G.パスカル ザカリー「闘うプログラマー」

闘うプログラマー 上巻

闘うプログラマー 上巻

闘うプログラマー 下巻

闘うプログラマー 下巻

文句無しにスリリングだった。たまたま寄ったBOOK OFFで下巻だけ売っていたのを見かけて購入したのだが、あまりにも面白かったのですぐにAmazonで上巻も注文。とにかく一気に読めてしまった。
こういったドキュメンタリーものは、まあかなりの程度に大袈裟に書かれているだろうとは思いつつも、ソフトウェアの新製品の開発、いや新製品の開発現場というのはまさに「闘い」の場であることは、多少なりとも知っているつもりではあるので、この本に書かれている内容、つまりWindows NTの開発現場での「闘い」というのはある程度リアルに消化できた。
本書の中でもそうであるが、大抵こういった開発現場での闘いというのは、ライバル企業の闘いがどうのというようりも、企業内の部門同士の闘いであったり、個人同士の闘いであったり、もしくは自分の中での闘いであったりする。営業部門と開発部門とか、開発者とテスト担当者とか、開発監督者と開発者とかそういった組み合わせで日々闘いは起こる。正のエネルギー同士のぶつかり合いだけであれば良いのだろうけれど、現実には負のエネルギー同士のぶつかり合いなんてのもしょっちゅう目にする。開発手法の教科書だとか、新製品開発プロセスの方法論だとかそういうものって世の中には結構あるんだろうけれど、まあ実際に現場に出てみると、体系的に学べるような知識を大きく超えた部分で、何か得体の知れない大きな渦の様なものを相手にしなければならない。だからといって知識や経験が無いものが相手にされるような舞台でもない。そんな中でWindows NTという当時の新製品を「出荷」するところまでこぎ着けた彼らは、今更ながら賞賛の拍手を送りたい。