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B2にはスリーポイント成功率40%超えが3人。B1では喜多川のみ。

田口成浩が秋田から千葉に移籍し大きな話題になっています。プロとしてのキャリアすべてを過ごしてきた、そして自分の出身地でもある秋田を離れるのは相当な想いがあってのことでしょう。今後とも注目です。

さてこの移籍をきっかけにB2のスリーポイントシューターについて調べてみました。以下は51試合以上に出場し、3ポイントを90本(60試合で平均すると1試合1.5本)以上決めた選手の試投数と成功確率をプロットしたものです。

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なんと成功確率が40%を超える選手が田口も含めて3人もいます。トップの福澤は300本近く打って成功率が44.5%とは驚きの数字です(ちなみに福澤もFE名古屋から茨城に移籍しています。)もうひとりの朝山は広島のベテラン選手です。

B1のスリーポイントシューターの中で上記の条件を満たしながら40%を超えているのは栃木の喜多川のみです。同じようにプロットしてみます。(すみません、上のプロットと軸の目盛りの位置がずれているのでご注意を。)

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もちろんB1とB2では対戦しているチームが違い、当然シューターが受けるディフェンスも違ってくるので直接比較はできません。ですがB1との比較は置いておいても、B2にはかなり良いシューターがいることが確認できます。

特に福澤はまだ2018-19で3シーズン目とのことですが、スリーポイントに限らずかなりの数字を出しています(2017-18では試合平均12.1点。)残念ながらまだプレーを見ていないのですが、間違いなく茨城ロボッツの注目選手のひとりとなるでしょう。

B1の選手のスリーポイントに関しては以下の記事でも分析しています。

B1全選手の"得点力偏差値"を算出してみた

タイトルのとおりですが、2017-18シーズンのスタッツを使ってB1全選手の得点力偏差値を算出してみました。全選手がひとつの記事に並ぶとけっこう爽快です!

算出の方法

今回は出場時間(分)ごと平均得点を使って偏差値を算出することにしました。総得点や試合ごと平均得点を使ってしまうと出場の機会の多少によって結果が左右されてしまうので、あまり目立ってなかったけど得点を上げていた選手が見つかるといいなと願いつつ、時間ごとの平均得点を使うことにしました。

そのため極端に出場時間の少ない選手は対象から外すことにしました(対象外選手は記事末を参照。)しきい値はデータを見ながら決めましたが、最低でも100分プレーしていることを条件としました。ご了承下さい。

なぜ偏差値なのか

統計の世界やデータの仕事の現場ではあまり偏差値というものは使われませんが、広く知れ渡っている概念のため今回は偏差値を用いることに決めました。Zスコアという同一の概念の方が実際はよく使われます。

分布

まずは対象選手の時間ごと平均得点の分布を見てみましょう。結構きれいな分布になったと思います。

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統計に興味のある方のために、分布の性質を表す数字も載せておきます。

指標
平均 0.36
中央値 0.33
標準偏差 0.16
歪度 0.85
尖度(3が正規分布 3.60

平均と中央値がそれぞれ0.36/0.33ですので、これによりだいたい1分間に0.33~0.35点、つまり3分に1点くらい取れればB1の選手として普通の得点力ということが分かりました。

標準偏差が0.16ですので、1分間に0.5点、つまり2分に1点以上取る選手になってくると、標準の集団から抜け出す得点力があると言えます。

それではさっそく偏差値順に上から見ていきましょう。

偏差値80台

チーム 選手 出場時間(分) 分ごと平均得点 偏差値
新潟 ダバンテ・ガードナー 1771.73 0.96 87.7
川崎 ニック・ファジーカス 1794.27 0.85 80.9

もはや説明の必要のないふたりです。ガードナーはほぼ1分に1点、ファジーカスも0.85点も取っています。ただただすごい得点力です。ふたりの得点王争いについてはこちらの記事でも考察していますので、よろしければ読んで下さい!

偏差値70台

チーム 選手 出場時間(分) 分ごと平均得点 偏差値
三遠 カルティエ・マーティン 430.00 0.76 75.3
富山 クリント・チャップマン 453.83 0.75 74.6
島根 アル・ソーントン 453.17 0.74 74.0
北海道 マーク・トラソリーニ 1484.45 0.72 72.8
三遠 ウェンデル・ホワイト 773.88 0.72 72.8
京都 ジュリアン・マブンガ 1030.80 0.71 72.1
京都 ジョシュア・スミス 1394.12 0.70 71.5
西宮 ドゥレイロン・バーンズ 1142.70 0.70 71.5
島根 タイラー・ストーン 310.60 0.70 71.5
大阪 キース・ベンソン 692.17 0.69 70.9

偏差値70台です。まだ日本人選手の名前は登場しませんね。京都ハンナリーズは主な得点源のふたりがここに並び、チームの高い得点力が表れています。

個人的に少しもったいないと感じてしまうのが島根スサノオマジックです。ここに2人もランクインしているものの、色々あって出場時間が短く終わってしまいました。

偏差値60台

チーム 選手 出場時間(分) 分ごと平均得点 偏差値
大阪 エグゼビア・ギブソン 716.72 0.66 69.0
島根 ジョシュ・スコット 1352.27 0.64 67.8
名古屋D ジャスティン・バーレル 1280.90 0.64 67.8
富山 デクスター・ピットマン 1015.27 0.64 67.8
北海道 ディジョン・トンプソン 415.90 0.64 67.8
SR渋谷 ロバート・サクレ 1582.55 0.63 67.1
川崎 ジュフ・バンバ 159.02 0.63 67.1
富山 ドリュー・ヴァイニー 696.72 0.63 67.1
千葉 ギャビン・エドワーズ 1741.97 0.62 66.5
A東京 アレックス・カーク 1564.98 0.62 66.5
島根 ギャレット・スタツ 348.03 0.61 65.9
栃木 セドリック・ボーズマン 814.48 0.59 64.6
北海道 グレゴリー・ウィッティントン 334.03 0.59 64.6
新潟 ラモント・ハミルトン 685.05 0.58 64.0
千葉 富樫 勇樹 1391.82 0.57 63.4
三遠 ロバート・ドジャー 850.92 0.57 63.4
西宮 ハーバート・ヒル 728.25 0.57 63.4
三河 金丸 晃輔 1599.52 0.56 62.8
横浜 ウィリアム・マクドナルド 926.60 0.56 62.8
栃木 ジェフ・ギブス 766.75 0.56 62.8
琉球 ハッサン・マーティン 1612.88 0.55 62.2
横浜 ハシーム・サビート 1396.60 0.55 62.2
三河 桜木 ジェイアール 1711.15 0.54 61.5
SR渋谷 ブランデン・ドーソン 122.43 0.54 61.5
名古屋D クレイグ・ブラッキンズ 1290.08 0.53 60.9
名古屋D ジェロウム・ティルマン 1042.20 0.53 60.9

