月別アーカイブ: 2019年5月

エリア別のFG%を見てみる

基本的に前回の記事の続きなのですが、各チームの2018-19レギュラーシーズンのシュート成功率をエリア別に見てみましょう。

下の図はレギュラーシーズンに打った全シュートの総計を対象としたものです(前回の記事の図と色が変わってしまっていてごめんなさい…)

f:id:rintaromasuda:20190527130708j:plain

ペイント内の成功率が60%超えたのは千葉ジェッツと京都ハンナリーズのみで、千葉ジェッツがリーグトップの61.5%です。

ペリメーターでの成功率は40%超えたのは千葉ジェッツとアルバルク東京のみで、千葉ジェッツがトップの41.8%です。

そしてご存知の通りスリーポイントの成功率も千葉ジェッツが38.9%でリーグトップと、今季の千葉のオフェンス強さを象徴した結果となっています。

エヴェッサ大阪はペイント内の成功率がリーグワーストの50.3%と、ペイント内でのオフェンスに苦戦していた様子が伺えます。

秋田ノーザンハピネッツはペリメーターでの成功率がリーグワーストの29.5%となっており、改めてシュート力の課題が浮き彫りになっています。

新潟アルビレックスBBもペリメーターの成功率は30%強と低めです。前回の記事で取り上げたようにそもそもほとんどペリメーターからシュートを打っておらず、成功率から察してもほぼ捨てシュートだったことが想像されます。

B2も見てみましょう。

f:id:rintaromasuda:20190527131435j:plain

意外なのかどうかは分かりませんが、西宮ストークスがペリメーターの成功率で40%を上回っており、リーグトップです。島根スサノオマジックも素晴らしいですね。

インサイドの決定率はやはり王者信州ブレイブウォリアーズが頭ひとつ抜けていたようです。しかしそれでも60%は下回っていて、改めて千葉ジェッツの決定力の高さを示す形となりました。

新潟アルビレックスBBはペリメーターからのシュートを約8.8%しか打っていなかった

近年はいわゆる期待値が低いことから、ペリメーター、つまりペイントの外の2点シュートは好まれない傾向にあるのはご存じの通りです。

どうせ遠くから打つなら3点、もしくはどうせ2点なら近くから打ちたい、と考えれば自然なことですね。

NBAではヒューストン・ロケッツが顕著にその観点からオフェンスを組み立てているというのは有名な話です。Bリーグだとどうでしょうか。

下の図はB1各チームのフィールドゴール試投数の割合ですが、新潟アルビレックスBBが顕著だです。新潟はペリメーターからのシュートというのは約8.8%しかありません

f:id:rintaromasuda:20190519225443j:plain

もちろんそれが庄司HCの戦略だからだと思いますし、その戦略を実現するための強力なインサイドプレーヤーとシューター陣を揃えているからこその結果だと思います。

来季はその重要なピースであったガードナーがチームを出る可能性が高そうなので、ガードナーなしでこの戦略がどう変わるのか、そこには注目したいと思います。

なおB2について同じデータを見ると以下のようになりました。

f:id:rintaromasuda:20190519230213j:plain

こちらは信州ブレイブウォリアーズが一番低く12%ほどでした。バンビシャス奈良や金沢武士団と比べると約半分の割合で、今季の王者が行っていた効率の良いオフェンスがここに表れている可能性が高そうです。

新潟の話に戻りますと、新潟の今季の躍進とこれがどこまで関連あるのかに興味があるので、データの準備が出来たら同チームの過去2シーズンについても見てみたいと思います。

ここ3シーズンでBリーグのeFG%はどう変化したのか

ここ3レギュラーシーズンの各試合のeFG%を見てみると、じわりじわりと上がってきている様子が伺えます。

f:id:rintaromasuda:20190516120500j:plain

2018-19シーズンについて言えば外国籍選手の常時オンザコート2が認められるようになりましたので、よりインサイド中心の得点の取り方になった結果なのかなと予想しています。

過去3シーズンにB1に所属したチームの%eFGをそれぞれ見てみましょう。

f:id:rintaromasuda:20190516120235j:plain

まず千葉ジェッツのeFG%を上昇具合が目立ちます。今季はパーカーがとにかく活躍しましたし、石井もスリーポイントシュート成功率でリーグ1位になるなどとにかく手の付けられないオフェンス力でした。

スミスが入ったことによりインサイドの攻撃力が増加した富山グラウジーズ、ロシターと遠藤のシュート力が光った栃木ブレックスなども伸ばしています。ちょっと意外だったのは川崎ブレイブサンダースも伸ばしているところでしょうか。

逆に落差が目立つのはシーホース三河でしょうか。もともとエースの比江島が非常に決定率の高い選手でしたし、メンバーをシーズン中に大きく入れ替えたこともありましたので、そのあたりが影響していると思われます。

B2です。

f:id:rintaromasuda:20190516120247j:plain

今季のB2を完全制覇しました信州ブレイブウォリアーズの上昇具合がとんでもないことになっています。残念ながらライセンスが発行されず昇格はありませんでしたが、とにかく今季はよくスリーポイントを決めていたようです。早くB1で見てみたいチームですね。

準優勝の群馬クレインサンダースについても同じくeFG%を向上させていたようです。群馬は得点王のケネディを要すチームですので、オンザコートルール改正の恩恵を受けたこともひとつの要因だったのではないでしょうか。

