月別アーカイブ: 2018年8月

淡々と数字だけで振り返る2017-18の永吉(京都)、橋本(大阪)、今村(新潟)、佐藤(滋賀)

永吉佑也(京都)

昨シーズンは57試合に出場(内56試合はスタメン)し、総得点は469点はチームで5位でした。個人的にはスミスとマブンガは別枠として、京都の伊藤から晴山くらいまでが誰でも点を取ってくるスタイルのバスケットは好きです。

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得点を試合平均にすると8.9点で、これは攻撃力の高い選手を揃える京都にあって立派な数字だと思います。推移を見ても安定して得点を取っている様子が分かると思います。

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スリーポイントシュートも140本を打って34.3%で成功していて、これもインサイドの選手としては優秀と言えるでしょう。フリースローが68%なのは、ファウルを受けやすいインサイドの選手としては今後の改善が望まれるポイントでしょうか。リバウンド試合平均3.9本も少し物足りない数字です。

橋本拓哉(大阪)

橋本についてはいくつか特筆するべき数字があると思っています。まずチームで5番目の総得点を挙げるも、57試合中スタメン出場は32試合のみ。主にシックスマンとして活躍していたとも言えると思いますが、試合平均で7.2点の得点力を見せています。

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シーズン中に20点を超えたゲームが4つあるのも立派です。しかもシーズンベストの23点を挙げた対京都戦(2017年12月29日)は、わずか18分の出場でこの点数を挙げています。この得点力が安定してくればかなり化ける選手だと思っています。実際に最近の代表戦でも橋本の得点力は重要だったと思います。A代表の可能性もチラッと見えてきた選手だと思っています。

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もうひとつ彼の得点力で素晴らしいのは、フリースローが上手いところです。シーズン通して83.8%というのも立派ですが、橋本は自身の総得点の27%をフリースローで挙げており、これは下の記事でも取り上げましたがリーグでトップクラス(6位タイ)の数字です。

近年こういう点の取り方(例えばロケッツのハーデンみたいに)は重要になってきていると個人的には考えているので、是非ファウルを誘う技術も向上させ、フリースローを上手く使い、得点を安定して量産できるような選手に成長して欲しいと思います。

今村佳太(新潟)

以前に以下のような記事を書いていたのですが、そこでは言及しなかったものの、個人的には今後の新潟は今村をどのように良いスリーポイントシューターに育てるかが大事だと思っています。

今村がこのシーズンに打ったスリーポイントの回数は130本と少ないものの(ちなみにチームトップ、リーグ2位の本数を打った五十嵐は335本)、37.7%の確率でスリーポイントを決めている今村の今後の役割は大きいと思っています。記事でも触れている通り、五十嵐ではなく誰か別の選手がメインのシューターとしての役割を担うべきだと思っているからです。

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今村の高さがあり、さらに高い確率でスリーポイントを決めてくるようになれば、例えば三河の金丸のように相手のチームにとって脅威の存在となれると思います。

理由は知りませんが今村は序盤戦はあまり出番がなかったものの、後半戦になるにつれて出番も増え、それに合わせて平均得点もどんどん上向いていました。

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スリーポイントの確率も、最後に少し落としたものの、シーズンを通じて40%以上の高い確率を保っていました。一時は50%を超えていた瞬間もあります。

今後チームの中心選手としてプレイ時間が伸びる中で、どれだけこの確率を保ったままスリーポイントを決め続けられるかが、今村にとっても新潟にとっても重要なひとつのポイントになるでしょう。

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佐藤卓磨(滋賀)

佐藤は前シーズンでは31試合に出場(うち21試合がスタメン)で、総プレイ時間が477分とこの記事で紹介している選手の中では若干少なめの数字です。総得点数も103点(試合平均では3.3点)と、あくまで数字について言えば、まだチームに大きく貢献するというところまで行っていないと思います。

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ただ例えば2018年2月3日の対千葉戦では26分の出場で16点を挙げるなど得点力のポテンシャルの高さを見せていますし、佐藤の上背を活かせば今後リバウンドでチームに貢献できる可能性も高いと思います(ただし2017-18シーズンは試合平均2.1本止まり)。

まとめ

永吉(京都)、橋本(大阪)、今村(新潟)、佐藤(滋賀)の2017-18シーズンの数字を振り返ってみました。

追記

言及したゲームのハイライト動画を貼っておきます。

大阪エヴェッサvs京都ハンナリーズ|B.LEAGUE第15節 GAME1Highlights|12.29.2017 プロバスケ (Bリーグ)

滋賀レイクスターズvs千葉ジェッツ|B.LEAGUE第18節 GAME1Highlights|02.03.2017 プロバスケ (Bリーグ)

2017-18シーズンのトリプルダブルを振り返る

NBAオクラホマ・サンダーからラッセル・ウェストブルックが来日し、大いに日本のバスケット界が盛り上がったようです。

ウェストブルックはシーズン平均でトリプルダブル(3つの指標で2桁の数値を記録する)を達成するなどの大記録からMr. Triple-Doubleと呼ばれていますが、この記事では昨シーズンのB1でのトリプルダブルを振り返ってみたいと思います。

