2017-18シーズンのBリーグ新人賞には王者アルバルク東京に所属するルーキーの馬場雄大が輝きました。
Bリーグというビジネスの今後の発展を願えば、スター性においてはピカイチの馬場が新人賞を獲るべきだという意見に異論はあまりないと思います。
ですが馬場の試合出場数が少なかったことなどにより、SNSなどを見ているとこの受賞に疑問を呈している方も少なくないようです。
私が目にする意見は大体以下のようなものだと思います。
- 京都の伊藤達哉など、シーズンを通してより活躍した選手がいたはず
- 外国人にも新人賞を開放し、琉球のハッサン・マーティンが受賞するべき
- 選考プロセスが不透明
マーティンについては馬場自身も受賞コメントで言及していましたし、外国人選手への新人賞の開放というのはBリーグが進化していく上で必要な措置ではないかと思います。
透明性については今後は高まるべきと思いますが、まだBリーグは黎明期、ここから大きく育てる為には多少の「大人の事情」は必要ではないかと個人的には考えます。
この記事ではマーティンや伊藤を含め、新人が豊作と言われた2017-18シーズンの新人たちのスタッツを比較してみたいと思います。
なお、新人一覧のようなものを見つけられなかったので、ここで比較されるべき活躍した新人を見逃している場合があると思います。お気づきの方はご指摘頂けると幸いです。
まずは出場試合数(G)、スタメンででた試合数(GS)と総プレイ時間(MIN)を見てみましょう。
2017-18シーズンに活躍した新人選手
TEAM |
PLAYER |
G |
GS |
MIN |
琉球 |
ハッサン・マーティン |
58 |
45 |
1612.88 |
京都 |
伊藤 達哉 |
56 |
56 |
1415.08 |
名古屋D |
安藤 周人 |
56 |
32 |
1351.97 |
滋賀 |
高橋 耕陽 |
56 |
22 |
1068.63 |
横浜 |
田渡 凌 |
58 |
11 |
1043.53 |
北海道 |
関野 剛平 |
60 |
42 |
1117.43 |
A東京 |
馬場 雄大 |
40 |
7 |
831.13 |
マーティン、伊藤、関野についてはもはやチームの主力選手として活躍していた様子が窺えます。伊藤について言えば全試合スターターとしての出場だったようです。これはすごい記録なのではないでしょうか。
馬場はケガで戦線を離脱したのは痛かったですが、シーズン終盤に戻ってこられて本当に良かったですね。
得点力からの考察
各選手の得点力・シュート力を見てみます。総得点(PTS)、試合平均得点(PPG)、分ごと得点数(PPM)、フィールドゴール%(FGP)、そして前回の記事で取り上げましたEFG%とTS%です。簡単に言うと最後の2つはFGPの改造版だと思って頂ければ。
2017-18シーズン新人選手の得点効率
PLAYER |
PTS |
PPG |
PPM |
FGP |
EFGP |
TSP |
ハッサン・マーティン |
889 |
15.3 |
0.55 |
0.64 |
0.64 |
0.66 |
伊藤 達哉 |
505 |
9.0 |
0.36 |
0.43 |
0.46 |
0.49 |
安藤 周人 |
448 |
8.0 |
0.33 |
0.41 |
0.52 |
0.55 |
高橋 耕陽 |
386 |
6.9 |
0.36 |
0.42 |
0.49 |
0.52 |
田渡 凌 |
372 |
6.4 |
0.36 |
0.42 |
0.43 |
0.47 |
関野 剛平 |
365 |
6.1 |
0.33 |
0.38 |
0.47 |
0.50 |
馬場 雄大 |
339 |
8.5 |
0.41 |
0.52 |
0.57 |
0.60 |
マーティンはひとりインサイドのプレーヤーであることもありかなり高い数字を誇ります。
伊藤、安藤、馬場の3人も高い得点力があることが分かりますが、シュートの効率性という観点から馬場は一歩抜け出しているようです。特にTS%が60%に達しているのは注目に値します。