富樫と金丸の名前が登場しました。このクラスになると2分に1点くらいのペースで点を取っています。各チームのエース級の選手が並んでいると言っていいでしょう。個人的には富樫や金丸のようにアウトサイドの選手がもっとこのクラスに名前を出すようになってきて欲しいですね。

桜木ジェイアールは自分と同年代なので、この活躍ぶりには本当に尊敬を感じます。桜木がポストプレイで点を取れるのは、三河の大きな武器のひとつだと思います。

偏差値50台

チーム 選手 出場時間(分) 分ごと平均得点 偏差値
滋賀 ベンキー・ジョイス 735.67 0.51 59.7
千葉 マイケル・パーカー 1520.30 0.50 59.0
三河 比江島 慎 1423.73 0.50 59.0
富山 宇都 直輝 2035.30 0.49 58.4
川崎 ジョシュ・デービス 1257.37 0.49 58.4
横浜 ジェフリー・パーマー 1115.00 0.49 58.4
西宮 コナー・ ラマート 680.67 0.49 58.4
栃木 ライアン・ロシター 1611.45 0.48 57.8
千葉 レオ・ライオンズ 948.40 0.48 57.8
三河 ダニエル・オルトン 919.82 0.48 57.8
川崎 辻 直人 1572.38 0.47 57.2
大阪 デイビッド・ウェア 988.73 0.47 57.2
横浜 川村 卓也 1685.23 0.46 56.5
北海道 ダニエル・ミラー 1287.72 0.46 56.5
A東京 ジャワッド・ウィリアムズ 1165.58 0.46 56.5
滋賀 ディオール・フィッシャー 1777.80 0.45 55.9
SR渋谷 ジョシュ・ハレルソン 1406.72 0.45 55.9
島根 ジーノ・ポマーレ 652.20 0.45 55.9
A東京 ランデン・ルーカス 259.37 0.45 55.9
滋賀 並里 成 1649.35 0.44 55.3
SR渋谷 ベンドラメ 礼生 1512.57 0.44 55.3
三遠 スコット・モリソン 1294.50 0.44 55.3
栃木 喜多川 修平 1161.83 0.44 55.3
富山 サム・ウィラード 1416.00 0.43 54.7
A東京 竹内 譲次 1172.08 0.43 54.7
滋賀 ファイ サンバ 1156.42 0.43 54.7
琉球 古川 孝敏 1101.25 0.43 54.7
西宮 道原 紀晃 1675.98 0.42 54.0
千葉 小野 龍猛 1599.80 0.42 54.0
A東京 田中 大貴 1552.17 0.42 54.0
名古屋D 笹山 貴哉 1433.50 0.42 54.0
北海道 折茂 武彦 1114.48 0.42 54.0
新潟 オースティン・ダフォー 696.10 0.42 54.0
大阪 グレッグ・スミス 438.32 0.42 54.0
A東京 馬場 雄大 831.13 0.41 53.4
富山 岡田 優 244.63 0.41 53.4
琉球 岸本 隆一 1529.52 0.40 52.8
名古屋D 張本 天傑 1180.25 0.40 52.8
西宮 岡田 優 652.22 0.40 52.8
A東京 ブレンダン・レーン 555.98 0.40 52.8
島根 ブレンダン・レーン 352.78 0.40 52.8
琉球 アイラ・ブラウン 1722.18 0.39 52.2
滋賀 オマール・サムハン 733.75 0.39 52.2
三河 松井 啓十郎 701.92 0.38 51.6
西宮 キャメロン・リドリー 632.32 0.38 51.6
三河 コートニー・シムズ 471.50 0.38 51.6
三遠 太田 敦也 1358.40 0.37 50.9
川崎 篠山 竜青 1296.20 0.37 50.9
琉球 田代 直希 1145.53 0.37 50.9
三河 森川 正明 184.32 0.37 50.9
三河 アイザック・バッツ 1622.28 0.36 50.3
川崎 藤井 祐眞 1419.12 0.36 50.3
京都 伊藤 達哉 1415.08 0.36 50.3
A東京 安藤 誓哉 1347.63 0.36 50.3
京都 片岡 大晴 1176.75 0.36 50.3
滋賀 高橋 耕陽 1068.63 0.36 50.3
横浜 田渡 凌 1043.53 0.36 50.3
北海道 野口 大介 998.17 0.36 50.3
栃木 渡邉 裕規 679.50 0.36 50.3

ボリュームゾーンの偏差値50台はさすがにお馴染みの名前が並びました。比江島や宇都といった点取り屋がトップに位置します。宇都はあまりにも長い出場時間を考慮すると、もう少し潜在的な得点力は上だと思っていいのではないでしょうか。

西宮の岡田ですが、富山時代のデータと2回登場していることにご注意ください。西宮は道原の活躍が今年目立ったと感じているのですが、やはり良い点の取り方をしていたようです。来シーズンも道原には着目していきたいです。

