
韓国企業モノづくりの衝撃 ヒュンダイ、サムソン、LG、SKテレコムの現場から (光文社新書)
- 作者: 塚本潔
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2002/10/17
- メディア: 新書
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いわゆる「モノづくり」、つまり製造業分野において韓国企業はどこまで日本企業に迫ってきているのか、追いつかれているのか、追い越しているのか。巷間でよく話題になる内容だが、本書はその現状について
- 携帯電話
- ネット家電
- デジタルテレビ
を例に、日本企業との差、韓国企業の経営者やエンジニアの意識、世界市場での売れ行きなどを論じている。
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韓国の携帯電話の売れ行きは世界三位で、韓国がワールドカップで四位になったのと同じように、韓国国民が携帯電話に対するプライドを持っていると本書では論じられているが、実際僕があったことのある韓国人の何人かはそのようなプライドを持っている人が多かった。そして何故か日本人にもそのようなプライドを持っている人が多いので、どっちの携帯電話が良いのかという論争をよく耳にした(はっきり言って売り上げを見れば、日本の携帯電話は韓国のものに完全に後塵を拝しているのだが、それを知らない日本人は多かった)。
本書で面白かった話を紹介すると、まず本書に出てくる韓国の経営者やエンジニアは皆謙虚で、技術的にはまだ日本を追いかけている状態だと述べていることである。日本の企業が顧客重視じゃないなどの欠点は挙げるものの、まだ日本から学ぶべきことはあると話しているし、実際に松下電器など大手電機メーカーを定年退職などした優秀なエンジニアを再雇用するなどして、自社の技術力向上に努めているようだ。外国人を雇うという発想のない日本企業にとって、この謙虚さは脅威になるに違いない。
また実際に商品を目にすれば分かると思うが、韓国企業のデザイン(特にサムスンかな)は素晴らしいとの世界で認められている。日本向けにも日本人デザイナーを何人か雇うことにより対応しているようだ。デザインに関する世界の評判という意味では、ソニーは完全にサムスンより後ろになってしまったかもしれない。
そして本書でも着目されているのが、韓国のネットインフラは日本以上に整っているようで、張り巡らされた光ファイバー網を使って、ティーンネイジャーがいたるところでインターネットに勤しんでいるようだ。このインフラの素晴らしさとネットで一旗挙げてやろうという若者のエネルギーがあれば、IT分野でもいずれ注目される韓国企業が出てくるであろう。
おそろしいことに、本書の出版は2002年であるので、ここに書いてある内容よりはさらに韓国企業が躍進しているだろうということは間違いない。