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データからベストシックスマンを探す

2017-18シーズンのベストシックスマン賞には川崎の藤井祐眞が選ばれました。この受賞にケチをつける目的では一切ないですが、データから他にもベストシックスマン候補がいなかったのか探してみたいと思います。

ベストシックスマンを私なりに定義すると、以下のような条件を満たしながら活躍した選手だと思います。いずれも定量的な評価です。

  • スタメンでは多くの試合に出ていない
  • 出場試合数は多い(途中出場するので)
  • 出場時間数は平均か、それよりちょっと下

まずはこの尺度で藤井の数字を見てみましょう。

TEAM PLAYER 試合数 スタメン試合数 出場時間(分)
川崎 藤井 祐眞 60 11 1419.12

全ての選手の出場試合数と出場時間をプロットすると、藤井は以下の赤い点上に位置します。X軸は出場試合数、Y軸は出場時間(分)、点の大きさはスタメンで出場した回数の多さを表しています。

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正直データからも藤井の受賞は妥当、いや申し分ないくらいに見えますが、いずれにせよ他にも素晴らしいシックスマンがいないかどうか探してみます。

以下、出場試合数は55以上、出場時間数は750分以上、スタメンでの出場数は15以下という選手をピックアップしました。赤い点がそれらの選手です。

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2017-18シーズンのシックスマン

TEAM PLAYER ポジション 試合数 スタメン試合数 出場時間(分) 分単位得点
西宮 ドゥレイロン・バーンズ SG/SF 59 2 1142.70 0.70
名古屋D クレイグ・ブラッキンズ PF/C 59 10 1290.08 0.53
富山 デクスター・ピットマン C 57 13 1015.27 0.64
三河 アイザック・バッツ C 60 9 1622.28 0.36
名古屋D ジェロウム・ティルマン PF 60 1 1042.20 0.53
A東京 ジャワッド・ウィリアムズ PF 59 0 1165.58 0.46
川崎 藤井 祐眞 PG 60 11 1419.12 0.36
北海道 折茂 武彦 SG 60 3 1114.48 0.42
大阪 デイビッド・ウェア SF/PF 60 13 988.73 0.47
京都 片岡 大晴 SG 60 8 1176.75 0.36
横浜 田渡 凌 PG 58 11 1043.53 0.36
千葉 石井 講祐 SG 60 13 1141.28 0.32
A東京 ザック・バランスキー SF/PF 57 8 1066.48 0.30
栃木 生原 秀将 PG 57 0 1005.67 0.29
新潟 池田 雄一 SF 60 12 1151.37 0.22
大阪 合田 怜 PG 58 4 1027.23 0.24
京都 内海 慎吾 SG 60 4 1110.30 0.21
琉球 二ノ宮 康平 PG 57 0 752.68 0.28
北海道 川邉 亮平 SF 58 10 908.90 0.22
名古屋D 藤永 佳昭 PG 57 7 870.82 0.20
川崎 鎌田 裕也 PF/C 58 0 787.35 0.17

分当たりの得点力も高いですし、私としては北海道の折茂にベストシックスマン賞をあげたくなってしまいますね。富山のピットマンの得点力も光ります。

栃木の生原は田臥のバックアップとして今シーズンは活躍しましたし、京都の片岡、横浜の田渡、千葉の石井、新潟の池田など素晴らしい選手達が並びました。

今回は分当たりの得点しか見ていませんが、他の指標も分当たりの数値にすることで、もっと面白い結果になるかもしれません。

上位のチームと下位のチームでは選手の使い方がどのように違うのか?

2017-18年の選手別スタッツを使用して、チームの采配がどうだったかを調べてみたいと思います。便宜上チームを以下の3つのグループにまとめて比較しています。

  • 上位グループ(チャンピオンシップ2017-18に出場したチーム)
    • 千葉、A東京、川崎、栃木、三河、名古屋D、琉球、京都
  • 中位グループ
    • 新潟、大阪、北海道、三遠、SR渋谷、滋賀
  • 下位グループ (残留プレーオフ2017-18に出場したチーム)
    • 横浜、富山、西宮、島根

各グループに登録されている選手の数は以下のようになっています。

グループ 人数
上位 109
中位 89
下位 63

それでは分析していきましょう。

出場試合数

外国人選手の起用に関するルールはありますが、バスケットは基本的には交代が自由にできます。つまりベンチの選手を全員を試合に出場させることも容易で、この点は選ばれた選手のみ試合に出場できる野球やサッカーと違います。