このような数字に至った理由が気になるので、計算の元になった数字を個別に見てみましょう。以下はスリーポイントとフリースローを打った回数(TPGA/FTA)とその成功確率(TPGP/FTP)です。
2017-18シーズン新人選手の3Pとフリースロー
PLAYER |
TPGA |
TPGP |
FTA |
FTP |
ハッサン・マーティン |
3 |
0.00 |
262 |
0.67 |
伊藤 達哉 |
91 |
0.28 |
109 |
0.68 |
安藤 周人 |
245 |
0.36 |
59 |
0.76 |
高橋 耕陽 |
162 |
0.28 |
72 |
0.75 |
田渡 凌 |
59 |
0.17 |
72 |
0.75 |
関野 剛平 |
171 |
0.33 |
85 |
0.69 |
馬場 雄大 |
75 |
0.35 |
80 |
0.69 |
安藤はかなりの3Pシューターであることが分かります。本数は少ないですが、馬場の確率も35%と悪くないです。一方で伊藤はあまり外からのシュートで活躍するタイプ選手ではないようです。
フリースローについては、新人はそれぞれ改善の余地があるようですね。
アシスト、ターンオーバー、リバウンドからの考察
アシスト、リバウンド、スティールを見てみましょう。この数字も選手の役割によって大きく影響される数字なので単純には比較できませんが、参考にはなると思います。
アシスト(APG)、ターンオーバー(TOPG)、オフェンスリバウンド(ORPG)、ディフェンスリバウンド(DRPG)は全て試合平均の数字です。
2017-18シーズン新人選手のアシスト、ターンオーバー、リバウンド
PLAYER |
APG |
TOPG |
ORPG |
DRPG |
ハッサン・マーティン |
1.2 |
1.95 |
2.26 |
6.09 |
伊藤 達哉 |
4.4 |
2.00 |
0.62 |
1.89 |
安藤 周人 |
1.7 |
0.89 |
0.48 |
2.16 |
高橋 耕陽 |
1.0 |
1.16 |
0.73 |
1.64 |
田渡 凌 |
3.0 |
1.26 |
0.24 |
1.28 |
関野 剛平 |
1.1 |
1.07 |
0.43 |
0.73 |
馬場 雄大 |
2.1 |
1.23 |
0.48 |
2.25 |
伊藤と田渡はポジションがそれを求める部分もありますが、アシストの数字は良いです。
マーティンと伊藤は少しターンオーバーの数字が気にあるところ。また個人的な意見ですが馬場はもう少しリバウンドを取ってもいいかもしれません。
安藤は先ほどの3Pの確率の高さといい、ここでのターンオーバーの少なさといい、かなり安定した良い選手のように思えます。
ディフェンスからの考察
最後にディフェンス関連の数字を見てみましょう。こちらも試合平均になっています。スティール(STPG)とブロックショット(BSPG)です。
PLAYER |
STPG |
BSPG |
ハッサン・マーティン |
1.03 |
1.36 |
伊藤 達哉 |
1.29 |
0.04 |
安藤 周人 |
0.41 |
0.12 |
高橋 耕陽 |
0.95 |
0.21 |
田渡 凌 |
0.84 |
0.00 |
関野 剛平 |
0.75 |
0.08 |
馬場 雄大 |
1.15 |
0.32 |
ダンクに繋がることもあり、馬場にはスティールのイメージが強いですが、数字にも表れているようです。伊藤とマーティンもスティールでは頑張りました。ポジション的にはマーティン以外はブロックショットにはあまり縁がないですが、これも馬場はもう少し高くても良いような気がします。
まとめ
新人が豊作と言われた2017-18シーズンでしたが、データを分析していてもとても楽しくなるラインナップでした。
データを見る限りは馬場の受賞は「悪くない」というのが個人的な意見ですし、冒頭にあげた通りにマーケティングなどの観点からは「正解」であるとも思います。
ただそれはもちろん、その他の新人選手の活躍を否定するものではありません。
来シーズンはどんな新人がBリーグを沸かすのか。そして今シーズンの新人たちはどのように飛躍するのか。今から楽しみですね。