月別アーカイブ: 2019年1月

選手の起用状況をヒートマップで把握する(B2版)

ひとつ前の記事で今シーズンのB1各チームがどのように選手を起用しているか、ヒートマップで可視化しました。

この記事では引き続き、今季のB2各チームについて選手の起用状況を可視化したいと思います。こちらも31ゲーム終了時点までです。

東地区

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茨城ロボッツはラマートとバプテストをきれいに交互に起用していますね。これは機械的にこのようなローテーションにしているのか、それとも何かの事情があってのものかは知りませんが、結構めずらしいパターンです。

各チームともやはり外国籍選手のプレータイムは長めになっているようですが、福島ファイヤーボンズはそれを少し分散させている様子です。日本人選手の起用もかなり万遍ない感じの全員バスケットなチームなんですね。

中地区

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まずは八王子ビートレインズですが、シーズン序盤に怪我をはじめとして色々あった為、この図がかなりすごいことになってしまっています。ゲーム中に5人にプレイヤーが満たなくなったりとプロのチームとしての試練もありましたが、この図を見るとそういう時期は抜けたようなので頑張って欲しいですね。

アースフレンズ東京Zは27、28ゲームくらいからかなり起用の様子が変化していますね。同チームの状況をまったく把握していないのですが、怪我などによる主力選手の離脱によるものでしょうか。大学生プロとなった久岡はどんどんプレータイムを伸ばしていますね。

西宮ストークスはプレータイムの寡占具合が気になりますね。外国籍選手はもとより、谷と道原の負担が大きいようです。信州ブレイブウォリアーズと金沢武士団はかなりきれいな図になっていますので、こちらも全員バスケットと言って良さそうです。

西地区

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バンビシャス奈良はハミルトンとパーマーの負担がかなりのようで、これだけ見ると3人目の外国籍選手がいないことが少し不安になります。契約解除となった広島のトンプソンは他の外国籍選手に比べるとそこまでプレータイムが長くなかったようですね。

熊本ヴォルターズもプレータイムが寡占傾向にあるようです。逆に愛媛オレンジバイキングスはプレータイムがシェアされていますが、例外的に笠原だけ非常にプレータイムが長いですね。興味深いです。

選手の起用状況をヒートマップで把握する

ざっと物事を把握するときには数字よりもビジュアルが便利な場合があります。今回は2018-19シーズンのここまで(31試合終了時点です)の選手の起用状況をヒートマップにして把握してみたいと思います。

y軸に各選手を並べ、x軸を左から1~31ゲーム目とし、それぞれの試合におけるその選手のプレータイムの長さを色の濃淡で表しています。プレータイムがなければ白であり、40分(もしくは延長でそれ以上)プレーした場合に向かって色がどんどん濃くなります。

東地区

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ぱっと見で気になるのは渋谷のサクレとケリーのプレータイムがかなり嵩んでいることです。北海道のトラソリーニもミュレンズ加入まではかなり長い時間プレーをしてきたようです。秋田は中山もかなりプレーしていますね。あのプレースタイルでこのプレータイムはすごいです。

東京のビエリツァとウィリアムズが交互に起用されているのが分かりますね。斎藤が小島の、馬場が田中の欠場をそれぞれ埋め合わせている様子も分かります。千葉の小野の欠場から復帰したことや、比江島が栃木に加わったことによるプレータイムの変化も今後は注目です。

そう言えば北海道が内海新体制となったのは20ゲームからだと思いますが、そこから折茂さんがプレータイムを伸ばしているのもこれを見ると分かります。

中地区

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新潟はガードナー、ハミルトン、五十嵐への負担の大きさがかなり目立ちます。同チームのベンチメンバーによる得点の割合が低いことは別の記事で書きましたが、ベテランが中心のメンバーという事もあり、後半戦の持久力への影響は気になるところです。

横浜は外国籍選手の入れ替えが序盤にかなりあったので、かなり多くの選手がこの図に顔を出す結果となっています。富山は3人目を獲得したようですが、これでスミスとライオンズの負担が多少は減ることが予想されます。

三遠はよい形でプレータイムがシェアされているように見えますね。三河は岡田の活躍が今後どうチームの起用に影響するかが見ものです。ここには含まれませんが、直近のゲームでは30分を超えるプレータイムを獲得していました。