各グループで選手がどれくらいの試合に出場、つまり一瞬でもコートに立った試合がいくつあるのか、その分布を見てみましょう。

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Y軸は確率であることに注意してください。つまりグループ内の人数の違いには影響されません。

より多くの選手が多くの試合に出るほど、分布の右側が盛り上がることになります。グループの違いを見てみると、上位グループのチームは中位、下位のチームより多くの選手が毎試合コートに立っている様子が分かります。つまり上位チームは選手層が厚いと言えると思います。逆から見ると、下位チームのベンチに入っている選手はあまり活躍の場が与えられなかったということになります。

出場時間(分)

続いて出場時間です。出場試合数と違い、こちらはみんながみんな長い時間出場できるわけではありませんので、分布の形は違ってきます。

まんべんなく選手を試合に使っているチームの場合、分布は真ん中が盛り上がるような形になるはずです。一方で少数の選手を集中的に使っている場合は分布の左側が盛り上がり、右側(出場時間が長い側)に行くにつれて下がっていく、というような形になるはずです。では見てみましょう。

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上位グループと中位グループにはあまり出ませんでしたが、やはり下位グループのチームは分布がより右肩下がりになる傾向、つまり少数の選手が長い時間コートに立つ傾向が強かったようです。

スターティングメンバーとしての出場試合数

次はスターティングメンバーとしての出場試合数を見てみましょう。これも間1試合ごとに5人しか選べませんので、最初に見た出場試合数のような分布にはならないはずです。いつもスタメンが固定されているようなチームなら右側が盛り上がり、スタメンをちょこちょこ変えるようなチームであれば真ん中が盛り上がるような分布になるはずです。

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上位のチームと下位のチームではスタメンは固定化している傾向があったようです。下位のチームについては上述の通りそもそも出場選手にも偏りがあったようですが、上位のチームに関しては選手層が厚いにも関わらず、スタメンは基本的には一緒にしていたのであろうということが窺えます。

中位のチームは真ん中が盛り上がっており、スタメンを臨機応変に変えていた様子が窺えます。

まとめ

上位のチームはやはり選手層が厚く、多くの選手を試合に出場させる傾向にありました。結果ファーストチームは休息をとることができるので、さらに有利に試合を運べます。一方で下位のチームは特定の選手が長い時間出場する傾向にあったようです。

リーグ5位の攻撃力を持つ新潟アルビレックスBBはなぜ勝ち越せないのか?

新潟アルビレックスBBの2017-18シーズンは中地区で3位、勝率は.467(28勝32敗)、チャンピオンシップへの出場はならず、という結果に終わりました。チームとして満足のいく結果だったとは言い難いでしょう。

得点王タバンテ・ガードナーを擁する新潟は、この記事で分析した通りリーグ5位の得点効率を誇ります。以下、各チームの得点効率と勝率をプロットしたものです。

得点効率ではリーグで5位である新潟が、京都、名古屋D、琉球、栃木など得点効率で新潟に劣るチームに勝率では後塵を拝しているのが分かります。

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またこちらの記事で分析した各チームのターンオーバー数を見ても、新潟はリーグトップのチームのひとつであることが分かります。

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このように高い得点力を誇り、かつターンオーバー数、つまりミスの数も少ない新潟がなぜ勝ち越すことすらできないのか、この記事ではそれを分析したいと思います。

ちなみに大前提ですが、あくまでデータ分析の対象として新潟が興味深かったので分析しているだけであり、私的な感情はありませんことをご留意ください。

仮説

得点能力が高いのに負けてしまっていることから、以下の可能性を考えました。分析する中でこの仮説が当たっているかどうかも検証していきたいと思います。

  • スローペース・ロースコアの試合に持ち込まれ、高い得点能力を活かしきれず負けてしまう
  • ディフェンスが弱く、相手にも高得点を許してしまう

では分析を始めましょう。

ポゼッション

勝った試合と負けた試合でポゼッションに違いがあったかを見てみましょう。ポゼッションが少ない試合で負けていれば、スローペースで負けているかもしれないという仮説の確証が高まります。ポゼッション数はこの記事で紹介した方法で近似しています。

以下の箱ひげ図、左が負けた試合のときのポゼッション数の分布、右が勝った試合のポゼッション数の分布を表していています。

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中央値(真ん中の線)を見るとあまり違いはなく、25パーセンタイル(下辺)を見ると、僅かながら勝った試合の方がポゼッション数は少なかったと言えるようです。よってひとつ目の仮説は外れました。

