
- 作者: 辰濃和男
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/10/19
- メディア: 新書
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朝日新聞の天声人語を書いていた経験のある著者による文章のみがき方論。以前にも文章の書き方 (岩波新書)という新書を著されている様なので、本書は姉妹版ということになる。全然本書とは関係がないのだけれど、僕は新書の中ではこの岩波新書の装丁が一番好みだ。知的でお洒落な印象だが、あまり五月蝿さを感じさせない。
ざっと読ませて頂いたけれど、なるほど、テーマ別に、テーマというのは「文章を書くとき、または日常生活の上で文章を書く人が心掛けておいた方がいいと思われること」を纏めたものなのだが、テーマ別に色々な作家の方の言葉や文章の実例を引用されて、それに対する著者なりの分析やアドバイスや考察が書かれている。「文章を書くために」をテーマにしているけれど、まあ人と話したりするときや何か作品(絵とか映像とかでも)を創りあげるときにだって同様の心がけが必要だと思われるので、クリエイターの方なら一読して得るものはあるだろう。勿論、本書はあくまで文章を書くことにテーマを絞って書かれているので、そこは読み手側に抽象化して読むことは求められるのだが。
本書の具体的な内容は勿論書きませんが(この言い回し、もう何回も書いている気がするので、そろそろ別の言い回しを考えないと)、ひとつだけ批判点を挙げるとすれば、著者のカタカナ語に対する警鐘はちょっと違和感を覚えるというか、あるいはまだ僕が若造だからかもしれないけれど、「それくらいの言葉は使わせて欲しい」とか「むりやり日本語にされてしまうと、はっきり言って分かり辛い」とかそういう種類のありがちな反感を覚えた。世の中にはルー大柴さんばりにむりくり英単語を使う方もいるにはいるけれど(ルー氏のはネタだが、本気でやる人がいる)、あくまで少数派だし、どうせ淘汰されるのだがら頬っておいても問題がないと思うのだけれど。そして淘汰されないものに関しては、それは残しておけって自然の原理がそう言ってるんだと、僕はそう受け止めたい。何十年後もそう思っているかって言われたら責任はとれないって思いますが。