3ポイント王の喜多川、新人王の馬場、琉球に移籍の決まったファンタジスタの並里などの名前も見つかりますね。

偏差値50未満

チーム 選手 出場時間(分) 分ごと平均得点 偏差値
新潟 五十嵐 圭 1829.97 0.35 49.7
大阪 熊谷 尚也 1623.52 0.35 49.7
富山 上江田 勇樹 1066.22 0.35 49.7
琉球 津山 尚大 765.10 0.35 49.7
栃木 山崎 稜 236.23 0.35 49.7
横浜 湊谷 安玲久司朱 104.25 0.35 49.7
三遠 田渡 修人 1686.48 0.34 49.1
京都 岡田 優介 1410.28 0.34 49.1
栃木 遠藤 祐亮 1431.63 0.34 49.1
大阪 橋本 拓哉 1198.43 0.34 49.1
SR渋谷 長谷川 智也 1038.93 0.34 49.1
三河 村上 直 477.05 0.34 49.1
川崎 ルー・アマンドソン 445.30 0.34 49.1
SR渋谷 ジャマール・ソープ 259.00 0.34 49.1
滋賀 狩野 祐介 1379.80 0.33 48.4
北海道 多嶋 朝飛 1357.20 0.33 48.4
名古屋D 安藤 周人 1351.97 0.33 48.4
滋賀 長谷川 智伸 1341.20 0.33 48.4
横浜 満田 丈太郎 1155.78 0.33 48.4
北海道 関野 剛平 1117.43 0.33 48.4
千葉 西村 文男 669.95 0.33 48.4
北海道 牧 全 346.57 0.33 48.4
西宮 谷 直樹 1515.97 0.32 47.8
千葉 アキ・チェンバース 1205.85 0.32 47.8
千葉 石井 講祐 1141.28 0.32 47.8
新潟 鵜澤 潤 875.63 0.32 47.8
新潟 ジャレッド・バーグレン 446.33 0.32 47.8
栃木 アンドリュー・ネイミック 253.22 0.32 47.8
京都 永吉 佑也 1508.92 0.31 47.2
横浜 細谷 将司 1346.97 0.31 47.2
SR渋谷 満原 優樹 1145.38 0.31 47.2
京都 晴山 ケビン 1033.43 0.31 47.2
大阪 藤高 宗一郎 709.58 0.31 47.2
琉球 石崎 巧 699.05 0.31 47.2
名古屋D 中務 敏宏 489.28 0.31 47.2
西宮 ジョーダン・ヴァンデンバー 375.92 0.31 47.2
富山 大塚 裕土 1849.85 0.30 46.6
島根 相馬 卓弥 1474.38 0.30 46.6
名古屋D 中東 泰斗 1424.68 0.30 46.6
三遠 川嶋 勇人 1352.63 0.30 46.6
北海道 桜井 良太 1198.57 0.30 46.6
新潟 城宝 匡史 1155.38 0.30 46.6
大阪 木下 博之 1088.40 0.30 46.6
栃木 田臥 勇太 1073.50 0.30 46.6
A東京 ザック・バランスキー 1066.48 0.30 46.6
三河 西川 貴之 959.50 0.30 46.6
西宮 坂井 レオ 270.02 0.30 46.6
島根 佐藤 公威 1796.42 0.29 45.9
琉球 ヒルトン・アームストロング 1259.58 0.29 45.9
栃木 生原 秀将 1005.67 0.29 45.9
SR渋谷 広瀬 健太 956.82 0.29 45.9
新潟 今村 佳太 859.73 0.29 45.9
横浜 蒲谷 正之 318.43 0.29 45.9
三遠 比留木 謙司 121.37 0.29 45.9
三河 橋本 竜馬 1313.88 0.28 45.3
三遠 鈴木 達也 1293.62 0.28 45.3
京都 マーカス・ダブ 886.98 0.28 45.3
琉球 二ノ宮 康平 752.68 0.28 45.3
京都 綿貫 瞬 654.55 0.28 45.3
新潟 畠山 俊樹 1268.30 0.27 44.7
栃木 鵤 誠司 1137.77 0.27 44.7
島根 渡邊 翔太 1076.67 0.27 44.7
富山 橋本 尚明 939.37 0.27 44.7
琉球 金城 茂之 238.78 0.27 44.7
SR渋谷 ルーベン・ボイキン 209.37 0.27 44.7
千葉 トニー・ガフニー 360.67 0.27 44.7
栃木 竹内 公輔 1549.95 0.26 44.1
大阪 今野 翔太 1335.73 0.26 44.1
A東京 小島 元基 956.77 0.26 44.1
三河 狩俣 昌也 680.98 0.26 44.1
島根 熊谷 宜之 486.78 0.26 44.1
名古屋D 船生 誠也 1262.17 0.25 43.4
大阪 根来 新之助 1158.48 0.25 43.4
西宮 梁川 禎浩 989.97 0.25 43.4
島根 波多野 和也 922.93 0.25 43.4
川崎 谷口 光貴 478.60 0.25 43.4
名古屋D 大宮 宏正 126.43 0.25 43.4
琉球 須田 侑太郎 1046.85 0.24 42.8
大阪 合田 怜 1027.23 0.24 42.8
A東京 菊地 祥平 1045.72 0.24 42.8
島根 山本 エドワード 904.37 0.24 42.8
滋賀 小林 遥太 430.23 0.24 42.8
京都 坂東 拓 286.68 0.24 42.8
西宮 内藤 健太 277.10 0.24 42.8
川崎 長谷川 技 1402.47 0.23 42.2
SR渋谷 山内 盛久 1225.80 0.23 42.2
横浜 佐藤 託矢 975.53 0.23 42.2
西宮 松崎 賢人 558.20 0.23 42.2
滋賀 横江 豊 488.07 0.23 42.2
SR渋谷 杉浦 佑成 225.60 0.23 42.2
大阪 安部 潤 214.88 0.23 42.2
新潟 池田 雄一 1151.37 0.22 41.6
SR渋谷 伊藤 駿 1010.48 0.22 41.6
北海道 川邉 亮平 908.90 0.22 41.6
北海道 伊藤 大司 729.07 0.22 41.6
滋賀 佐藤 卓磨 477.55 0.22 41.6
川崎 野本 建吾 447.55 0.22 41.6
西宮 セオン・エディ 367.75 0.22 41.6
西宮 大塚 勇人 259.38 0.22 41.6
京都 内海 慎吾 1110.30 0.21 41.0
A東京 正中 岳城 469.22 0.21 41.0
島根 小阪 彰久 334.07 0.21 41.0
滋賀 樋口 大倫 265.50 0.21 41.0
三遠 岩田 涼太 178.60 0.21 41.0
名古屋D 藤永 佳昭 870.82 0.20 40.3
新潟 遥 天翼 847.23 0.20 40.3
島根 後藤 翔平 723.58 0.20 40.3
千葉 原 修太 680.83 0.20 40.3
横浜 竹田 謙 559.38 0.20 40.3
富山 水戸 健史 1042.53 0.19 39.7
SR渋谷 清水 太志郎 396.43 0.19 39.7
島根 ジャミール・マッケイ 131.10 0.19 39.7
三遠 鹿野 洵生 1307.05 0.18 39.1
横浜 山田 謙治 265.07 0.18 39.1
三遠 岡田 慎吾 1083.22 0.17 38.5
横浜 高島 一貴 1071.80 0.17 38.5
川崎 鎌田 裕也 787.35 0.17 38.5
西宮 石塚 裕也 739.77 0.17 38.5
千葉 阿部 友和 497.67 0.17 38.5
滋賀 菅原 洋介 374.18 0.17 38.5
名古屋D 柏木 真介 372.72 0.17 38.5
富山 葛原 大智 178.30 0.17 38.5
栃木 前村 雄大 126.18 0.17 38.5
西宮 谷口 淳 998.68 0.16 37.8
SR渋谷 菊池 真人 852.22 0.16 37.8
北海道 松島 良豪 713.17 0.16 37.8
琉球 渡辺 竜之佑 182.90 0.16 37.8
西宮 土屋 アリスター時生 135.12 0.16 37.8
島根 岡本 飛竜 730.65 0.15 37.2
三遠 大石 慎之介 207.55 0.15 37.2
川崎 小澤 智将 170.42 0.13 36.0
新潟 佐藤 優樹 129.63 0.13 36.0
川崎 栗原 貴宏 796.18 0.12 35.3
富山 青木 ブレイク 358.58 0.11 34.7
新潟 森井 健太 355.38 0.11 34.7
富山 宮永 雄太 405.13 0.10 34.1
千葉 伊藤 俊亮 148.17 0.10 34.1
滋賀 田中 大地 143.52 0.06 31.6
富山 小原 翼 312.95 0.05 31.0
千葉 荒尾 岳 118.30 0.05 31.0