得点効率

同じ要領で得点効率、つまり得点数をポゼッション数で割ったものを見てみましょう。

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やはり得点効率の良さは如実に試合結果に表れるようです。ちなみに負けた試合にも得点効率が1.3付近のものが2つあるのが分かると思いますが、その試合は以下のものでした。

日時 対戦チーム 得点 失点
2018.02.10 京都 92 94
2017.12.16 三河 94 104

京都も三河も高い攻撃力を誇るチームなので、この試合は相当な点の取り合いだったことが予想されます。非常に観戦しがいのある試合だったことでしょう。

では以下で各シュートの指標を同じ要領で見ていきましょう。

シュートの成功確率

以下は2点シュートの成功確率、3点シュートの成功確率、フリースローの成功確率を同じ要領で箱ひげ図にしたものです。

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2点シュートには差がなく、3点シュートには大きな差があり、フリースローにも勝ち試合の方が確率で上回る傾向があるのが分かります。これを見る限りどうも3点シュートの確率に鍵がありそうです。

ちなみに3点シュートを打った回数についてはあまり差はないようです。

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新潟のスリーポイントの状況

選手ごとのスタッツの話になりますが、以下が新潟の選手のスリーポイントの成績です。目立つところで言えば、五十嵐のスリーポイントの本数です。この数字は川崎の辻に続き、リーグで2番目の多さです。

2017-18シーズンの新潟の選手のスリーポイント

PLAYER 打った回数 成功率
五十嵐 圭 335 0.34
城宝 匡史 183 0.34
池田 雄一 176 0.38
ダバンテ・ガードナー 149 0.30
今村 佳太 130 0.38
ラモント・ハミルトン 107 0.34
鵜澤 潤 97 0.40
畠山 俊樹 91 0.33
遥 天翼 45 0.29
オースティン・ダフォー 27 0.26
森井 健太 19 0.21
佐藤 優樹 10 0.30

五十嵐は成功率が34%に留まっており、チームの主要なスリーポイントシュートの担い手としては少し物足りない数字となっています。例えば川崎の辻は39%の成功率を達成しています。

五十嵐の負担が大き過ぎるのではないか?

五十嵐はポイントガードとしてチームのゲームメイクもこなしつつ、主要なスリーポイントシューターとしての役割も担っていることになります。

スリーポイントに限らず、ジャンプシュートは自分でドリブルをしてから打つよりも(いわゆるプルアップ)、パスをもらって打つ方が高い確率で決まることは知られており、その意味でもポイントカードがシューターの役を担わない方が理想的です。

実際にリーグで多くスリーポイントを打っている選手を見ると、純粋にポイントガードとしての役割もこなしているのは千葉の富樫くらいに思えます。富樫のスリーポイント成功率は4割を超えますが。

2017-18シーズンで多くのスリーポイントを打った選手

TEAM PLAYER ポジション 打った回数 成功率
川崎 辻 直人 SG 373 0.39
新潟 五十嵐 圭 PG 335 0.34
琉球 岸本 隆一 PG/SG 327 0.36
西宮 ドゥレイロン・バーンズ SG/SF 318 0.32
三遠 田渡 修人 SG 305 0.39
京都 岡田 優介 SG 300 0.36
千葉 富樫 勇樹 PG 280 0.42
三河 金丸 晃輔 SG/SF 271 0.40
富山 大塚 裕土 SG/SF 267 0.40
大阪 熊谷 尚也 SF/PF 264 0.32

考えられる対策

簡単にですが、新潟アルビレックスBBの2017-18シーズンについてデータを振り返ってみました。結果を見る限りでは、スリーポイントの成功率の鍵が成功を握っている可能性が高いと見ています。

今シーズンで城宝は契約切れとのことですが、五十嵐に代わるスリーポイントシューターを獲得するか育てるかを検討し、五十嵐をゲームメイクの方に専念させるという対策が考えられるかもしれません。

五十嵐に代わるポイントガードを育て、五十嵐をシューターにするという手もありますが、個人的にはそれは五十嵐のスピードとアシスト力が勿体ないと思います。

参考文献

得点効率の求め方などは、以下の書籍を参考にしています。

Basketball Analytics: Spatial Tracking

Basketball Analytics: Spatial Tracking

2017-18シーズンでもっともターンオーバーを出してしまったチームはどこか?