西地区

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まずは京都ですが、この31ゲーム目あたりでは実質7人ほどで回しているように見え、獲得した特別指定の選手や新たに獲得する選手などでロスターのバランスが取れてくるとよいです。

琉球は並里、橋本、岸本の3ガード体制がシーズン前に話題になっていましたが、その3人はこう見ると満遍なく起用され、石崎がそれをバックアップしているようです。アイラの欠場以降はスコットとエアーズの負担が増しています。

名古屋も日本人選手は満遍なく起用されているようです。横浜から移籍した満田がもう少しプレーしているイメージがありましたが、それでもきっちりとローテに組み込まれているようです。

サンプルコード

この記事の図を描いたときのコードがこちらにあります。

これまで3シーズンのすべてのゲームの観客動員数を見てみる

Bリーグ開幕からこれまで3シーズンのすべての観客動員数を見てみましょう。なお2018-19のデータは31試合終了時点までです。3シーズン合わせてなんとここまで2709試合。

レギュラーシーズンだけでもこのゲーム数です。日々これだけのゲームを回されている運営の方々には感謝の気持ちでいっぱいですね。ありがとうございます。

さて以下の図はそのすべてのゲームを時系列にプロットしたものです。B1とB2で色分けをしています。直線はいわゆる回帰直線で、要は直線でこれらの点を近似するとしたらどんな線になるのかを計算で求めたものです。

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まず回帰直線ですが、嬉しいことにB1、B2ともの緩やかではありますが上昇傾向にありますね。Bリーグが目標にしている年平均成長率10%に届くかと言われれば届かないかもしれませんが、いずれにせよグッドニュースです。

また若干ではありますがB1とB2の差が詰まってきているようにも見えます。B1のトップチームはアリーナのサイズの問題で動員数をこれ以上増やすことが難しいチームも出ていますから、これは伸び代のあるB2が成長している証として素晴らしいのではないかと思います。

ちなみに上のデータは若干の季節変動があります。それを見るために同じデータを月ごとに分類してみましょう。こちらはシーズンで色分けを行っています。今回はこのブログではおなじみの箱ひげ図は使わず、ジッタープロットと呼ばれる図を使います。

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季節変動ですが、開幕から年末年始に向けて徐々に動員数を減らし、そこからシーズン終盤の5月に向けてまた動員数が伸びていく様子がわかると思います。もちろんこんなこと図にしなくても分かりきっていることなのですが、こうして見てみると面白いものです。

今度は曜日ごとに分けてみましょう。今シーズンは平日開催を増やしており、特に地方都市での観客動員数への影響が心配されています。

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今シーズンの水曜日はなかなか健闘しているのではないでしょうか?今シーズンの終盤に向けてどれだけの水曜日開催が残っているか知らないのですが、中盤時点でも前2シーズンにあまり見劣りしていませんから、終盤の水曜日開催ではさらに多い動員が期待できるのではと思います。

ちなみにそうやってシーズン間で値を比べたいのであれば、やはり箱ひげ図が便利ですね。ジッタープロットだとそれぞれのグループのデータ量のイメージが掴めるので、このように曜日ごとにデータ量が全然ちがうことを表現するのには都合が良いのですが。

サンプルコード

この記事にある図を描いたときのコードがこちらにあります。

ベンチメンバーはどれくらい得点を取っているのか?

各チームのベンチメンバーはどれくらい得点に貢献しているのでしょうか?先日シーホース三河のサザランドがいつもベンチスタートなことに気が付いてから気になっていました。

サザランドがいる三河の様に強力な帰化選手がいると外国籍選手をベンチスタートとすることもできます。結果としてベンチメンバーが多く得点に貢献する形になりそうです。

以下は各チームのベンチメンバーが総得点に占めた割合を箱ひげ図にしたものです。例えばあるチームが80点取ったとき、スタメンによる得点が50点であればこの値は30/80で37.5%となります。

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アルバルク東京はベンチメンバーで40%くらいの得点を標準的に挙げていますね。そんなにアルバルク東京のゲームは追っていないですが、馬場もベンチスタートですし、竹内譲二がスタメンになると外国籍選手のひとりがベンチスタートになります。そういうことが影響しているのでしょう。

サザランドの三河は千葉ジェッツに次ぐ3番手ですが、この2チームは上述のように強力な帰化選手がいるパターンですね。大阪エヴェッサも同様でしょうか。川崎ブレイブサンダースはそこまでではないのは面白いです。

