また酷い誤訳があるのですが、翻訳教室の6番目の課題を翻訳しましたので掲載します。今回はヘミングウェイの「in our time」です。
第5章彼らは午前六時半、病院の壁にて六人の大臣を銃殺した。病院の中庭にはいくつかの貯水池があった。舗装路には、枯れ果て、濡れた葉があった。激しい雨だった。病院の全ての戸は、釘で打ち付けられ閉ざされていた。大臣のひとりは腸チフスを患っていた。二人の兵士が彼を階下まで運んでいき、雨の中に放り出した。兵士達は壁を背に彼を立たせようとしたが、彼は水たまりの中に座ったままだった。他の五人は壁を背に、極めて静かに立ちすくんでいた。とうとう指揮官が、その大臣を無理に立たせなくてもいいと兵士達に言い渡した。兵士達が一度目の一斉射撃をしたとき、彼は頭を膝の間に突っ込みながら、水たまりの中に座っていた。
第7章
砲撃がフォッサルタの部隊の塹壕に打ち込まれている間、彼は真っ平らに横たわり汗ばみながら、神よここから私を連れ出して下さいと祈っていた。おお神よどうか私を連れ出して下さい。神よ、お願いしますお願いしますお願いします神よ。もしあなたが私を死から護ってくれるのなら、私はあなたの言葉のすべてに従います。私はあなたを信じますし、私は世界中の人すべてに唯一重要なのはあなたであると伝えます。お願いしますお願いします親愛なる神よ。砲撃はより前線へと移動していった。我々は砲撃された塹壕に取り掛かりに行った、そして朝には太陽が上がり、その日は暑くじめじめとしていて陽気で静かだった。戻ったメストレでの次の晩、ビラ・ロッサで一緒に上の階に行った娘に、彼は神について何も語らなかった。その後も誰に語る事もなかった。

われらの時代・男だけの世界: ヘミングウェイ全短編 (新潮文庫)
- 作者: アーネストヘミングウェイ,Ernest Hemingway,高見浩
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