50未満は一気にまとめてしまいました。個別のコメントはありません。繰り返しになりますが、バスケは得点がすべてではないのがもちろんのこと、いわゆるスタッツに表れないような好プレーの種類もたくさんあるスポーツです。

ここに名前の見つかる選手はあくまで2017-18シーズンの分ごと平均得点だけでここにランクされたということをご理解くださいませ。

今回対象外となった選手

チーム 選手 出場時間(分) 分ごと平均得点
大阪 寒竹 隼人 88.53 0.29
三遠 ローレンス・ブラックレッジ 87.12 0.44
横浜 ジェイソン・ウォッシュバーン 85.82 0.56
京都 頓宮 裕人 79.87 0.19
滋賀 澤地 サミュエルJr. 78.33 0.22
栃木 橋本 晃佑 69.65 0.22
栃木 落合 知也 68.60 0.22
川崎 青木 保憲 64.27 0.22
A東京 齋藤 拓実 62.88 0.29
三河 加藤 寿一 59.35 0.27
SR渋谷 阿部 諒 55.70 0.27
北海道 ジャスティン・レイノルズ 44.28 0.45
三遠 大口 真洋 42.58 0.42
京都 ローレンス・ブラックレッジ 37.23 0.46
栃木 カイル・リチャードソン 32.98 0.70
北海道 田原 隆徳 25.07 0.64
大阪 澤邉 圭太 18.85 0.42
琉球 平岩 玄 18.68 0.48
川崎 林 翔太郎 9.52 0.32
富山 田中 健介 8.62 0.00
三遠 ダシルバ ヒサシ 7.08 0.71
栃木 須田 昂太郎 5.60 1.43
新潟 輪島 射矢 3.15 0.00
富山 中村 太地 1.70 0.00

まとめ

2017-18シーズンのスタッツを用い、時間ごと平均得点をベースに得点力偏差値を計算してみました。お楽しみ頂けましたでしょうか。

移籍をきっかけに2017-18シーズンで飛躍した選手は誰か?

移籍後に飛躍した選手を探す

Bリーグもオフシーズンに入って、すっかり話題はバスケのワールドカップと選手の移籍です。私も今週金曜日のオーストラリア戦、首を長くして待っているところです。

さてこの記事はもうひとつの話題の移籍についてです。2016-17シーズンと2017-18シーズンを違うチームで過ごした、つまり昨シーズン後に移籍をした選手、その中で飛躍を遂げた選手を探してみたいと思います。

なお公式に移籍のデータは(すくなくても便利な形では)存在せず、両シーズンのスタッツから移籍した選手を抽出するしかありませんでした。両シーズンのデータを突き合わせる方法が選手名しかなく、残念ながら同姓同名の選手がいたり、選手の名前が何かしらの理由で変わっているなどの理由でデータが正しくない場合がありえます。ご了承ください。

出場時間が伸びた選手を探す

2017-18に新しいチームに移籍した選手の中で飛躍した選手を探したいと思います。まずは出場時間が伸びた選手を探します。

2017-18シーズンに向けて移籍し、出場時間が伸びた選手

選手 チーム(今) チーム(前) 増加出場時間(分)
大塚裕土 富山 SR渋谷 1282.10
晴山ケビン 京都 川崎 851.55
上江田勇樹 富山 千葉 771.30
熊谷尚也 大阪 栃木 745.00
山内盛久 SR渋谷 琉球 717.85
二ノ宮康平 琉球 A東京 636.81
永吉佑也 京都 川崎 605.04
鵜澤潤 新潟 名古屋D 551.45
レオ・ライオンズ 千葉 秋田 548.58
クレイグ・ブラッキンズ 名古屋D 滋賀 417.00

今シーズンは出ずっぱりで、出場時間でチームメイトの宇都に続きリーグ2位だった大塚がもっとも出場時間の伸びた移籍選手でした。チームとして富山は残念な結果になったかもしれませんが、大塚個人としては存在感を示せたシーズンだったのではないでしょうか。上江田も同様かと。

京都の晴山も主力選手のひとりとして京都を支えましたね。熊谷も栃木のときはシックスマンのような活躍だったと思いますが、今では大阪の主力選手になりました。

試合平均得点が伸びた選手を探す

今度は試合平均得点で見てみます。しかし出場時間が伸びれば得点総数が増えるのは当然ですので、似たような布陣になるのは致し方ありません。

2017-18シーズンに向けて移籍し、試合平均得点が伸びた選手

選手 チーム(今) チーム(前) 試合平均得点(今) 試合平均得点(前) 増分
大塚裕土 富山 SR渋谷 9.3 3.3 6.0
熊谷尚也 大阪 栃木 9.5 4.4 5.1
上江田勇樹 富山 千葉 6.8 2.1 4.7
晴山ケビン 京都 川崎 5.5 1.8 3.7
永吉佑也 京都 川崎 8.2 4.5 3.7
藤高宗一郎 大阪 SR渋谷 4.4 1.9 2.5
セオン・エディ 西宮 A東京 3.2 0.7 2.5
鵜澤潤 新潟 名古屋D 4.9 2.5 2.4
山内盛久 SR渋谷 琉球 4.6 2.3 2.3
二ノ宮康平 琉球 A東京 3.7 1.5 2.2

出場時間平均の得点が伸びた選手を探す

今度は出場時間の平均得点で見てみます。これだと出場時間の多さには直接影響されないので新しい選手の名前が見られそうです。

2017-18シーズンに向けて移籍し、出場時間平均の得点が伸びた選手

選手 チーム(今) チーム(前) 時間平均得点(今) 時間平均得点(前) 増分
上江田勇樹 富山 千葉 0.35 0.22 0.13
伊藤大司 北海道 A東京 0.22 0.12 0.10
藤高宗一郎 大阪 SR渋谷 0.31 0.22 0.09
ラモント・ハミルトン 新潟 琉球 0.58 0.51 0.07
山崎稜 栃木 富山 0.35 0.28 0.07
綿貫瞬 京都 大阪 0.28 0.22 0.06
大宮宏正 名古屋D 琉球 0.25 0.19 0.06
安藤誓哉 A東京 秋田 0.36 0.31 0.05
熊谷尚也 大阪 栃木 0.35 0.30 0.05
比留木謙司 三遠 富山 0.29 0.24 0.05

上江田がまだ残っていますが、北海道に移った伊藤、大阪に移った藤高が2位と3位にに出てきました。10分あたり1点程度の得点力アップということで、素晴らしいと思います。

まとめ

やはりチーム同士の力の関係で言えば、強いチームから他のチームに流れていったケースが多いですが、こうして移籍先で移籍前を上回る成績を残すことは選手にもチームにも素晴らしいことですよね。

2018-19シーズンに向けてもたくさんの移籍が発表されていますが、そこからどのようなドラマが生まれるでしょうか。今から待ちどおしいです。

書評「千葉ジェッツの奇跡」(島田慎二)