新潟と京都は極端にベンチメンバーによる得点の割合が低いですね。こちらはベンチメンバーというよりも、ガードナー、マブンガ、サイモンなど得点力のあるスタメン外国籍選手への得点力の依存の結果かもしれません。ちなみに新潟は今季既にベンチメンバーが0点というゲームがありました。

B2も見てみましょう。

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B2では福島ファイアーボンズとバンビシャス奈良が抜け出しています。B1のトップのアルバルク東京よりは大分下がりますが、標準的に30%ほどはベンチメンバーによる得点のようです。

B2はB1ほど各チームに差がありませんが、島根スサノオマジックは中央値が15%にせまる勢いですし、全体的にB1よりも割合が低いですね。八王子ビートレインズの結果は、ご存知の通りそもそもベンチメンバーがあまりいないということによるものだと思われます。

最後にB1全体とB2全体を比べてみましょう。以下のようにB2の方がベンチメンバーによる得点の割合が低いことが分かります。

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クォーターごとの得点、失点、得失点差を見てみる

今季から外国籍選手が常に2人コートに立てるようになり、ある意味では全部のクォーターが平等な扱いになりました。そこで各チームのクォーターごとの得点、失点、得失点差を見てみたいと思います。何か傾向があるでしょうか?

クォーターごとの得点

まずはクォーターごとの得点を見てみましょう。ちょっと図が込み入っておりますが、それぞれの箱ひげが今シーズンここまでの各クォーターの得点を表しています。

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色々と気になる部分はありますが、千葉ジェッツ、サンロッカーズ渋谷、横浜ビー・コルセアーズ、滋賀レイクスターズなどが第2クォーターに得点を落としがちな部分がまず気になりました。

ひとつひとつ詳しく調べていけば理由は分かりそうですが、現時点の仮説はこれは選手のローテーションによるもので、チームとしては想定内だということです。得点力のある外国籍ビッグマンのプレータイムを第2クォーターに抑えがちなんじゃないかと予想します。

名古屋ダイヤモンドドルフィンズや大阪エヴェッサなど出だしがあまり芳しくないチームがいるのも面白いです。名古屋ダイヤモンドドルフィンズは今季は特にスリーポイント中心のチームですので、その辺りと何か相関がありそうです。

B2で圧倒的に目立つのが群馬クレインサンダーズの第3クォーターですね。これは一体どういう現象なのでしょうか。次に群馬のゲームを観ることがあれば第3クォーターに注目したいと思います。

クォーターごとの失点

続きましては失点です。同じ要領で見てみましょう。

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千葉ジェッツは前半と後半でずいぶんと失点が違います。千葉ジェッツレベルのチームが後半に弱い、という結論には簡単にならないと思いますが、面白いポイントであることには間違いなさそうです。

新潟アルビレックスBBと富山グラウジーズの第3クォーターでの失点の増加具合は似ているような気がしますね。あと気になるのは川崎ブレイブサンダースの第4クォーターでしょうか。第4クォーターは他のクォーターと違ってガベージタイム等を含む場合がありますので単純に他のクォーターと比較できない面はありますが、気にはなりますね。

B2はバンビシャス奈良や福島ファイヤーボンズが千葉ジェッツと似たような傾向で後半に失点が多いです。信州ブレイブウォリアーズの第4クォーターも川崎ブレイブサンダースと似ていますが、今季すごく好調なチームだけにこちらはガベージタイムによるものかもしれません。

クォーターごとの得失点差

では最後に両方をがっちゃんこした得失点差を見てみましょう。

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両方を合わせたものなので当たり前ですが、上述の傾向が重なったものになっております。全体的な傾向として感じるのが、やはりクォーターごと、特にハーフタイム前後ではゲームの雰囲気は変わるのかな、ということです。

バスケットボールは選手同士、選手とベンチのコミュニケーションが比較的に取りやすいスポーツで、細かな摺り合わせを連続していく必要のあるスポーツです。それを一番タイトに行えるのがやはりクォーター間だったりハーフタイムであったりするので、ヘッドコーチなりアシスタントコーチなりの実力が反映される部分かもしれません。