前回の記事ではB1各チームの得点効率を見てみました。得点効率とは100ポゼッションあたりにそのチームが何点取れそうなのか、ということを表した指標でしたね。

今回は小ネタですが、同じ要領で各チームのターンオーバーを見てみましょう。ターンオーバーは簡単に言えばミスにより相手にボールを渡してしまうことです。つまり少ない方が良いことになります。

では早速ですがB1各チームの100ポゼッションあたりのターンオーバー数を見てみましょう。

2017-18シーズンの100ポゼッションあたりのターンオーバー数

TEAM PTS POS TOPP TOPP100
11 琉球 4495 4286 0.20 20
14 滋賀 4416 4421 0.19 19
10 横浜 4522 4508 0.18 18
13 大阪 4418 4415 0.18 18
18 島根 4253 4383 0.18 18
3 川崎 4942 4430 0.17 17
5 北海道 4766 4502 0.17 17
7 名古屋D 4753 4473 0.17 17
8 京都 4683 4322 0.17 17
15 三遠 4370 4362 0.17 17
2 千葉 5072 4505 0.16 16
9 富山 4644 4529 0.16 16
16 西宮 4328 4518 0.16 16
17 SR渋谷 4276 4359 0.16 16
1 三河 5078 4387 0.15 15
4 新潟 4857 4401 0.15 15
6 A東京 4754 4234 0.15 15
12 栃木 4494 4347 0.15 15

琉球がワースト1でした。琉球は5回に1回はターンオーバーをしていることになりますから、例えば6.6回に1回しかターンオーバーをしない栃木と対戦すれば、地味に差がついていくことになります。

ただこのターンオーバー数は、前回の記事の得点効率ほどには勝率との相関はありません(相関係数-0.264)。例えばご存知の通り琉球は今シーズン高い勝率を挙げました。以下は勝率と100ポゼッションあたりのターンオーバー数をプロットしたものです。

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ただやはりその他の強豪チームはしっかりとターンオーバーが少ないな、という印象ではありますね。

ちなみに前回の分析と合わせて、一番興味深いのは新潟アルビレックスです。得点力も高く、ターンオーバーも少なく、もう少し勝てても良いチームに思えます。こちらについてはまた別の角度(というかディフェンス)から分析してみると面白そうです。

以上です。

2017-18シーズンのチーム得点効率を見ると分かる三河の攻撃力の高さ

この記事では
2017-18シーズンにおけるB1各チームの得点効率がどれくらいだったかを見ていきましょう。

得点効率とは

得点効率の前にポゼッション(Possession)と呼ばれる概念を先に説明させて下さい。

ポゼッションとは

ポゼッションとは簡単に言ってしまえば攻撃回数ですが、もう少しだけ突っ込んで説明すると攻撃ターンが相手から回ってきた回数です。

相手からターンが回ってきた回数なので、例えばオフェンスリバウンドを拾ったり、もしくはフリースローに繋がらないファウルをディフェンスからもらったときは、新しいポゼッションが始まらず、同一のポゼッションが続くことになります。

ポゼッションはシュート決めるか、外してディフェンスリバウンド取られるか、ターンオーバーやオフェンスファウルをするか等で終わります。

(再度)得点効率とは

総得点を総ポゼッション数で割ったものです。Bリーグ公認アナリストである佐々木クリス氏の記事によると、それに100をかけたものがよく使われるらしいです。

得点効率 = 総得点 / 総ポゼッション * 100

ということになります。つまりこの数字は

「100回攻撃ターンが回ってきたら、そのチームは何点くらいとれるの?」

ということを示しています。

B1各チームの得点効率(2017-18シーズン)

ではB1各チームの得点効率を見てみましょう。残念ながらBリーグのサイトにはポゼッションの情報は掲載されていないのですが。以下のように近似することが一般的だということなので、それで計算します。

ポゼッション数 = フィールドゴールを打った回数
- オフェンスリバウンドの回数
+ ターンオーバーの回数
+ 0.44 * フリースローを打った回数

フリースローが絶対に2本であれば0.44ではなく0.5をかければフリースローを得るに終わったポゼッションの回数が求められますが、バスケットカウントの場合と、スリーポイントシュートに対するフリースローの場合を考慮すると、経験的に0.44がちょうど良いらしいです。

