
- 作者: ポールオースター,Paul Auster,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/12/21
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 26回
- この商品を含むブログ (62件) を見る
柴田元幸さんが積極的に翻訳されているポール・オースター氏の本を読んでみたいと購入。実は中身もよく見ずに適当に買ってしまったので、この本がエッセイ集であることに読み始めるまで気が付かなかった。ただし訳者あとがきにもあるように、このエッセイ集はタイトルの通り著者の身の回りに起こった「本当にあった話」をまとめたようなつくりになっており、そのほとんどすべてが「事実は小説よりも奇なり」という言葉がまさにぴったりと当てはまる様な話を中心に展開されている。
ただ僕が思うに、著者の身の回りで起きたことが、我々の身の回りのそれよりも非常に偶然性に富んだものであることは認めるが、それにもまして重要なのは、著者が彼の周りで起きる様々な出来事に非常に強い関心をもっており、またそれを強く愛していることではないかと思う。極端な話、昔起きた事を片っ端から忘れてしまうようであれば、奇妙な偶然を感じる機会は非常に少なくなってしまう。自分の周囲の人々に注意を払わなかったり、彼ら彼女らの話を聞かなかったりすれば、それも「あなたを心底驚かすような偶然のいたずら」を逃す行為となってしまうだろう。だからもし著者のように色々な「本当にあった話」を手にしたいとするならば、自分とその周りのすべての事に関心を持ち、興味を抱き、そしてそれらの事を頭の中に留めておくよう心掛けるべきだろう。
ちなみにこの本は日本独自編集らしい。