コード

この記事の図を描いたRのコードをこちらにアップロードしてあります。ご興味のある方はどうぞ。

B.LEAGUEデータ分析用Rパッケージ「bleaguer」を公開しました

※「Bリーガー」ではなく「Bリーグアール」と読みます

※この記事は随時更新される予定です

bleaguerって何?

bleaguerはプログラミング言語Rのパッケージ(拡張機能)です。このパッケージを使うと、B.LEAGUEのデータ分析をするのに便利なデータと機能が簡単にRで利用できます。

bleaguerは私が普段分析作業に使っているデータや関数などを便利にまとめたもので、ここ最近の分析作業はこのパッケージを自分で使いながら行っています。少なくても私の効率はこれで大分上がりました。

何ができるの?

  • 各種B.LEAGUEのデータをRに簡単にロードできます。現時点でサポートされているデータは以下の様なものです。
    • ゲームの日付
    • 開催アリーナ名称
    • 観客動員数
    • ゲームの種類(レギュラーシーズン、プレシーズン、ポストシーズン)
    • ホームチームとアウェイチーム
    • チームごとのスタッツ(基本的にはこのページに載っているスタッツです。)
  • 上記の生データを分析に適した形に結合した形で取得することもできます。

何ができないの?

  • プレイヤーの個人スタッツは、試合ごとトータルのみサポートしており、クォーターごとは現在サポートされていません。
  • このブログに出てくるような図を作る部分はこのパッケージでサポートしません。そこは利用側で行うという設計になっています(図を作る例はこちらの記事に掲載予定です。)

免責事項は?

  • B.LEAGUEさんの公式プロジェクトではありません。
  • データの中身の正誤は保証しません。ただし間違いをご指摘頂ければ直せます。
  • 最新の結果を即座に反映する予定はありません。
  • 後方互換性は死守しません(序盤は特に)
  • B.LEAGUEさんの意向等により、公開を中止する可能性があります。

Python使ってるんだけど?

残念ながらもこのパッケージは使えませんが、生データファイルへのアクセスは可能です。そちらを読み込みの上、ご自分でデータの結合、加工などして下されば似たようなことはできます。ファイルの場所は後述します。

Excel使ってるんだけど?

上述のように生データファイルへのアクセスは可能ですが、Excelだと読み込みに問題があるかもしれません。Excelで分析したい方がいましたら、効率的な方法を相談しましょう。

セットアップのやり方は?

※Dockerによる環境構築に対応しました。詳しくは下記リンク先の記事を参照してください。

まずは当然ですがRの実行環境を整えて頂く必要があります。RR Studioのインストールをお勧めします。方法の詳述はこの記事ではしません*1

Rのインストールが終わりましたら、devtoolsというパッケージをインストールしてください。こちらは普通に以下のコマンドをR Studioのコンソールに打つことでインストールできるはずです。

※どうやらdevtoolsに含まれるremotesというパッケージだけインストールするだけでも良さそうです(追記 2020.1.10)

install.packages("devtools")
# 上記でうまく行かない場合
install.packages("devtools", type = 'binary')

ここまで来るとbleaguerパッケージをインストールすることが可能です。以下のコマンドでインストール(私のgithubリポジトリよりダウンロードされます)、及びロードすることができます。

devtools::install_github("rintaromasuda/bleaguer")
library(bleaguer)

インストールは基本的には一度やればいいものです。ただし新しいバージョンがgithubにアップロードされた場合、それを適用するためには再度行う必要があります。新しいバージョンというのは、新しいデータが追加された場合も含みます。

インストール時に関連するいくつかのパッケージのインストールが求められますので行ってください。パッケージのアップデートについて訊かれる場合もあると思いますが、それは必須ではないはずです。お任せします。

どんな生データがロードされるの?

bleaguerをロードした瞬間に、以下のデータがR上にロードされるはずです。これらが生データとなります。

b.teams
b.events
b.games
b.games.summary
b.games.boxscore

b.teamsとb.eventsはいわゆるマスターデータです。Bリーグの各チーム(B1とB2のみ)の名称などのデータと、ゲームの名称や種類のデータが含まれています。

b.gamesはひとつのゲームにつきひとつのレコードができるデータで、そのゲームの種類、日付、観客動員数、対戦したチームのIDなどの情報が入っています。HomeTeamId/AwayTeamIdがb.teamsとTeamIdと、EventIdがb.eventsのEventIdとそれぞれ対応しています。

b.games.summaryはひとつのゲームにつきふたつのレコードができるデータで、そのゲームで対戦した両チームのチームスタッツが入っています。ScheduleKey、TeamIdでb.gamesと結合できるはずです。

b.games.boxscoreはゲームごとの個人スタッツが入っているデータです。こちらはScheduleKey、TeamIdに加えて選手ごとにPlayerIdが振られています。

