
- 作者: 佐藤雅彦,竹中平蔵
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2002/09/03
- メディア: 文庫
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超ヒットメーカーと経済学者の会議。会議というよりも建設的な雑談かな。
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佐藤雅彦さんのことはまったく知らなかったが、本書に載っていた情報とWikipediaに載っている情報を見てみると、とんでもないヒットメーカーのようだ。「スコーンスコーン湖池屋スコーン」、「ドンタコスったらドンタコス」、「ポリンキー、ポリンキー、三角形の秘密はね」、「うまいんだな、これが」、「バザールでござーる」などの超ヒットCMを手がけたほか、だんご三兄弟で社会現象を巻き起こしたのもどうやらこの人らしい。あと懐かしのゲーム「I.Q」もこの人の作品のようだ。出身は電通らしい。
この佐藤さんが、おなじみ竹中平蔵さん(この本が出版された頃はまだただの大学教授だったようですが)に、経済に関する素朴な疑問をぶつけていくというのが本書の内容。ときに子供のようなシンプルかつ本質的な質問を投げかけられて、竹中さんは世の経済学者を代表しているつもりで答えていたそうな。しかもこの佐藤さん、「あんた本当に経済のことそんなに知らなかったんかい」と思わず突っ込みを入れたくなるほどの本質の突き方。これはいくら竹中さんでも答えに窮するだろう。全体を通して佐藤さんの質問の良さが目立っていた。
佐藤さんは会議を通して、竹中さんの放った含蓄に溢れる言葉を「竹中語録」として直筆でまとめている。ここにそのいくつかを挙げておく。
pp.93
一方に対しては、いくら働いても税金をとられるということでやる気をなくさせる。もう一方に対しては、そんなに働かなくても食べていけるということでやる気をなくさせる。
pp.131
日本にもできる人間はいる、ただ日本ではできない。
pp.208
アジアは、経済の取引という実利を通して結びついていった地域
pp.306
失業をなくす、それが政府の最終的な目的なんです。
内容は非常に平易であり、「経済学ってちょっとなぁ」と思っている方(冒頭の佐藤さんがまさにそうだった訳ですが)に適している内容。類書としてはカリスマ受験講師細野真宏の経済のニュースがよくわかる本 世界経済編が挙げられると思う。第一歩目としてどうぞ。