していない奴が自分よりも賞賛を受けている現状があるとしたら、そっちの方向に基本的には行っちゃうだろうなーと思います。
*1:江島さんのエントリを批判している訳ではないです。念のため。