詳述すると長くなってしまいますので、Rのstr()やsummary()やView()を使って中身を覗き見て頂くとわかり易いのではないかと思います。下記のようなコマンドの実行をすると中身が見られます。

View(b.teams)
str(b.events)
summary(b.games)
View(b.games.summary)
View(b.games.boxscore)

生データを使わないといけないの?

生データを結合するとなるとデータ間の関係などを理解する必要がある為、とっつきやすいように既に結合済みのデータを提供する関数も用意しました。

GetGameSummary()という関数を使うと、チームのスタッツを分析するのに丁度いいデータが取得できます。こちらもstrなどを用いて返り値を確認して頂ければと思いますが、このデータもひとつのゲームにつきふたつのレコードがあるものです。

チームAとチームBがそのゲームを戦ったとして、そのゲームの結果をチームAから見た場合と、チームBから見た場合のふたつが存在するイメージです。

サンプルコードは?

以下のサンプルコードですが、dplyrというパッケージを使うことを前提としております。これもinstall.packages(“dplyr”)でインストールができます。

# %>%などを使用するためにdplyrパッケージのインストールとロード
if (!require(dplyr)) {
install.packages("dplyr")
library(dplyr)
}
df <- GetGameSummary()
# 富山グラウジーズの2018-19レギュラーシーズンの全得点を取得
subset(df, TeamName == "富山" & Season == "2018-19" & Category == "Regular")$PTS
# 富山グラウジーズの2017-18ポストシーズンの全得点を取得
subset(df, TeamName == "富山" & Season == "2017-18" & Category == "Post")$PTS
# 2018-19レギュラーシーズンのB1各チームの平均点と平均失点を取得する
df %>%
filter(Season == "2018-19" & Category == "Regular" & League == "B1") %>%
group_by(TeamName) %>%
summarise(Points = mean(PTS),
OppPoints = mean(Opp.PTS)) %>%
as.data.frame()
# 栃木ブレックスのシーズンごと、アリーナごとの平均観客動員数と試合数を取得する
df %>%
filter(Category == "Regular" & TeamName == "栃木" & HomeAway == "Home") %>%
group_by(Season, Arena) %>%
summarize(MeanAttendance = mean(Attendance),
NumGames = n()) %>%
as.data.frame()
# 描画に使うggplot2パッケージのインストールとロード
if (!require(ggplot2)) {
install.packages("ggplot2")
library(ggplot2)
}
# 横浜ビー・コルセアーズの2018-19シーズンの得点をホーム、アウェイに分けて箱ひげ図にする
ggplot() +
geom_boxplot(data = subset(df, Category == "Regular" &
 Season == "2018-19" &
TeamName == "横浜"),
aes(x = HomeAway, y = PTS))
# 2018-19シーズンのB1各チームの失点を箱ひげ図にする
ggplot() +
geom_boxplot(data = subset(df, Category == "Regular" &
Season == "2018-19" &
League == "B1"),
aes(x = TeamName, y = Opp.PTS))

サンプルコードは必要に応じて随時追加する予定です。上記と同様のものですが、こちらにアップロードもしてあります。また今後ブログ記事の作成にbleaguerを使用した場合、そのコードもこちらのカテゴリにて随時シェアする予定です。

生データのファイルはどこに?

同じgithubリポジトリのここにCSV形式でアップロードされています。

質問がある場合は?

