
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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いきなり余談だが、うちの奥さんは「うめだもちお」という名前がいつまで経っても頭に定着しないらしく、いつまでも「もちださん」と呼び続けている。「もちださんの本、Amazonから届いてたよ」みたいな感じ。名前はやっぱり「うめお」だと思っているのだろうか。
さてそんな著者の新たな書き下ろしに目を通してみた。なるほど、ビジョナリーや時代の先端をゆく技術者達の金言が上手くまとまっている。その言葉から著者が受けた衝撃、その言葉のコンテキスト、その言葉が発せられたときの時代背景なども付随して付いているのは、その金言が示唆している本当の意味を読者に考えさせる為にはどうすれば良いかを著者が考えた上の結論だろう。
金言のほとんどはシリコンバレーに大きく関係する人々からの発言であるため、本書全体の雰囲気は、著者のデビュー作である
シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)
と近い。著者の本の書評を書くときには必ず似た様なことを書いている気がするが、若い人に読んでもらうべき本だと思う。若い人っていうのは社会人3年目くらいまでかな。しかも技術者を志している若者だとばっちり。世界にはこの金言を発しているような人達が集まる場所があって、それなりの才能があり、一生懸命努力してそれを伸ばしていくのなら、君たちもこんな場所で働けるかもしれないよ、とそういうメッセージを若者に伝えるのに丁度良い本ではある。
さて批判を書くとすればだが、まず単純に名言が多いと思う。これでも著者としては絞りに絞ったんじゃないかと推測するが、なお多いというのが僕の感想だ。「この中から自分の力となる言葉を探してもらえれば」という著者の意図は十分に伝わってくるものの、これだけの言葉があると、全体としてぼやけた印象を与えてしまうように思った。あとそれぞれの言葉なんだけれど、思い切って「英語で名言を書いて、その横にちいさく日本語訳を書く」という形式にしてほしかった。これも著者は色々と考えたであろうことがどこかに書いてあった気がするが、「シリコンバレーで勝負するには、色々な人の金言を理解するためには、君たち英語が必要なんだぜ」的なメッセージを込めてみて欲しかった。で、ひとつ目の批判とも繋がるんだけど、もうちょっと数を減らし、金言ひとつに1ページ使うようなレイアウトにしてみると、英語を横書き出来るので読み易さも増すんじゃないかと。もちろん諸事情はあるかと思いますが。
今年は僕の読書禁止年ですが、読んでしまいましたよ。