タイトルこそありませんがファイティングイーグルス名古屋も年々eFG%が上昇しており、このまま行けば来季のB2ではとても楽しみな存在でありそうです。

2018-19シーズンの個人的な振り返り

2018-19シーズンのBリーグが幕を閉じました。ご存知の通り色々な出来事があった訳ですが、簡単にまとめますと

  • アルバルク東京のチャンピオンシップを連覇
  • 千葉ジェッツがレギュラーシーズンを過去最高勝率で制覇
  • 信州ブレイブウォリアーズがB2を完全制覇
  • 島根スサノオマジックがB1昇格
  • ライジングゼファーフクオカがB2に降格
  • 東京エクセレンス、越谷アルファーズがB2に昇格
  • 八王子ビートレインズがB3に降格

というシーズンの結果となりました。

自分がシーズン前に書いた展望を読み返してみますと、アルバルク東京の優勝、富山グラウジーズの躍進など予想が当たっているように見えます。

しかしこのシーズンは自分が思っていたものと全然違う形になったというのが正直な感想です。自分にとっても良い勉強となりました。

この記事ではいくつかのポイントでこのシーズンを振り返ってみたいと思います。以下の項目の順番は適当です。ちなみにデータの話はまた別途する予定です。

総論

一言で言ってしまうと、ほとんどのチームが前シーズンより強くなった、これに尽きると思います。こうしてリーグのレベルがどんどん上がっていくのかと感心したシーズンとなりました。

もう少し言うと、伸びたチームと伸びてないチームの差が開いたシーズンだという印象を持ちました。勿論伸びてないチームもここから対策を練ってきて、さらにリーグのレベルが上がるのだと思います。

千葉ジェッツふなばし

思っていたよりずっと強かったです。昨季までももちろん強かったのですが、昨季のファイナルも含め何処か不安定な印象のあるチームでした。

ところが今年はとにかく安定していて、チームもシーズン52勝という、しばらく塗り替えるのが難しいと思われる記録も樹立しました。

技術面はもちろんですが、チームやエースである富樫の精神面での成長が大きく寄与したという印象です。今季のファイナルの4Qがそれを象徴していたと思います。

新潟アルビレックス

失礼ながら一番予想外に強かったのが新潟アルビレックスでした。チャンピオンシップで王者アルバルク東京を苦しめたことからも、シーズンを通したその強さは証明されたと思います。

もともと得点王ガードナーを要しオフェンス力は高かった新潟ですが、ここに来てディフェンスをしっかりと強化、それが結果に繋がったと思います。

スタッツ的にもペリメーターのオフェンスを最小化するなど近代的な側面も見せており、今後はさらに楽しみになりそうなクラブです。

比江島慎

BリーグにはNBAのようなトレード制度は今のところ存在せず、シーズン中の選手の入れ代わりと言えば外国籍選手の話題が中心です。

しかも外国籍選手が入れ代わる場合、怪我等に起因していることが多い為、あまり楽しい話題でないことも多いです。

しかし今シーズンは比江島がオーストラリア挑戦から戻ってきたこともあり、有力な日本人選手が何処かのクラブにシーズン途中で入りそうだという、こう言っては何ですが楽しい瞬間がありました。

結果的に比江島はサプライズ移籍にはなりませんでしたが、1シーズンにひとつくらいはこういう話題があっても楽しいなと思います。

アルバルク東京

チャンピオンシップを制したことはもちろんなのですが、アルバルク東京について最も感心するのがそのシーズンの過ごし方です

まずほとんどのチームが3人目の外国籍選手を持て余してしまった中で、アルバルク東京だけはカーク、ウィリアムズ、ビエリツァの3名をきちんと起用してきました。

もちろんビエリツァは有力な選手ですが、それでも過去のシーズンを知るカーク、ウィリアムズのみの体制で行く方が楽だったはずです。しかしアルバルク東京はそうしませんでした。

結果として、不幸にもウィリアムズは怪我をしてしまった訳ですが、それでもアルバルク東京が大崩れしなかったのはしっかりとビエリツァをローテに組み込んでいたからだと思います。

もちろん、竹内譲次という日本を代表するビッグマンを、リーグの狙いに答えて育成した事実も忘れてはいけません。最近の代表での活躍は我々の多くが知るところですね。

外国籍選手のベンチ登録人数

上の話題と絡みますが、単純にひとり余らせておくのが勿体ない、というのが私の感想です。

彼らは有力なプロバスケットボール選手で、何処かの国で、何処かのチームで、何処かのバスケファンを熱狂させることが出来る選手達なのです。

そういう選手達がゲームに出られず眠っている、そういう状況は勿体ないです。これを回避する為にも、ベンチ登録人数についてはロスターに登録できる人数と同じがいいのではと思ってます。

平日開催

今季は平日開催が増えました。いち観客としては実は嬉しいのですが、観客動員数の出だしには少し悪影響だったかもしれません。

まあ私ごときがビジネスのことをうんぬん言うのもどうかとは思いますが、せめて開幕戦、特に地方(というかアリーナが生活圏からかなり離れている地域)の開幕戦は休日開催がよいかもしれません。

シーホース三河

富山グラウジーズが昨季から一番上昇したクラブとすれば、一番下落したのはシーホース三河でしょう。昨季一番勝利したチームから一転、今季はチャンピオンシップをギリギリで逃す結果となりました。

しかしただでは転びません。シーズン途中に鈴木HCは痛みを伴う改革を断行。今季のメンバーを途中から替え、岡田と熊谷を中心に据えたチーム作りをする姿勢を強く出していきました。

痛みを伴う改革というのは、口では言ってみても人はなかなか実行には移せないものです。この改革が今後どう結実するのか、こよオフシーズンも含めて今後のシーホース三河から目が離せません。

結論

今シーズンもめちゃくちゃ面白かったです!Bリーグ最高!