
同じ釜の飯 ナショナル炊飯器は人口680万の香港でなぜ800万台売れたか
- 作者: 中野嘉子,王向華
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2005/01
- メディア: 単行本
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実はナショナル開発陣の電気釜開発物語かと思って購入したのだが、日本の炊飯器を香港、さらには中国本土、アジア全域へと売りまくったビジネスマン、蒙民偉(モン・マンワイ)氏がいかにして成功を掴んだのか、を主題とする書籍だった。ビジネスはやはり一にも二にも行動力とスピードであるということが改めて実感出来た。ITがビジネスを大きく変え、WEB2.0をキーワードとする我々が議論している未来が実際にやってきても、ビジネスには行動力とスピードが必要、という原則は変わらないだろう。行動力というものの在り方自体が変わってしまう可能性はあるが。
世界に初めて自動炊飯器「電気釜」を送り出したのは、ライバル東芝だった。一九五五年(昭和三十)に国内市場で発売した。謳い文句は、「ごはんが科学的においしく炊ける」。電気釜があれば、台所に立ちっぱなしで火加減を見なくても、誰でも手軽にご飯が炊けた。
東芝に先を越されて、松下では衝撃が走った。
「こういう商品が、なんで松下に出せなかったんだ?」
当時、家庭用電気器具を扱う松下電器は「弱電」、大型電気機械を扱う東芝、日立、三菱電機は「重電」と呼ばれ、重電のほうがランクは上とされていた。
(中略)
炊飯器開発の責任者だった坂本は、近所の裏庭で自殺を考えるほどに思いつめたという。
「負けるもんか」
技術のスタッフは、東芝の電気釜を見て思った。
開発者として、製品を作る人間として、このような誇りを自分は持てているのか考えさせられた。このように製品に想いを込めた人間同士、企業同士の飽くなき切磋琢磨が、当時の人々の生活を豊かにしていったのだろう。
私の中での関連書籍として、以下にもう一冊載せておきます。実は以下の本が面白かったので、似たような本はないかと今回「同じ釜の飯」を買いました。参考までにどうぞ。

- 作者: 宮本喜一
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2004/11/18
- メディア: 単行本
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