もし利用したいという方がいらして、利用方法で何かしら質問がありましたら私のTwitterまでお問合せ下さい。その用途にSlackグループを作成しましたので、そちらにてお話させて頂ければと思っております。

参照

追記(2020.1.19)

*1:Rのバージョンですが、3.5以降だとbleaguerのインストールに問題がある場合があるようです(Windowsで問題を確認。)現在3.4.xを推奨です。

各チームの得点をスリー、ペイント内、ペイント外、フリースローに分解して見てみる

今シーズンの各チームの得点を

に分解して見てみます。前に各選手の得点で似たようなことをやりましたが、それのチーム版です。

まずはB1のチームについて見てみたいと思います。

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個人的に一番気になったのが、新潟アルビレックスBBの2点(ペイント外)の割合が5.3%と他のチームに比べて非常に少ないことです。

私がバスケットをプレーしていたときはマイケル・ジョーダン全盛期で、ミドルレンジのシュートこそ至高という雰囲気があったように思います。

しかし現代のバスケットでは、ペイント内のシュートと比べて成功確率も高くなく、かつスリーのようにボーナスもないミドルレンジはあまり得策ではないと言われることもあります。

新潟アルビレックスBBもその考え方にに則ったバスケットをしていることが予想されます。ちなみに名古屋ダイヤモンドドルフィンズも同様だと思います。

どちらが正解という話ではないのですが、例えばペイント外の2点が20%もある滋賀とはかなり異なるバスケットをしている事が想像できます。

続いてB2を見てみましょう。

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今シーズン好調の信州ブレイブウォリアーズ新潟アルビレックスBB名古屋ダイヤモンドドルフィンズと似たような感じですね。

ここで気になるのは西宮ストークスのペイント内得点の割合が他と比べてかなり低いことです。B1も併せて唯一の30%台ですね。

今シーズン同チームのゲームを観る機会はまだないのですが、序盤にかなり不調であることは気になっていました。インサイドの得点力に課題があるのでしょうか。

ホーム観客動員数の昨シーズン比を見てみる

現時点でのホームゲーム観客動員数を昨シーズンのものと比べてみたいと思います。ここでは単純に平均を比較します。ちなみにB3 から昇格してきた八王子はデータを持っていないため対象外とさせて頂きました。

たまにはリーグ別に見るのではなくて、B1とB2を一緒に見てみたいと思います。結果の善し悪しでチームを並べてみました。まずは現時点で昨シーズンより増加しているチームを見てみましょう。

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仙台、川崎、熊本の3チームが昨シーズンから20%以上増加しており、全体を牽引しているようです。川崎についてはDeNA体制となったことにより様々な施策が取られている結果でないかと前に記事に書きましたが、仙台や熊本もどのような取り組みをしているのか、興味深いですね。

現時点で昨シーズン比で増加しているのはこの14チーム(八王子を除く35チーム中)にとどまりましたが、北海道や栃木などそろそろ箱がパンパンなチームもありますので、アリーナの問題さえ解決すればまだまだ伸び代はありそうなグループです。このグループにはいませんが、琉球ゴールデンキングスも同様ですね。

昇格組の秋田と福岡ですが、秋田は昨シーズンも多くの動員があったのでこれで良いとして、福岡の伸びはもう少し見たいところですね。こちらは先日大きめのアリーナに引っ越しをしたばかりですので、ここからの伸びには期待したいところです。

個人的には、失礼ながら普段あまり話題には昇らない愛媛オレンジバイキングスが気になっております。15%も伸びているのはすごいですね。こちらも取り組みには着目したいと思います。

次に残念ながら現時点では昨季よりも低くなっているチームを見てみましょう。ちなみに今シーズンは平日開催も多く、単純にこのグループが昨季より悪いとは言えません。

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まず目立つのは降格組の島根と西宮ですね。こちらも以前に記事で取り上げましたが、降格のインパクトは仕方のない面はあるものの、秋田のように降格をしたけれども大きく動員を下げなかったチームもあります。昇格ボーナスに頼るのではなく、真にファンのエンゲージメントを上げる施策が望まれます。

ちなみに上の福岡の例と比べると、昇格したときのインパクトよりも、降格したときのインパクトの方が大きいのではないかと思ってしまいますね。昇降格制度の是非は繰り返し議論されていると思いますが、こういった要因も制度の設計には重要かもしれません。

そして一番気になるのが降格したわけでもないのに大きく動員数を落としている福島、FE名古屋、そして群馬です。まだシーズンの半分であり、後半に動員数は多少は伸びてくる可能性があるものの、この下落はなかなか取り戻すのが大変そうです。Bリーグで規定されている「3期連続の赤字」にリーチがかかっているチームの名前もあり、今後の動員数の行方が気になります。