ご存知千葉ジェッツふなばしの社長である島田慎二さんによるもの。今はBリーグ自体のバイスチェアマンも兼任されてらっしゃいますね(この就任の馴れ初めも本書で紹介されています。)

「奇跡」と銘打っているものの、本書を読んだ感想としては、島田さんは経営の「当たり前」をスポーツチーム経営という商売に持ち込んだ。そしてそれを土台として千葉ジェッツふなばしは成功した。いや、成功への道を歩みつつある、というところだろう。

私はまったくの未経験であるが、スポーツチームの運営のような仕事は「夢」のようなものがドライバーになっているケースはきっと少なくなくないだろうと思う。そしてそれが経営の当たり前を妨げるケースも想像できる。

もちろんこの夢があったからこそ、リスクを取る者たちが現れ、bjリーグは立ち上がり、そして今のBリーグも存在するのであるから、まずはその人達にひとりのファンとしてお礼を言いたい。

しかしやはり健全な財務体質、利益の出るビジネスモデル、社員の過度な自己犠牲に依存しない、そういったビジネスの基本なくして運営は存続できないし、何よりそういう運営の下に強いチームは育たない。

私はBリーグの財務体質については非常に気にしている。選手の年俸の向上についても同様。そうした部分の向上がなければ、日本のバスケの未来もないと思っているからです。

本書にもあるようにソフトバンクのスポンサーシップに依存した体制は未来永劫続けられるものではないし、Bリーグ自体が、それぞれのチーム自体が、まず健全な経営と財務体質を目指す必要がありす。

日本のバスケの今後のためには、選手の強化以上に、そういうインフラの整備が必要だと思います。適切なインフラがあれは、そこで選手やチームは育ちますし、必ずや世界レベルの選手も出てくる筈です。

アリーナの問題に関しては知らなかったが、確かに言われてみれば今は体育館での開催ですね。島田さんもおっしゃる様にバスケは「観戦の体験」が素晴らしいスポーツなので、是非箱も合わせてトータルな観戦体験を演出できるよう、ここはさらなる議論が必要だと思います。

アルバルク東京がディフェンス力でファイナルを制することはデータから読めていたか?

まだ記憶に新しい横浜アリーナで開催された2017-18チャンピオンシップのファイナルですが、アルバルク東京が力の差を見せつけた形で千葉ジェッツふなばしに勝利した言っていいと思います。

翌日の富山グラウジーズ熊本ヴォルターズが大接戦の死闘だったこともあり、ファイナルの方はなんだかあっけなく終わってしまった、そんな印象で2017-18チャンピオンシップは私の記憶に残りそうです。

ファイナル後、繰り返しアルバルク東京の練習、ひいてはルカヘッドコーチの厳しさ、そしてそのディフェンスへの徹底が話題になったと思います。

個人的にはそのアルバルク東京のディフェンスの強さがデータにも表れているのか、そこに興味がありました。

この記事では、アルバルク東京がシーズン中にどれくらい千葉ジェッツふなばしに対して有効なディエンスをしていたのかを見てみたいと思います。

ディエンスの力の定量

ディフェンスの強さを定量化するためには、以前の記事で計算した得点効率(本当はオフェンス効率と呼んだ方がいいかもしれません)を使い、相手チームの得点効率をどこまで低く抑えたかを求めます。

この記事の最下部で紹介している書籍ではこれをディフェンス効率と呼んでおり、NBAにおいてはこちらの方がオフェンス効率よりもチームの勝率との相関が高いと説明されていました。

以下は、千葉ジェッツふなばしのシーズン中60試合を得点効率が高い順に並べた図です。赤い棒はアルバルク東京戦です。

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見てわかる通り、千葉ジェッツふなばしの得点効率ワースト5の試合中、4試合が対アルバルク東京だったことが分かります(ちなみにもうひとつは10/29の琉球戦。)これは思ったよりもはっきりとした結果で、シーズン中からアルバルク東京にかなりオフェンスを封じられていたと言えそうです。

同じ図をアルバルク東京側から見てみます。

f:id:rintaromasuda:20180623094425p:plain

アルバルク東京もワースト2は千葉相手でした。実は両チームのワースト1は同じ試合であり、2017年の大晦日に行われた試合です。非常にロースコアな接戦だったようで、興味深いので後ほどYouTubeで確認したいと思います。

ワースト2位の試合は千葉が爆発した試合であり、千葉の図の中にあるアルバルク東京戦で最も得点効率の高い試合です。千葉にはこういう爆発力がありますよね。

アルバルク東京千葉ジェッツふなばしの全6試合を表にもしておきます。

日付 得点(A東京) 得点(千葉) ポゼッション(A東京) ポゼッション(千葉) 得点効率(A東京) 得点効率(千葉)
2017.11.11 59 95 68.84 69.4 85.71 136.89
2017.11.12 77 67 70.32 73.4 109.50 91.28
2017.12.31 57 56 69.4 69.48 82.13 80.60
2018.01.01 67 49 63.84 65.44 104.95 74.88
2018.02.17 79 65 70.68 69.92 111.77 92.96
2018.02.18 69 79 70.64 71.04 97.68 111.20

ちなみに11/12のゲームでは富樫が11本のスリーポイントを含む42点を挙げたのですが、ゲームはアルバルク東京が勝利していたのですね。やはりバスケはチームスポーツ、一筋縄ではいきません。

ファイナルの結果は読めていたか?

あくまでここに載せた情報をもとにですが、、アルバルク東京はシーズン中から安定して千葉ジェッツふなばしのオフェンスを抑え込むことに成功していたようです。

よってファイナルも高い確率で千葉を制すことが出来たのではないかと思います。Bリーグのファイナルは一発勝負ですが、NBAのように数ゲーム行う形式であれば、さらに高い確率でアルバルク東京の勝利となったのではないでしようか。

千葉には高いオフェンス力があり、それがファイナルのときにビシッと嵌まれば、という期待は大いにありましたが、やはりチーム力でA東京が上回っていたのかな、と思います。

天皇杯も2連覇した千葉は非常に力のあるチームです。来シーズンはアルバルク東京対策もしてくるでしょうし、ディフェンスも強化するでしょうし、ひと回り大きなチームになってリーグに再び華を咲かせてくれると思います。

参考書籍

オフェンス効率、ディフェンス効率の求め方などはこちらを参考にしています。

Basketball Analytics: Spatial Tracking

Basketball Analytics: Spatial Tracking

追記

上述した大晦日のゲームですが、とても白熱した素晴らしいゲームだったことが伝わってきます。ちょっと「ファイナルもこんな感じだったら良かったのに」と思ってしまうような動画でした。

アルバルク東京vs千葉ジェッツ|B.LEAGUE第15節 GAME1Highlights|12.31.2017 プロバスケ (Bリーグ)