では以下がその数字です。総得点(PTS)と総ポゼッション数(POS)、ポゼッションごとの平均得点(PPP)と、単純にPPPを100倍したPPP100です。

2017-18シーズンのチーム得点効率

TEAM PTS POS PPP PPP100
三河 5078 4387 1.16 116
千葉 5072 4505 1.13 113
川崎 4942 4430 1.12 112
A東京 4754 4234 1.12 112
新潟 4857 4401 1.10 110
京都 4683 4322 1.08 108
北海道 4766 4502 1.06 106
名古屋D 4753 4473 1.06 106
琉球 4495 4286 1.05 105
富山 4644 4529 1.03 103
栃木 4494 4347 1.03 103
横浜 4522 4508 1.00 100
大阪 4418 4415 1.00 100
滋賀 4416 4421 1.00 100
三遠 4370 4362 1.00 100
SR渋谷 4276 4359 0.98 98
島根 4253 4383 0.97 97
西宮 4328 4518 0.96 96

恐るべきは三河の攻撃力です。得点効率2位の千葉よりも総ポゼッション数はかなり少ないというのに、総得点では千葉と同等なのが分かると思います。つまり得点の効率がより良いということになります。

ポゼッションが一番多いチームは意外にも富山でした。つまり富山は今シーズン一番オフェンスの機会が多かったことになります。これを実際に点に繋げる、つまり特典効率を上げることは今後の富山の課題でしょう。

参考に、以下がポゼッションの計算に使用した数字です。

2017-18シーズンのポゼッション数の近似計算に使った値

TEAM POS フィールドゴール試投数 オフェンスリバウンド数 ターンオーバー数 フリースロー試投数
三河 4387 3887 648 657 1117
千葉 4505 3920 652 735 1142
川崎 4430 3889 701 732 1160
A東京 4234 3762 660 637 1126
新潟 4401 3849 593 661 1101
京都 4322 3640 653 751 1328
北海道 4502 3861 642 782 1138
名古屋D 4473 3851 555 742 989
琉球 4286 3666 659 847 981
富山 4529 4083 661 709 904
栃木 4347 4063 758 646 901
横浜 4508 3871 652 791 1132
大阪 4415 3805 664 812 1049
滋賀 4421 3830 684 820 1033
三遠 4362 3661 500 725 1081
SR渋谷 4359 3996 738 717 872
島根 4383 3885 666 790 850
西宮 4518 4066 691 736 925

得点効率と勝率の関係

三河は今シーズンは最高勝率をマークしましたが、勝率と得点効率はどのような関係にあるでしょうか?プロットしてみましょう。下のグラフはx軸が得点効率、y軸は2017-18シーズンの勝率です。

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しっかりとした相関関係が見られると思います。実際に相関係数は0.864もありましたので、かなり強い相関ということ言えるでしょう。もちろんここにはディフェンス力のデータが反映されていませんので、ディフェンスも考慮したモデルを作成すれば、さらに納得のいく関連性を見ることができると思います。

補足

リンクした佐々木クリス氏の記事は前シーズンの2016-17を元にした数字ですが、それにしても得点効率の数字が私のものと大分違います。おそらく彼はポゼッションの正しいデータを所有していて、それが影響している、つまりポゼッションがこの近似よりももう少し各チーム多いのだと思います。なので私の数字はあくまで私の記事の中で比較することにしか使えないのはご注意ください。

ちなみにその近似に関しては、以下の本で学びました。

Basketball Analytics: Spatial Tracking

Basketball Analytics: Spatial Tracking

馬場雄大の新人賞受賞をデータで検証する

2017-18シーズンのBリーグ新人賞には王者アルバルク東京に所属するルーキーの馬場雄大が輝きました。

Bリーグというビジネスの今後の発展を願えば、スター性においてはピカイチの馬場が新人賞を獲るべきだという意見に異論はあまりないと思います。

ですが馬場の試合出場数が少なかったことなどにより、SNSなどを見ているとこの受賞に疑問を呈している方も少なくないようです。

私が目にする意見は大体以下のようなものだと思います。

  • 京都の伊藤達哉など、シーズンを通してより活躍した選手がいたはず
  • 外国人にも新人賞を開放し、琉球のハッサン・マーティンが受賞するべき
  • 選考プロセスが不透明