Bリーグの各チームはどれくらいスリーポイントシュートを打っているのか

NBAのスタッツページを軽く見たところ、今季ロケッツはスリーポイントシュートを1番打っているチームのようです。試合平均で43本も打っているようなのです。NBAの試合時間が48分であることを考慮して1.2で割ると、1試合40分換算で約36本ということになります。

Bリーグの方を見てみましょう。下の図はB1の各チームが今季のここまでの試合で何本のスリーポイントを打ってきたのかを箱ひげ図にしたものです。

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名古屋ダイヤモンドドルフィンズ新潟アルビレックスBBが抜けていますね。それでも中央値(箱の中の線)、平均値(赤の+マーク)ともに約25本という辺りですから、ロケッツと比べるとそこまではスリーポイントシュートを打っていないようです。

ただ両チームともこれは偶然多く打っているというわけではなく、もちろん戦略的なものだと思われます。下の図は両チームのスリーポイント試投数のここ3シーズンの推移を見たものです。

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新潟アルビレックスBBは明らかに本数の増加が見られます。もちろん選手の入れ替わりなどによる要因もあるとは思いますが、基本的には最近のバスケットのトレンドを考慮してのことでしょう。

名古屋ダイヤモンドドルフィンズの方は新潟ほど顕著ではないですが、少なくても75パーセンタイル(箱の上辺)は確実に増加の傾向にあるようですし、おそらく今季の終盤には中央値ベースでも昨季を上回るのではないでしょうか。

最後に(と言うとおまけみたいに響いてしまうかもしれませんが)、同じデータをB2の各チームについて見てみたいと思います。

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信州ブレイブウォリアーズ、非常に多いですね。中央値、平均値ともに30本にせまる勢いですから、新潟アルビレックスBB名古屋ダイヤモンドドルフィンズよりもスリーポイントを打っていることになります。

信州ブレイブウォリアーズはもともとかなりスリーポイントを打っているチームのようですが、今シーズンはそこからさらに打つようになったようです。今シーズン同チームは好調ですが、これと無関係ではないと予想します。

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書評「MLSから学ぶスポーツマネジメント」(中村武彦)

MLSから学ぶスポーツマネジメント (TOYOKAN BOOKS)

MLSから学ぶスポーツマネジメント (TOYOKAN BOOKS)

普段はサッカーにまったく関心のない私なのですが、アメリカのサッカー(メジャーリーグサッカー)には以下の2点から興味を持っていました。

  • ポテンシャルがありそうなのになかなか根付かない、という点でアメリカのサッカーと日本のバスケットボールは似ているのではという仮説を持っていた
  • 2002年から何度もワシントン州シアトルを訪れる中で、シアトル・サウンダースの存在感が増していくのを肌で感じていた

上記のような背景でずっと興味を持ってはいたものの触れずにいたアメリカサッカーなのですが、本書を書店で見かけたときに「これは買うべき本!」と直感してすぐさま購入しました。

そしてこれが大当たり。2018年で最高の読書になりました。ひと言でまとめるのであれば、BリーグやTリーグなど、新しくできたスポーツリーグの未来について考えたい人に大変おすすめの書籍です。

例えば私の場合、Bリーグを観戦する中で以下のようなトピックが気になっているのですが、本書はこれらに大きな示唆を与えてくれました。

  • 現在のようなオープンなリーグが好ましいのか。それともNBAや日本のプロ野球のようにクローズなリーグが好ましいのか。
  • 2007年にベッカムMLSに来たように、NBAのスーパースターがBリーグに来たらどういう影響があるのか。その元は取れるのか。
  • 自前のアリーナを持つべきなのか。持つとどのような好影響があるのか。その元は取れるのか。
  • “戦力均衡”はどうあるべきなのか。例えばひとつのチームがとびぬけて強くなるとそのリーグに悪影響なのか。
  • 選手の年俸はどの水準にあるべきか
  • 渡邊や八村がNBAでこの先活躍するとして、それをどうBリーグや国内のバスケット人気の向上に繋げていくのか
  • フロントスタッフにはどのような人材が望まれているのか。そこへの投資と選手への投資をどうバランスしていくべきなのか。

本書はMLSの事例はもちろんのこと、アメリカ4大スポーツの事例も交えながら、スポーツリーグの在り方について大変詳しく説明しています。スポーツリーグの専門書と呼んでいいと思います。

