
ネットがテレビを飲み込む日―Sinking of TV (洋泉社ペーパーバックス)
- 作者: 池田信夫,林紘一郎,山田肇,西和彦,原淳二郎
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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おそらく年齢が若ければ若いほど、既得権に縋る人間に嫌悪感を覚えると思うのだが、皆さんどう思われるか。本書で五人の作著者達は、不自然な構造の中で利権を貪る放送業界に関する情報を様々な角度から我々に示してくれている。
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もともといつもブログを拝見させて頂いている池田信夫氏の著書が読みたくて購入した。実は著者は五人もいた本書だが、池田氏が記述部分が本書の中核をなしている印象で、だいたい氏のブログと論調が似ている本と言えるだろう。
五人の著者は技術的、歴史的、法学的な視点から現状の放送業界とこれからの放送業界を分析している。読めば以下に放送業界が不自然な業界構造の中に成り立っており、今後如何に革新が必要であるかが理解できる。正直細かい数字などは飛ばし読みしたが、池田氏のブログと同じく、事実をきちんと数値で示していることには好感を持つ。放送・通信分野の技術に知識を持つ人であれば、より面白く読めるかもしれない。技術的な話題だけでなく、著作権に関する問題も論じられているなど、幅広い内容をカバーしているので、一度放送(というか主にテレビ業界)がどのような問題を抱えているのかについてざっと知っておくためにも、目を通しておいて損は無い。
ちなみにこの本は洋泉社という聞きなれない出版社から出されているペーパーバックで、値段が千円以下と消費者に優しい。本の最後に以下のような興味深い文章があった。ちょっと長いけど、全文掲載してみる。
洋泉社ペーパーバックスには、以下のような3つの特徴があります。
1.同時代の最も熱いテーマをいち早く取り上げます。
政治・国際問題からビジネス、宗教、アンダーグラウンドな世界まで、体験・現場主義に貫かれた取材でお届けします。
2.既成概念を疑います。
ドッグイヤーと呼ばれるほどに変化のスピードが速い高度情報化社会においては、これまで常識とされていたことが一夜にして非常識となることもしばしば起こります。既成概念に囚われることなく、既存の定説・常識に挑んでいきます。
3.タブーに挑戦します。
平成ニッポンといえどもタブーはまだまだ存在します。差別、暴力、国家権力…。たとえば、新聞、雑誌、テレビなどの大手マスコミでは、広告クライアントへの配慮からその企業に関連するネガティブな情報を入手していても報道しないこともままあります。当シリーズではそうしたタブーに屈することなく、手頃な価格でいつでもどこでも読めるペーパーバックスをお届けします。
本書はこの3つの特徴にピッタリの内容であったと思う。モットーは作るよりも守る方が大事であり、かつ難しい。今後もこの特徴を守り続け、興味深い書籍を世に送り出して欲しいものである。