なおトリプルダブルは得点・アシスト・リバウンドのセットで達成することが多いものの、別にスティールやブロックショットを含めて達成することも出来ます。

しかしながら以前に以下の記事で取り上げたように、スティールとブロックショットに関してはまだ1試合で2桁を達成した選手はBリーグにいません。

よって今回出てくるトリプルダブルはすべて得点・アシスト・リバウンドの組み合わせでの達成となっております。

ニック・ファジーカス(26得点、11リバウンド、11アシスト)

2017年11月3日、まだシーズン序盤の対名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦での記録です。ファジーカスと言えば2桁得点は当たり前ですし、このシーズンはリバウンド王にもなったので2桁リバウンドもあまり珍しくはありませんが、11アシストはすごいですね。

スタッツを見ると、前半終了時には9本のアシストを決めていたようです。そしてその9本目は辻へのロングタッチダウンパス!自陣のゴールラインから見事にロングパスが通りました。

ファジーカスの得点力とリバウンド力はまだしばらくはBリーグトップクラスのままでしょうから、この試合のようにアシストの機会が多くなると、またファジーカスがトリプルダブルを出す可能性はかなり高いと思います。

桜木ジェイアール(15得点、11リバウンド、10アシスト)

2017年の大晦日の試合での記録で、これまた相手は名古屋です。桜木はご存知の通りオールラウンドプレイヤーなので、特にトリプルダブルに驚きはないように思いますが、これがBリーグでは自身初のトリプルダブルになります。

桜木の場合はポストプレイから攻撃を作れるのが本当に武器ですよね。そこから自分で点も取れるし、中に切り込んできた味方にアシストも出来ます。身長(活かしてリバウンドも取れますし、まだまだ大ベテランのこれからが楽しみです。

特に来シーズンは比江島が抜けたこともあり、より桜木の活躍ぶりには注目が集まります。

宇都直輝(20得点、10リバウンド、12アシスト)

2018年3月17日の対レバンガ北海道戦での記録です。ちなみに宇都は2016-17シーズンにも一度トリプルダブルを達成しているため、これは自身2度目のトリプルダブルになります。

宇都の場合もアシスト王であり、かつ帰化選手の除く日本人の中では得点王でもありますし、上背もあることからトリプルダブルを出すのもそんなにめずらしくないかもと思ったのですが、そんな宇都でもシーズンに1回出るか出ないかのようです。

動画を観ると分かりますが、この日も得意のドライブからバンバン得点とアシストを量産していたようです。どれも華麗ですが、特に前半残り5分くらいでのドライブからのサム・ウィラードへのアシストは見事ですね(動画だと1:15くらいです。)

宇都についてはこのブログでも何度か取り上げていますが、がらりと面子が変わった富山で、また来シーズン宇都のトリプルダブルは飛び出すのか、注目したいと思います。

まとめ

昨シーズンのB1で達成された3つのトリプルダブルについて取り上げました。やはりそうそう簡単に飛び出すものではないことが分かります。

そして達成した選手を見ると、出すべきして出したと言える実力の持ち主であることも分かります。マグレで達成できるものではないですね。

来シーズンの開始が待ち遠しい今日この頃ですが、より多くのトリプルダブルが飛び出すのか、それにも注目しながら来シーズンを期待して待っていたいと思います。

しかし、ウェストブルックは本当にすごいですね。

Bリーグの最成長選手賞を勝手に表彰する

NBAにはMIPことMost Improved Player(最成長選手賞)という賞が設けられていますが、私の独断と偏見でこの賞をBリーグの選手にも授与してみたいと思います。

Bリーグも2シーズン目が終わったので、単純に1シーズン目と2シーズン目を比べて目立った変化があった選手をデータから見つけ出そうと思います。ちなみに賞の対象者を抽出するにあたり、以下の条件に当てはまる選手は除外しました。

  • 1シーズン目に少しだけリーグに参加し、2シーズン目に本格参戦した新人選手
  • 1シーズン目と2シーズン目で違うチームでプレーした選手

当たり前ですけれど最終的な選出は極めて主観で行っておりますのでご了承ください。

試合平均点が伸びた選手

昨年より点を取るようになった選手を探すべく、試合平均点が増した選手のベスト20を見てみましょう。

選手 チーム 試合平均点の増減 出場試合数の増減 平均出場時間(分)の増減
宇都 直輝 富山 7.5 -1 4.91
ダバンテ・ガードナー 新潟 6.8 5 3.37
高橋 耕陽 滋賀 6.6 44 16.72
大塚 裕土 富山 6.0 8 19.90
熊谷 尚也 大阪 5.1 0 12.42
満田 丈太郎 横浜 5.0 41 15.02
上江田 勇樹 富山 4.7 22 10.53
安藤 周人 名古屋D 4.5 35 11.96
関野 剛平 北海道 4.5 42 11.60
桜木 ジェイアール 三河 3.9 2 5.38
晴山 ケビン 京都 3.7 27 11.82
永吉 佑也 京都 3.7 -3 11.42
ギャビン エドワーズ 千葉 3.5 0 3.02
ベンドラメ 礼生 SR渋谷 2.8 10 3.31
藤高 宗一郎 大阪 2.5 -8 5.55
セオン・エディ 西宮 2.5 20 11.71
富樫 勇樹 千葉 2.5 -10 -1.55
鵜澤 潤 新潟 2.4 13 7.98
山内 盛久 SR渋谷 2.3 14 9.39
並里 成 滋賀 2.3 13 3.02