ふたつだけ、特に私が着目したトピックを紹介したいと思います。

MLS創設からベッカム獲得までは10年かけている

私も例外ではないのですが、おそらく多くの人がMLSの存在を強く意識したのは、ベッカムLAギャラクシーに入団した2007年ではないかと思います。

本書を読んで驚いたのですが、MLSの創設は1996年ですので、ベッカムの獲得までは10年以上の期間があったことになります。

LAギャラクシーMLSも、その期間にベッカム(のようなスーパースター)への投資はリターンが取れる投資だ」と確信できるだけの準備を整えてからアクションを起こしていることは注目に値します。

言い換えれば、ベッカム獲得は彼らにとってギャンブルではなかったのです。

投資に対するリターンをしっかりと意識しているところは如何にもアメリカ的ではありますが、同時に客を呼べるスーパースターを連れて来ることは万能薬ではないということも教えてくれる事例です。

この先に例えBリーグNBAのスターを連れてくる金銭的な機会があったとしても、それを活かすことができる環境が整っているのか、それはリーグもクラブもしっかりと検討する必要がありそうです。

本書で解説されていますが、MLSができる前に、NASLというサッカーリーグが北米には存在していました。諸外国からのスーパースター獲得に多大な投資をした人気チームがあったにも関わらず、このリーグは倒産に追い込まれています。MLSはこのNASLの失敗を礎にしている点も見逃せません。

バスケットボール・コーポレーションは日本版のSUMか?

本書を通してサッカーユナイテッドマーケティング(Soccer United Marketing、略してSUM)という会社とその活動が紹介されています。何度も出てくるので、著者の中に占めるSUMの重要性は推して知るべしです。

SUMはMLSの姉妹会社なのですが、「One sport, one company」をビジョンに掲げ、要はサッカーというスポーツの価値、存在、そういったものが北米で向上する施策なら何でも取り組もう、という会社のようです。

よって活動はMLSに関することだけに限定されず、例えばサッカーワールドカップの放映権を買い取り、それを国内のテレビ局に販売するような活動もやっていたり、海外人気クラブチームのUSツアーを取り仕切ったりもしていたようです。

実はこの書籍を読んでいる間に、このようなニュースがJBAから発表されてとても興味深く読みました。

ここで私の書くことはすべて推測なので見当違いかもしれませんが、この新会社はMLSにおけるSUMのような役割を果たす為に設立されたのではないかと思いました。リーグの枠組みに囚われず、バスケットボールというスポーツの日本国内での価値を上げていく為の活動をする為ではないかと。

例えばですが、先日激戦が終了しましたインカレやウインターカップは、既にある程度はコンテンツとしての価値があります。しかしこれをBリーグWリーグなどと関連させてさらにコンテンツの価値が高められるかと言えば、組織の垣根から難しい部分があるかもしれません。

今年のFIBAワールドカップや、渡邊や八村が活躍した場合のNBAもそうです。これらのシナジーから日本のバスケットの価値を高めることができれば、個々のコンテンツがそれぞれ独立してファンを獲得するよりもかなり大きな効果が見込めそうです。

SUMの活動のように、NBAや欧州のチームを日本に呼んでゲームをしてもらう。Bリーグのチームや日本代表と対戦してもらう。そういうコンテンツも考えられるでしょう。そういったときに、それぞれのプロパティにそれぞれのオーナーがいると、意思決定の遅れや大胆な施策が取れないなどの弊害がおきます。

2019年と2020年は色々な枠組みでバスケットの価値を向上させる可能性があるイベントがあります。その効果を最大限にする為にこの新会社は作られたのかな、本書を読んでそんな風に思いました。

ちなみにNBAの事になると、当然そこには楽天さんが絡む必要がありそうです。渡邊と八村のことがありますので、私はNBAは今後は日本のバスケットにとって今までよりも大きな価値を持つと予想しています。NBAというコンテンツを国内で最大限活かす為、きっと楽天とバスケットボール・コーポレーションは今後かなり接近するのではないでしょうか。

まとめ

長くなってしまいましたが、アメリカのサッカーにそもそも興味がある方はもちろんのこと、スポーツリーグというビジネスそのものに興味がある方には間違いなく学びの多い専門書です。わざわざ専門書という言葉を使うのは、本書がきちんとしたリサーチの下に書かれていると感じられるからです。