見晴らしの良い丘から何が見えるか

突然の話になるが、この2月末で現在勤めているソフトウェアベンチャー企業を退職し、来月から新たな場所で再びソフトウェアの開発に関わる事となった。いわゆる転職である。現在勤めている企業では開発技術や開発プロセスといった直接的なこと以外にも、多くの人がひとつのソフトウェアを開発することの難しさであるとか、新人をどのように育てていくべきなのかという貴重な考察や、どういったエンジニアがどういう仕事に向いているとか向いていないとか、ソフトウェアの開発にはどのような組織で挑めばいいのか等、とにかく様々な事を学んだように思う。非常に実りのある5年間であったと思うし、そのような5年間を僕に与えてくれた関係者にはこの場を借りて感謝の意を表したい。

ドメスティックに事業を進めている現在の企業での職とは違い、次の職では海外のエンジニアと協力して開発を進める必要があり、かつ企業自体もグローバルに事業展開している為、嫌でも世界標準を意識する必要が出てくると思う。そしてそれを次の5年間の目標としたいと思っている。つまり簡単に言えば「世界に通用するエンジニア」になることが目標である。新しい職場では新しい事を身に付ける必要は当然あるだろうし、それにプラスして今現在自分が出来ることを、世界を相手にして出来る必要があるということになる。それは簡単な例ではコーディングのコメントやメールを英語で書く必要があるとかそういう事だし、別の例では日本人相手なら説得出来るような内容でも、中国人やインド人やアメリカ人でも説得出来るとは限らないので、それを彼らに通じるロジックで説得する必要があるとかそういう事である。

以前にid:umedamochioのブログで以下の様な文章が紹介されていた。次の職場はまさに僕にとってバンテージポントになるのではないかと思う。いや、そうしたいと思っている。

世界で何が起ころうとしているのかが見える場所に行け。シリコンバレーなら、まずはGoogle。GoogleがダメだったらApple。いや Yahooかな。Oracleだっていい。シアトルならMicrosoftだな。こういうところは皆、「a great vantage point」((見晴らしのきく地点、よい観戦場所)なんだ。そういう会社で職を得れば、世界でこれから何が起ころうとしているかが皆見える。the next big thingが来たとき、そこに陣取っていれば、見ることができる。

これは本当に実感のこもったいい言葉だ。短いながら、真実をついている。

若者はバンテージポイント(有利な場所)でキャリアを磨け:梅田望夫・英語で読むITトレンド – CNET Japan

別に5年後にまたどこかに移ろうとかそういう意図がある訳ではないが、5年後にまた何か大きな流れが起こっているとして、そこに参加出来ない様なエンジニアではありたくないし、理想を言えばそこに参加してもらいたいと他者から誘われるようなエンジニアでありたい。
見晴らしの良い丘から何が見えるのか。そもそも本当に見晴らしは良いのか。それを確かめる為にも、とにかく全力で丘を駆け上がらないといけない。