スリーポイントの数字を少しだけ詳しく見てみる

2017-18シーズンのスリーポイント成功率王に輝いたのは栃木の喜多川でした。おめでとうございます。

規定をちゃんと読んでいなかったのですが、51試合以上に出場していることが条件になっていたんですね。スリーポイントを決めた回数に制限があるのは知っていたのですが、試合数の制限については見落としていました。

仮にこの試合数の制限がなかったとすると、スリーポイントの成功率ベスト10は以下のようになったはずです。

試合数の制限がなかった場合のスリーポイント成功率ベスト10

TEAM PLAYER 試合数 出場時間(分) 3P成功率 3P成功数 3P試投数 試合ごと3P成功数 分ごと3P成功数
船橋 富樫 勇樹 50 1391.82 41.8% 117 280 2.34 0.08
栃木 喜多川 修平 59 1161.83 41.7% 90 216 1.53 0.08
富山 大塚 裕土 60 1849.85 39.7% 106 267 1.77 0.06
三河 金丸 晃輔 57 1599.52 39.5% 107 271 1.88 0.07
島根 佐藤 公威 59 1796.42 39.3% 101 257 1.71 0.06
川崎 辻 直人 58 1572.38 38.9% 145 373 2.50 0.09
三遠 田渡 修人 60 1686.48 38.7% 118 305 1.97 0.07
横浜 川村 卓也 57 1685.23 36.8% 95 258 1.67 0.06
琉球 岸本 隆一 60 1529.52 36.1% 118 327 1.97 0.08
京都 岡田 優介 60 1410.28 36 % 108 300 1.80 0.08

登場人物に変化があったのは、富樫が加わり、成功率では1位になったことだけでした。富樫はあと1試合のところでランキングに入るチャンスを失ってしまったので、若干勿体なかったですね。

その他の指標ではなんと川崎の辻がすべてにおいて他の選手を上回っていました。さすが日本代表シューターというところでしょうか。以下に辻のスリーポイント成功率と成功数がどのように推移したかをグラフにしてみました。

f:id:rintaromasuda:20180620234348p:plain

30試合くらいまでは40%以上の成功率をキープしていたようですが、後半に若干成功率が下がってしまった様子が分かります。

続いて同じ要領で喜多川の推移も見てみましょう。

f:id:rintaromasuda:20180621212747p:plain

喜多川は逆に後半に確率を伸ばした印象です。最後の5試合くらいでの伸びがいいですね。

富樫を見てみましょう。

f:id:rintaromasuda:20180621213802p:plain

怪我から復帰してからの伸びが凄い!そしてスリーポイントをなんと11本決めた15試合目のアルバルク東京戦、やはり目立ちます。怪我で戦線を離れていなかったらどうなっていたのか、来シーズンは是非ともフルで活躍して欲しいですね。

続いて大塚です。今シーズンはSR渋谷から富山に移籍した後に見事な飛躍を遂げました。

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序盤戦は成功確率でトップを走っていた印象の大塚ですが、試合を追うごとにコンスタントに確率を落としてしまったようです。この辺は大塚の個人の問題というよりは、富山のチームの事情による理由も大きそうです。

最後に金丸です。

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非常に正確無比な印象のある金丸ですが、やはりスリーポイントの成功確率については一定の水準をずっと保っていたようです。ある意味ここで紹介した選手の中で一番凄みのあるチャートになったと個人的には思います。

まとめ

2017-18シーズンを彩ったスリーポイントシューターの成績を振り返ってみました。来年はどのようなシュートが見られるのか。スリーポイントシュートの重要性は年々増す傾向にあり、来シーズンも間違いなくホットなエリアのひとつとなるでしょう。

特定の選手の得点力に各チームはどれくらい依存しているか?

経済の世界ではパレートの法則、または80:20ルールとして知られている現象があります。例えばあるブログサイトでは20%のユーザーが80%の記事を書いていたりですとか、80%の仕事は20%の時間で片付いてしまうとか、実に様々な所で観測される現象です。

バスケットの得点にもこれは当てはまるでしょうか?つまり、80%の得点を20%の選手が挙げていますでしょうか?B1の各チームでこれを見てみる為に、チームごとにパレート図と呼ばれるグラフを作成します。

パレート図とは

実際に見ながら説明した方が早いと思うので、下のシーホース三河の例で説明させて下さい。

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棒グラフは単純に総得点の高い順に左から選手を並べただけです。折れ線グラフは総得点に対する累積の得点の割合を示していて、例えば三河の場合、桜木、金丸、比江島の3人でチームの総得点の約50%を挙げたことが分かります。

50%のラインと80%のラインは私が見やすいように便宜上引いたものです。

ではグラフの読み方が分かったところで、各チームのパレート図を見てみましょう。

シーホース三河

f:id:rintaromasuda:20180619214726j:plain

ご存知の通り三河はチーム全体の得点力のバランスがずば抜けていて、その為にこの折れ線グラフの上がり方が非常に緩やかです。7人目の西川でようやく80%を超えました。

千葉ジェッツふなばし

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千葉も全体の攻撃力が高く、チェンバースまでの6人で80%の得点を挙げています。ライオンズはもっと点を取っているような印象でしたが、小野から少しだけ落差がありますね。

アルバルク東京

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アルバルク東京も千葉と同じような傾向と言っていいと思います。バランスキーまでの7人で80%を超えました。

琉球ゴールデンキングス

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琉球もここまでのチームと似たような傾向でしょうか。7人目の津山で80%です。

川崎ブレイブサンダース

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これは大分様子が違います。川崎はツジーカスで総得点の半分近くを挙げてしまいました。長谷川までの6人で80%です。川崎はセカンドチームの得点力に課題があると感じていましたが、このパレート図を見てもそのような印象を受けます。

ちなみにこの図を見て気が付きましたが、藤井は総得点では篠山を上回っていたようです。

京都ハンナリーズ

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似たような傾向に戻りました。7人目の晴山で80%です。

栃木ブレックス

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栃木はさらに折れ線グラフが緩やかになった感じがあります。8人目の鵤で80%超えとなりました。川崎と同様、セカンドチームの得点力には疑問符が付きそうです。

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

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7人目の中東で80%を超えています。中々の全員バスケです。

新潟アルビレックスBB

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川崎と似た傾向となりました。得点王のガードナーと五十嵐でほぼ半分の点数を挙げています。7人目の鵜澤で80%です。

サンロッカーズ渋谷

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上位3名が抜けており、今までになかった形です。7人目の山内で80%です。

レバンガ北海道

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トラソリーニ以外はまんべんなく点数を取っている印象で面白いです。8人目のトンプソンで80%ラインを超えます。

三遠ネオフェニックス

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エース不在の全員バスケという感じがするグラフです。個人的には非常に好きです。8人目のマーティンで8割超え。ですが岡田以降の点数はがくんと落ちています。これもやはりセカンドチーム問題でしょうか。

