Mike Gancarz「UNIXという考え方」

UNIXという考え方―その設計思想と哲学

UNIXという考え方―その設計思想と哲学

UNIX初心者だとコマンドリファレンスなんかを最初に購入してしまいがちだと思うが、本書も併せて購入して欲しい。これを読めば「ls」とプロンプトに打ち込む作業が何倍も深くなる。

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個人的にはUNIXは20世紀に人間が生み出した作品の中で最も重要な作品のひとつだと思うが、本書はその根底にある開発思想を説明した本であり、いわゆる技術書ではないが、本当の意味での技術書と言えるかもしれない。150ページ弱と薄めの内容だが、UNIX哲学とも言うべき(ちなみに原題はThe UNIX Philosophy)9つの定理と10個の小定理について細かく説明している。芳尾氏による日本語訳も大変に読みやすくすらすらと頭に入るし、1,600円という値段もかなりお買い得だと思うので是非ご購入を。ちなみにその定理をここに書いてしまうと読む楽しみが半減だと思うので書きません。
UNIXを題材としているものの、ソフトウェア開発全般に適用できるアイデアが多く含まれている本であり、アプリケーションやシステム開発者だったら思わずうなづいてしまうようなソフトウェアの成長に関する話などは興味深い。