
- 作者: 齋藤孝梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/05/08
- メディア: 新書
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なんと言うか、この人達はつくづく大袈裟な人間なんだと思う。何が大袈裟なのかと言うと、物事に対する感じ方が大袈裟なのだ。読んだ本に書いてあった事や誰かが言った事、誰かの働き方や生き方や成した事にこれだけ感銘や衝撃を受けたり、怒りを感じたり出来るのはおそらく彼らが普通の人よりも物事に対する感じ方が大袈裟だからに違いない。そして僕はそういう人間が非常に好きである。例えば学生時代に何かをこよなく愛する人間が何人か回りにいたが、概して対象に対する感じ方が普通の人よりも大袈裟であった。思うにこの大袈裟に感じる力というのは、日々自分を奮い立たせる為のエネルギーとして非常に有効であるに違いない。齋藤さんの著書のタイトルっぽく「大袈裟力」とでも名付けておこうか。ちなみに事実をねじ曲げて大袈裟に回りに伝えるというのは「誇張」であってこの話とはまったく違う。あくまで大袈裟に「感じる」力が大事という話。
さて内容についてである。通勤時間も使って二度三度と全体に目を通してみたが、なんとなく梅田夫妻の生活の有り様が一番印象に残っている。自分が毎日ひたすら家に居るという生活は今のところ想像もできないくらいであるが、何となくこのスタイルになっても僕ら夫婦は上手い事やっていけるのではないかという感覚を持つことができた。また、ロールモデルというか憧れの対象とも言うべき人間を三人程度挙げてみて、その三人から「自分が何を求めているのか」という欲求を探し当てるというような話は試してみたいと思った。あと梅田さんの就職活動うんぬんの話はその時期の自分を思い出して思わず懐かしくなってしまったが、僕もどうにも入社式とかそういう輪に自分が属している姿が想像出来ずにもがいていた。梅田さんと違い、その当時の僕は社会からの逃避を選んでしまった訳だけれど、今でも続いているそういったものへの違和感というものの中に、上述した「自分が何を求めているのか」という問いへの答があるのかもしれない。それにしても、研修を受けることまで駄目とは極端ですね。
あとがきにあった彼らの戦いについては理解しているつもりではあるが、これを読んで若い世代が呼応してしまうのはちと怖い気がする。つまり、若者が日本に存在する閉塞感を言い訳にしだしたら嫌だな、と。自分がやれない理由をそこに当て嵌めてはいけないのだ。ただこういう事を齋藤さんや梅田さんなど上の世代が口にすると、とたんに閉塞感を生み出す側に加担してしまうことになるので中々難しい。多分、凄い我慢している部分があると思う。だから本書のような本に呼応して、若い世代から「社会がどうとか色々あるだろうけど、俺たちはそれを言い訳にしないで動こうぜ!」とかそういった声が出てくると良いのではないかと思う。少なくとも僕はそういう声を発したい。