滋賀レイクスターズ

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並里がここまで得点を挙げていたとは気が付きませんでした。7人目のジョイスで80%を超えます。

富山グラウジーズ

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7人目のチャップマンで80%です。

大阪エヴェッサ

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8人目の根来で80%。

横浜ビーコルセアーズ

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7人目の田渡で80%。

西宮ストークス

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8人目で80%超えです。富山から電撃移籍した岡田ですが、スコアラーとしては結果が残せなかったようです。

島根スサノオマジック

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9人目の山本で80%超え!島根が80%到達までの人数では一番でした。

まとめ

ざっと見たところ、6人から8人の得点力の高い選手がチームの80%の得点を挙げるということが分かりました。

データからベストシックスマンを探す

2017-18シーズンのベストシックスマン賞には川崎の藤井祐眞が選ばれました。この受賞にケチをつける目的では一切ないですが、データから他にもベストシックスマン候補がいなかったのか探してみたいと思います。

ベストシックスマンを私なりに定義すると、以下のような条件を満たしながら活躍した選手だと思います。いずれも定量的な評価です。

  • スタメンでは多くの試合に出ていない
  • 出場試合数は多い(途中出場するので)
  • 出場時間数は平均か、それよりちょっと下

まずはこの尺度で藤井の数字を見てみましょう。

TEAM PLAYER 試合数 スタメン試合数 出場時間(分)
川崎 藤井 祐眞 60 11 1419.12

全ての選手の出場試合数と出場時間をプロットすると、藤井は以下の赤い点上に位置します。X軸は出場試合数、Y軸は出場時間(分)、点の大きさはスタメンで出場した回数の多さを表しています。

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正直データからも藤井の受賞は妥当、いや申し分ないくらいに見えますが、いずれにせよ他にも素晴らしいシックスマンがいないかどうか探してみます。

以下、出場試合数は55以上、出場時間数は750分以上、スタメンでの出場数は15以下という選手をピックアップしました。赤い点がそれらの選手です。

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2017-18シーズンのシックスマン

TEAM PLAYER ポジション 試合数 スタメン試合数 出場時間(分) 分単位得点
西宮 ドゥレイロン・バーンズ SG/SF 59 2 1142.70 0.70
名古屋D クレイグ・ブラッキンズ PF/C 59 10 1290.08 0.53
富山 デクスター・ピットマン C 57 13 1015.27 0.64
三河 アイザック・バッツ C 60 9 1622.28 0.36
名古屋D ジェロウム・ティルマン PF 60 1 1042.20 0.53
A東京 ジャワッド・ウィリアムズ PF 59 0 1165.58 0.46
川崎 藤井 祐眞 PG 60 11 1419.12 0.36
北海道 折茂 武彦 SG 60 3 1114.48 0.42
大阪 デイビッド・ウェア SF/PF 60 13 988.73 0.47
京都 片岡 大晴 SG 60 8 1176.75 0.36
横浜 田渡 凌 PG 58 11 1043.53 0.36
千葉 石井 講祐 SG 60 13 1141.28 0.32
A東京 ザック・バランスキー SF/PF 57 8 1066.48 0.30
栃木 生原 秀将 PG 57 0 1005.67 0.29
新潟 池田 雄一 SF 60 12 1151.37 0.22
大阪 合田 怜 PG 58 4 1027.23 0.24
京都 内海 慎吾 SG 60 4 1110.30 0.21
琉球 二ノ宮 康平 PG 57 0 752.68 0.28
北海道 川邉 亮平 SF 58 10 908.90 0.22
名古屋D 藤永 佳昭 PG 57 7 870.82 0.20
川崎 鎌田 裕也 PF/C 58 0 787.35 0.17

分当たりの得点力も高いですし、私としては北海道の折茂にベストシックスマン賞をあげたくなってしまいますね。富山のピットマンの得点力も光ります。

栃木の生原は田臥のバックアップとして今シーズンは活躍しましたし、京都の片岡、横浜の田渡、千葉の石井、新潟の池田など素晴らしい選手達が並びました。

今回は分当たりの得点しか見ていませんが、他の指標も分当たりの数値にすることで、もっと面白い結果になるかもしれません。

上位のチームと下位のチームでは選手の使い方がどのように違うのか?

2017-18年の選手別スタッツを使用して、チームの采配がどうだったかを調べてみたいと思います。便宜上チームを以下の3つのグループにまとめて比較しています。

  • 上位グループ(チャンピオンシップ2017-18に出場したチーム)
    • 千葉、A東京、川崎、栃木、三河、名古屋D、琉球、京都
  • 中位グループ
    • 新潟、大阪、北海道、三遠、SR渋谷、滋賀
  • 下位グループ (残留プレーオフ2017-18に出場したチーム)
    • 横浜、富山、西宮、島根

各グループに登録されている選手の数は以下のようになっています。

グループ 人数
上位 109
中位 89
下位 63

それでは分析していきましょう。

出場試合数

外国人選手の起用に関するルールはありますが、バスケットは基本的には交代が自由にできます。つまりベンチの選手を全員を試合に出場させることも容易で、この点は選ばれた選手のみ試合に出場できる野球やサッカーと違います。

各グループで選手がどれくらいの試合に出場、つまり一瞬でもコートに立った試合がいくつあるのか、その分布を見てみましょう。

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Y軸は確率であることに注意してください。つまりグループ内の人数の違いには影響されません。

より多くの選手が多くの試合に出るほど、分布の右側が盛り上がることになります。グループの違いを見てみると、上位グループのチームは中位、下位のチームより多くの選手が毎試合コートに立っている様子が分かります。つまり上位チームは選手層が厚いと言えると思います。逆から見ると、下位チームのベンチに入っている選手はあまり活躍の場が与えられなかったということになります。

出場時間(分)

続いて出場時間です。出場試合数と違い、こちらはみんながみんな長い時間出場できるわけではありませんので、分布の形は違ってきます。

まんべんなく選手を試合に使っているチームの場合、分布は真ん中が盛り上がるような形になるはずです。一方で少数の選手を集中的に使っている場合は分布の左側が盛り上がり、右側(出場時間が長い側)に行くにつれて下がっていく、というような形になるはずです。では見てみましょう。

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上位グループと中位グループにはあまり出ませんでしたが、やはり下位グループのチームは分布がより右肩下がりになる傾向、つまり少数の選手が長い時間コートに立つ傾向が強かったようです。

スターティングメンバーとしての出場試合数

次はスターティングメンバーとしての出場試合数を見てみましょう。これも間1試合ごとに5人しか選べませんので、最初に見た出場試合数のような分布にはならないはずです。いつもスタメンが固定されているようなチームなら右側が盛り上がり、スタメンをちょこちょこ変えるようなチームであれば真ん中が盛り上がるような分布になるはずです。

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上位のチームと下位のチームではスタメンは固定化している傾向があったようです。下位のチームについては上述の通りそもそも出場選手にも偏りがあったようですが、上位のチームに関しては選手層が厚いにも関わらず、スタメンは基本的には一緒にしていたのであろうということが窺えます。

中位のチームは真ん中が盛り上がっており、スタメンを臨機応変に変えていた様子が窺えます。

まとめ

上位のチームはやはり選手層が厚く、多くの選手を試合に出場させる傾向にありました。結果ファーストチームは休息をとることができるので、さらに有利に試合を運べます。一方で下位のチームは特定の選手が長い時間出場する傾向にあったようです。

リーグ5位の攻撃力を持つ新潟アルビレックスBBはなぜ勝ち越せないのか?

