エンジニアの「驚かせたい欲求」

CNETにてブログ「Kenn’s Clairvoyance」を連載中の江島健太郎さんが、「創造的なエンジニアのための働く環境とは」というエントリの中で興味深いことを書いていたので、ちょっとそれについて考えてみたい。

http://blog.japan.cnet.com/kenn/archives/002625.html

こないだCNET編集長の西田さんとも話していて、エンジニアのタイプでも最もはっきり分かれていると思ったのは、この2類型。

(1)クリエイター・ギーク系

  • 小規模なベンチャーで新しいサービスを作りたいタイプの人
  • 会社の中で認められたいのではなく、会社の外で認められたい
  • 週末も趣味でコーディングしている
  • お金、ステータスにこだわらない

(2)プロフェッショナル・傭兵系

  • 大規模なプロジェクトで手際よく美しくコードが書ける人
  • 身近な人たち(会社、顧客、家族)を幸せにしたい
  • 「つくりたいもの」よりも「ビジネスになるもの」を優先
  • 安定収入、ステータス重要

これは非常に共感できる区分けである。確かにこの2類型ははっきりと分かれる。ちなみに僕は(1)に憧れる(2)タイプ(しかも未熟)だと思う。
さて本題だが、(1)のようなエンジニアを社内に抱えてるとして、絶対に用意してあげなければならない環境がある。それは「こそこそと社内の誰にも内緒で物を創れる環境」である。つまり何が言いたいのかというと、「驚かせたい欲求」を満たしてあげられる環境である。優秀なエンジニアは概してこの欲求が強いと思う。内緒で物を創り上げて、「さぁ驚け」とばかりにみんなの前に持ち出し、「おおすげー」という歓声を聞きながらほくそ笑んで、それを糧にさらなる開発や改良に乗り出す。そんなエンジニアである。
id:jkondoさんが日記の中で「ごにょごにょ」という言葉を使ってこの環境を表現していた。はてなの共通用語なのだろうか。

http://d.hatena.ne.jp/jkondo/20060225/1140856445

今日ははてラボのいわしをごにょごにょ改造しました。

大企業になってくると、とかく「今期の開発計画を立てて報告しろ」とか「仕様をまとめてから開発に取り掛かれ」とかごにょごにょから遠ざかる方向に進んでいく。大企業の大規模プロジェクトになると、どうしても「管理」というものに対してものすごいコストをかけなければならないので、ある面これはしょうがない部分があるのだが、この「ごにょごにょ」を開発計画の20%くらいには取り入れても良いのではなかろうか。つまり80%の力で計画通りのプロジェクトに参加し、あとの20%をごにょごにょさせるのである。エンジニアをクリエイティブに扱いたいなら一考の価値があると思う。