マーティンについては馬場自身も受賞コメントで言及していましたし、外国人選手への新人賞の開放というのはBリーグが進化していく上で必要な措置ではないかと思います。

透明性については今後は高まるべきと思いますが、まだBリーグは黎明期、ここから大きく育てる為には多少の「大人の事情」は必要ではないかと個人的には考えます。

この記事ではマーティンや伊藤を含め、新人が豊作と言われた2017-18シーズンの新人たちのスタッツを比較してみたいと思います。

なお、新人一覧のようなものを見つけられなかったので、ここで比較されるべき活躍した新人を見逃している場合があると思います。お気づきの方はご指摘頂けると幸いです。

まずは出場試合数(G)、スタメンででた試合数(GS)と総プレイ時間(MIN)を見てみましょう。

2017-18シーズンに活躍した新人選手

TEAM PLAYER G GS MIN
琉球 ハッサン・マーティン 58 45 1612.88
京都 伊藤 達哉 56 56 1415.08
名古屋D 安藤 周人 56 32 1351.97
滋賀 高橋 耕陽 56 22 1068.63
横浜 田渡 凌 58 11 1043.53
北海道 関野 剛平 60 42 1117.43
A東京 馬場 雄大 40 7 831.13

マーティン、伊藤、関野についてはもはやチームの主力選手として活躍していた様子が窺えます。伊藤について言えば全試合スターターとしての出場だったようです。これはすごい記録なのではないでしょうか。

馬場はケガで戦線を離脱したのは痛かったですが、シーズン終盤に戻ってこられて本当に良かったですね。

得点力からの考察

各選手の得点力・シュート力を見てみます。総得点(PTS)、試合平均得点(PPG)、分ごと得点数(PPM)、フィールドゴール%(FGP)、そして前回の記事で取り上げましたEFG%とTS%です。簡単に言うと最後の2つはFGPの改造版だと思って頂ければ。

2017-18シーズン新人選手の得点効率

PLAYER PTS PPG PPM FGP EFGP TSP
ハッサン・マーティン 889 15.3 0.55 0.64 0.64 0.66
伊藤 達哉 505 9.0 0.36 0.43 0.46 0.49
安藤 周人 448 8.0 0.33 0.41 0.52 0.55
高橋 耕陽 386 6.9 0.36 0.42 0.49 0.52
田渡 凌 372 6.4 0.36 0.42 0.43 0.47
関野 剛平 365 6.1 0.33 0.38 0.47 0.50
馬場 雄大 339 8.5 0.41 0.52 0.57 0.60

マーティンはひとりインサイドのプレーヤーであることもありかなり高い数字を誇ります。

伊藤、安藤、馬場の3人も高い得点力があることが分かりますが、シュートの効率性という観点から馬場は一歩抜け出しているようです。特にTS%が60%に達しているのは注目に値します。

このような数字に至った理由が気になるので、計算の元になった数字を個別に見てみましょう。以下はスリーポイントフリースローを打った回数(TPGA/FTA)とその成功確率(TPGP/FTP)です。

2017-18シーズン新人選手の3Pとフリースロー

PLAYER TPGA TPGP FTA FTP
ハッサン・マーティン 3 0.00 262 0.67
伊藤 達哉 91 0.28 109 0.68
安藤 周人 245 0.36 59 0.76
高橋 耕陽 162 0.28 72 0.75
田渡 凌 59 0.17 72 0.75
関野 剛平 171 0.33 85 0.69
馬場 雄大 75 0.35 80 0.69

安藤はかなりの3Pシューターであることが分かります。本数は少ないですが、馬場の確率も35%と悪くないです。一方で伊藤はあまり外からのシュートで活躍するタイプ選手ではないようです。

フリースローについては、新人はそれぞれ改善の余地があるようですね。

アシスト、ターンオーバー、リバウンドからの考察

アシスト、リバウンド、スティールを見てみましょう。この数字も選手の役割によって大きく影響される数字なので単純には比較できませんが、参考にはなると思います。

アシスト(APG)、ターンオーバー(TOPG)、オフェンスリバウンド(ORPG)、ディフェンスリバウンド(DRPG)は全て試合平均の数字です。

2017-18シーズン新人選手のアシスト、ターンオーバー、リバウンド

PLAYER APG TOPG ORPG DRPG
ハッサン・マーティン 1.2 1.95 2.26 6.09
伊藤 達哉 4.4 2.00 0.62 1.89
安藤 周人 1.7 0.89 0.48 2.16
高橋 耕陽 1.0 1.16 0.73 1.64
田渡 凌 3.0 1.26 0.24 1.28
関野 剛平 1.1 1.07 0.43 0.73
馬場 雄大 2.1 1.23 0.48 2.25