新潟アルビレックスBBの2017-18シーズンは中地区で3位、勝率は.467(28勝32敗)、チャンピオンシップへの出場はならず、という結果に終わりました。チームとして満足のいく結果だったとは言い難いでしょう。

得点王タバンテ・ガードナーを擁する新潟は、この記事で分析した通りリーグ5位の得点効率を誇ります。以下、各チームの得点効率と勝率をプロットしたものです。

得点効率ではリーグで5位である新潟が、京都、名古屋D、琉球、栃木など得点効率で新潟に劣るチームに勝率では後塵を拝しているのが分かります。

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またこちらの記事で分析した各チームのターンオーバー数を見ても、新潟はリーグトップのチームのひとつであることが分かります。

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このように高い得点力を誇り、かつターンオーバー数、つまりミスの数も少ない新潟がなぜ勝ち越すことすらできないのか、この記事ではそれを分析したいと思います。

ちなみに大前提ですが、あくまでデータ分析の対象として新潟が興味深かったので分析しているだけであり、私的な感情はありませんことをご留意ください。

仮説

得点能力が高いのに負けてしまっていることから、以下の可能性を考えました。分析する中でこの仮説が当たっているかどうかも検証していきたいと思います。

  • スローペース・ロースコアの試合に持ち込まれ、高い得点能力を活かしきれず負けてしまう
  • ディフェンスが弱く、相手にも高得点を許してしまう

では分析を始めましょう。

ポゼッション

勝った試合と負けた試合でポゼッションに違いがあったかを見てみましょう。ポゼッションが少ない試合で負けていれば、スローペースで負けているかもしれないという仮説の確証が高まります。ポゼッション数はこの記事で紹介した方法で近似しています。

以下の箱ひげ図、左が負けた試合のときのポゼッション数の分布、右が勝った試合のポゼッション数の分布を表していています。

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中央値(真ん中の線)を見るとあまり違いはなく、25パーセンタイル(下辺)を見ると、僅かながら勝った試合の方がポゼッション数は少なかったと言えるようです。よってひとつ目の仮説は外れました。

得点効率

同じ要領で得点効率、つまり得点数をポゼッション数で割ったものを見てみましょう。

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やはり得点効率の良さは如実に試合結果に表れるようです。ちなみに負けた試合にも得点効率が1.3付近のものが2つあるのが分かると思いますが、その試合は以下のものでした。

日時 対戦チーム 得点 失点
2018.02.10 京都 92 94
2017.12.16 三河 94 104

京都も三河も高い攻撃力を誇るチームなので、この試合は相当な点の取り合いだったことが予想されます。非常に観戦しがいのある試合だったことでしょう。

では以下で各シュートの指標を同じ要領で見ていきましょう。

シュートの成功確率

以下は2点シュートの成功確率、3点シュートの成功確率、フリースローの成功確率を同じ要領で箱ひげ図にしたものです。

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2点シュートには差がなく、3点シュートには大きな差があり、フリースローにも勝ち試合の方が確率で上回る傾向があるのが分かります。これを見る限りどうも3点シュートの確率に鍵がありそうです。

ちなみに3点シュートを打った回数についてはあまり差はないようです。

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新潟のスリーポイントの状況

選手ごとのスタッツの話になりますが、以下が新潟の選手のスリーポイントの成績です。目立つところで言えば、五十嵐のスリーポイントの本数です。この数字は川崎の辻に続き、リーグで2番目の多さです。

2017-18シーズンの新潟の選手のスリーポイント

PLAYER 打った回数 成功率
五十嵐 圭 335 0.34
城宝 匡史 183 0.34
池田 雄一 176 0.38
ダバンテ・ガードナー 149 0.30
今村 佳太 130 0.38
ラモント・ハミルトン 107 0.34
鵜澤 潤 97 0.40
畠山 俊樹 91 0.33
遥 天翼 45 0.29
オースティン・ダフォー 27 0.26
森井 健太 19 0.21
佐藤 優樹 10 0.30

五十嵐は成功率が34%に留まっており、チームの主要なスリーポイントシュートの担い手としては少し物足りない数字となっています。例えば川崎の辻は39%の成功率を達成しています。

五十嵐の負担が大き過ぎるのではないか?

五十嵐はポイントガードとしてチームのゲームメイクもこなしつつ、主要なスリーポイントシューターとしての役割も担っていることになります。

スリーポイントに限らず、ジャンプシュートは自分でドリブルをしてから打つよりも(いわゆるプルアップ)、パスをもらって打つ方が高い確率で決まることは知られており、その意味でもポイントカードがシューターの役を担わない方が理想的です。

実際にリーグで多くスリーポイントを打っている選手を見ると、純粋にポイントガードとしての役割もこなしているのは千葉の富樫くらいに思えます。富樫のスリーポイント成功率は4割を超えますが。

2017-18シーズンで多くのスリーポイントを打った選手

TEAM PLAYER ポジション 打った回数 成功率
川崎 辻 直人 SG 373 0.39
新潟 五十嵐 圭 PG 335 0.34
琉球 岸本 隆一 PG/SG 327 0.36
西宮 ドゥレイロン・バーンズ SG/SF 318 0.32
三遠 田渡 修人 SG 305 0.39
京都 岡田 優介 SG 300 0.36
千葉 富樫 勇樹 PG 280 0.42
三河 金丸 晃輔 SG/SF 271 0.40
富山 大塚 裕土 SG/SF 267 0.40
大阪 熊谷 尚也 SF/PF 264 0.32

考えられる対策

簡単にですが、新潟アルビレックスBBの2017-18シーズンについてデータを振り返ってみました。結果を見る限りでは、スリーポイントの成功率の鍵が成功を握っている可能性が高いと見ています。

今シーズンで城宝は契約切れとのことですが、五十嵐に代わるスリーポイントシューターを獲得するか育てるかを検討し、五十嵐をゲームメイクの方に専念させるという対策が考えられるかもしれません。

五十嵐に代わるポイントガードを育て、五十嵐をシューターにするという手もありますが、個人的にはそれは五十嵐のスピードとアシスト力が勿体ないと思います。

参考文献

得点効率の求め方などは、以下の書籍を参考にしています。

Basketball Analytics: Spatial Tracking

Basketball Analytics: Spatial Tracking