トップは日本人得点王の宇都、二番手は得点王のガードナーという結果になり、その後は2017-18に本格的に活躍し出した新人か、もしくは富山の大塚や上江田のように移籍をきっかけに大きく出場時間の増えた選手が並んでいます。

この中で個人的に気になるのは大ベテランながら去年より4点近く平均点を上げてきた桜木ジェイアールです。2017-18シーズンでは三河のチーム得点王だった桜木ですが、チームの主力に変化があった後の三河をどのように引っ張っていくでしょうか。

試合平均アシスト数が伸びた選手

アシストは基準が昨シーズンより変わったとかで、実はどの選手も軒並み伸びている傾向にあり、あまり見ても面白くないかもしれませんがベスト20を見てみましょう。

選手 チーム 試合平均アシスト数の増減 出場試合数の増減 平均出場時間(分)の増減
宇都 直輝 富山 3.4 -1 4.91
並里 成 滋賀 3.2 13 3.02
山内 盛久 SR渋谷 2.5 14 9.39
田中 大貴 A東京 2.4 -5 -0.27
五十嵐 圭 新潟 1.9 2 -1.34
二ノ宮 康平 琉球 1.7 33 8.38
橋本 竜馬 三河 1.7 9 3.80
辻 直人 川崎 1.6 8 3.32
笹山 貴哉 名古屋D 1.6 -3 -3.55
相馬 卓弥 島根 1.6 -1 3.10
岸本 隆一 琉球 1.6 0 -2.02
西村 文男 千葉 1.5 25 2.65
満田 丈太郎 横浜 1.5 41 15.02
多嶋 朝飛 北海道 1.4 1 -4.85
エグゼビア ギブソン 大阪 1.4 -30 1.78
長谷川 智也 SR渋谷 1.4 -7 7.48
合田 怜 大阪 1.4 3 6.27
橋本 拓哉 大阪 1.4 -3 2.29
大塚 裕土 富山 1.3 8 19.90
佐藤 託矢 横浜 1.3 -1 1.24

アシストでリーグ1位、2位だった宇都と並里が増分でもワンツーフィニッシュという形になりました。渋谷の山内は今まであまり私がデータをいじくる中では出てこなかったので、何となく嬉しいです。

試合平均リバウンド数が伸びた選手

続いてリバウンドです。ギブソンの躍進が光り、約2本も増加しています。そしてまたしても桜木の名前が見えています。

選手 チーム 試合平均リバウンド数の増減 出場試合数の増減 平均出場時間(分)の増減
晴山 ケビン 京都 2.0 27 11.82
高橋 耕陽 滋賀 2.0 44 16.72
エグゼビア ギブソン 大阪 1.9 -30 1.78
永吉 佑也 京都 1.8 -3 11.42
桜木 ジェイアール 三河 1.4 2 5.38
安藤 周人 名古屋D 1.3 35 11.96
満田 丈太郎 横浜 1.3 41 15.02
熊谷 尚也 大阪 1.2 0 12.42
鵜澤 潤 新潟 1.2 13 7.98
上江田 勇樹 富山 1.2 22 10.53
川邉 亮平 北海道 1.2 51 7.79
ダバンテ・ガードナー 新潟 1.2 5 3.37
相馬 卓弥 島根 1.1 -1 3.10
セオン・エディ 西宮 1.1 20 11.71
田代 直希 琉球 1.1 9 3.52
大塚 裕土 富山 1.0 8 19.90
鹿野 洵生 三遠 0.8 0 4.11
宇都 直輝 富山 0.7 -1 4.91
二ノ宮 康平 琉球 0.7 33 8.38
古川 孝敏 琉球 0.7 1 -0.33

表彰

という訳で冒頭で述べた通り完全に主観ですが、大ベテラン、そして能力の高いチームメートに囲まれてプレイしているにも関わらず、2016-17シーズンと比べて平均得点を3.9点、平均アシストを1.2回、平均リバウンドを1.4回も増加させた三河の桜木ジェイアール選手にMIPを勝手に授与したいと思います。

選手 チーム 平均得点の増減 平均アシストの増減 平均リバウンドの増減 出場試合数の増減 平均出場時間(分)の増減
桜木 ジェイアール 三河 3.9 1.2 1.4 2 5.38

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移籍をきっかけに伸びた選手に関してはこちらで取り上げています。