伊藤と田渡はポジションがそれを求める部分もありますが、アシストの数字は良いです。

マーティンと伊藤は少しターンオーバーの数字が気にあるところ。また個人的な意見ですが馬場はもう少しリバウンドを取ってもいいかもしれません。

安藤は先ほどの3Pの確率の高さといい、ここでのターンオーバーの少なさといい、かなり安定した良い選手のように思えます。

ディフェンスからの考察

最後にディフェンス関連の数字を見てみましょう。こちらも試合平均になっています。スティール(STPG)とブロックショット(BSPG)です。

PLAYER STPG BSPG
ハッサン・マーティン 1.03 1.36
伊藤 達哉 1.29 0.04
安藤 周人 0.41 0.12
高橋 耕陽 0.95 0.21
田渡 凌 0.84 0.00
関野 剛平 0.75 0.08
馬場 雄大 1.15 0.32

ダンクに繋がることもあり、馬場にはスティールのイメージが強いですが、数字にも表れているようです。伊藤とマーティンもスティールでは頑張りました。ポジション的にはマーティン以外はブロックショットにはあまり縁がないですが、これも馬場はもう少し高くても良いような気がします。

まとめ

新人が豊作と言われた2017-18シーズンでしたが、データを分析していてもとても楽しくなるラインナップでした。

データを見る限りは馬場の受賞は「悪くない」というのが個人的な意見ですし、冒頭にあげた通りにマーケティングなどの観点からは「正解」であるとも思います。

ただそれはもちろん、その他の新人選手の活躍を否定するものではありません。

来シーズンはどんな新人がBリーグを沸かすのか。そして今シーズンの新人たちはどのように飛躍するのか。今から楽しみですね。

2017-18シーズンの得点"効率"王は誰だったのか?

前回の記事ではBリーグの2017-18シーズンの得点王争いについて考察しました。ただ記事の中でも触れたように、得点の機会が多ければそのまま総得点数は上がっていく訳ですから、本当の意味での得点力を知る為には選手の得点”効率”を知ることが必要になります。

得点効率の判断の仕方は様々ありますが、この記事ではその中から現在手に入るデータで計算できるものに絞り、2017-18シーズンにおいて得点効率の高かった選手が誰なのかを見ていきたいと思います。

分ごとの得点力

何かの理由により出場時間はあまり長くなかったものの、その出場時間内では多くの得点を挙げた選手がいたかもしれません。よって出場時間(分)ごとの点数(PPM)が高かった選手のベスト10を見てみましょう。ちなみに出場時間が100分に満たなかった選手は除くことにしました。

2017-18シーズンの分ごとの得点力ベスト10

TEAM PLAYER G PTS MIN PPM
新潟 ダバンテ・ガードナー 59 1695 1771.73 0.96
川崎 ニック・ファジーカス 60 1517 1794.27 0.85
三遠 カルティエ・マーティン 17 328 430.00 0.76
富山 クリント・チャップマン 22 342 453.83 0.75
島根 アル・ソーントン 22 337 453.17 0.74
北海道 マーク・トラソリーニ 56 1065 1484.45 0.72
三遠 ウェンデル・ホワイト 38 558 773.88 0.72
京都 ジュリアン・マブンガ 47 734 1030.80 0.71
京都 ジョシュア・スミス 58 972 1394.12 0.70
西宮 ドゥレイロン・バーンズ 59 801 1142.70 0.70

ガードナー、ファジーカスの二大巨頭のポジションに変化はありませんでしたが、それ以降にはマーティン、チャップマン、ソーントンなど総出場時間が400分台に留まってしまったものの高い得点力のある選手が並びました。

京都からはマブンガとスミスがランクインしており、今シーズン好調であったハンナリーズの攻撃力がここに表れているのではないでしょうか。

FG%, EFG%, TS%

FG%とはフィールドゴールフリースロー以外のシュート)が何%の確率で決まったかという数字です。普通にBリーグのスタッツページなどにも記録されている数字です。

EFG%(Effective Field Goal %)とは、こちらのNBAのサイトなどにも情報がありますが、スリーポイントシュートの成功の場合はシュート1.5本分の成功とみなす改造版FG%です。

TS%(True Shooting %)とはフリースローを打った回数(FTA)も考慮に入れて、総得点(PTS)とフィールドゴールを打った回数(FGA)と共に以下のように求める指標です(×100は省略しています。)

PTS / 2 * (FGA + 0.44 * FTA)

