
- 作者: かわぐちかいじ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/02/08
- メディア: 文庫
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おそらく多くの読者がそうであったように、僕も序盤は海江田四郎の天才軍人ぶりにひたすら痺れ、それこそのめり込むようにページを捲っていた。戦闘シーンでは男の子に戻ってドキドキしてしまったし、軍ものの漫画を読んで兵隊さんに憧れた昭和初期あたりの子供達の気持ちと似た様なものを感じていたと思う。序盤はそのように面白かった。
中盤以降からは「一体これだけの話をどのように決着を付けてくるのか」という大人の発想で楽しんでいたけれど、読了後の正直な感想を言わせてもらえば「やっぱり着地点を探るのが難しかったかな」というところか。終盤の戦闘シーンでは、海江田があっとおどろく作戦で窮地を乗り越える定型パターンがやり過ぎのように思えてきてしまったし、海江田を巡る地上での政治家や経済人の動きや闘いも序盤から読んでいるとしつこく感じてしまう部分があった。
とまあ色々書いたけれど、全体としては非常に完成度が高い漫画だという印象である。多くの人に読んでもらいたいとすら思うので、あまりここには本書の内容は書かないけれど、海江田が抱えている構想を巡る世界情勢に、あまり連載当時と比べて変わりはないと思う。誰かメシアが世界に現れて、具体的な解決策を提案、実行してくれないものかと夢見てしまうのは、本書の読者としてはよくある傾向だろうか。