うーん、うまいタイトルは付けられなかった。
「食い逃げされてもバイトは雇うな」を読むと、「Web2.0ブーム」を引き起こした一番の原因がそのネーミングにあったこと、「ゲド戦記」の宣伝に使われた「宮崎五郎 第一回監督作品」というキャッチフレーズがとても戦略的であったことなどを、丁寧に解説してあり、山田氏がこの手のタイトルやサブタイトルを通したマーケティングに関してとても深い洞察力を持つ人であることが良く分かる。「さおだけ」がミリオンセラーになった理由は、そのタイトルにあったのである。
マーケティング上というか営業上というか、タイトルが非常に重要な役割をしているのは間違いないのだが、最近どうも書籍にしろ映画にしろ、「狙ってんだろうなぁ」というタイトルを見ると、まるでそれらが「買って!買って!」と僕に問いかけてきている様な気になってしまい、冷めてしまう(勿論関心することも多いのだが)。
特に翻訳本に顕著なのだけど、売れようとするばかりに「おいおい、そりゃあ誤訳だろ」とか「どっから来たんだこのタイトル」とかそんな風に思わされることも多く、タイトル喰いのこの世界にこれでいいのかと疑問を持ってしまう。なんか映画や小説だと「愛」とか「恋」とかそういう文字を入れると売上が大分違うみたいな話があるみたいだし、経済本やビジネス本でもそのときそのときに流行っている概念とかをタイトルに組み込んだ方が売れ行きも上がるんだろう。
まあたとえタイトル喰いの傾向があっても、中身があれだったら結局淘汰されるんだから問題がないのではないかと経済原則を信じてみたりもするが、ちょっと心配になりますよ。世の中にこれだけ「○○の品格」とかそういう言葉が出回ったりしてるの見ると。
しかしひとつ疑問に思うのだけど、タイトルを勝手にいじられる原作者はどういう気持ちなんだろう。その方が売れるというのもあるだろうし、その国の言葉とか言葉の持つニュアンスを知らないから口出しも難しいんだろうな。