ではこれらの数字を見てみましょう。以下は試合平均得点ベスト20の選手にそれぞれの%の情報を足したものです。こちらでも総試合出場数が30に満たない選手は除かせて頂いています。60%を超える数字はボールドになっています。

2017-18シーズンの試合平均得点ベスト20にFG%, EFG%, TS%を付加

TEAM PLAYER G PTS PPG FGP EFGP TSP
新潟 ダバンテ・ガードナー 59 1695 28.7 0.57 0.59 0.66
川崎 ニック・ファジーカス 60 1517 25.3 0.55 0.58 0.63
北海道 マーク・トラソリーニ 56 1065 19.0 0.56 0.60 0.64
千葉 ギャビン・エドワーズ 60 1088 18.1 0.61 0.62 0.64
島根 ジョシュ・スコット 48 870 18.1 0.52 0.52 0.57
富山 宇都 直輝 59 1005 17.0 0.45 0.46 0.51
京都 ジョシュア・スミス 58 972 16.8 0.67 0.67 0.68
SR渋谷 ロバート・サクレ 60 992 16.5 0.48 0.48 0.53
A東京 アレックス・カーク 60 973 16.2 0.61 0.62 0.67
三河 金丸 晃輔 57 894 15.7 0.44 0.52 0.55
千葉 富樫 勇樹 50 787 15.7 0.47 0.57 0.60
京都 ジュリアン・マブンガ 47 734 15.6 0.45 0.52 0.59
三河 桜木 ジェイアール 59 916 15.5 0.56 0.56 0.61
琉球 ハッサン・マーティン 58 889 15.3 0.64 0.64 0.66
大阪 キース・ベンソン 32 476 14.9 0.52 0.53 0.57
名古屋D ジャスティン・バーレル 56 826 14.8 0.61 0.61 0.65
三遠 ウェンデル・ホワイト 38 558 14.7 0.43 0.48 0.52
滋賀 ディオール・フィッシャー 59 803 13.6 0.62 0.63 0.67
西宮 ドゥレイロン・バーンズ 59 801 13.6 0.39 0.46 0.52
横浜 川村 卓也 57 778 13.6 0.42 0.49 0.54

外からのプレーがほぼ一切ない京都のスミスが高い%を誇っているのが分かりますが、千葉の富樫や、圏外ですが川崎の辻などアウトサイドの選手も、FG%は40%代ですが、TS%では60%を超えてきています。

ボールとの接触(タッチ)をどれだけ得点に繋げたか

Bリーグが提供している統計情報では計算は不可能ですが、NBAですとボールとの接触の何%を得点に繋げたのか、といった細かい指標まで計算されています。Bリーグでも近い将来にこのようなプレイごとの統計情報が手に入るようになると嬉しいです。

得点をどれだけフリースローで挙げたか

フリースローはその名の通りフリーに打てるわけですから、なるべく多くの得点をフリースローで挙げることが出来れば効率的だと言えそうです。以下は総得点におけるフリースローによる得点の割合(FTR)が高かった選手のベスト10です。総得点が100点に満たない選手は除いています。

2017-18シーズンのフリースローによる得点の割合が高かった選手ベスト10

TEAM PLAYER G PTS FTM FTR
A東京 ランデン・ルーカス 18 118 40 0.34
京都 ジュリアン・マブンガ 47 734 225 0.31
北海道 桜井 良太 60 356 100 0.28
三河 コートニー・シムズ 21 181 51 0.28
滋賀 横江 豊 53 110 31 0.28
三遠 太田 敦也 60 496 134 0.27
大阪 橋本 拓哉 57 409 109 0.27
三河 ダニエル・オルトン 38 444 121 0.27
新潟 ダバンテ・ガードナー 59 1695 435 0.26
栃木 ジェフ・ギブス 35 430 111 0.26

オールラウンドプレーヤーとして有名な京都のマブンガはなんと総得点の3割をフリースローによって挙げていました。連続試合出場数の記録で有名な北海道の桜井も28%の得点をフリースローによって挙げています。

まとめ

2017-18シーズンにおいて、選手がどれだけ効率的に得点を挙げているかを見てみました。総合的に結果を見ると、やはり得点王のガードナーは効率よく点数を挙げていたと思います。もう一人推すとすれば、京都のジュリアン・マブンガでしょうか。非常に効率よく点数を重ねているという印象です。

同じような要領でチームの得点効率を測ることもできるので、近いうちにそれも計算してみたいと思います。

なおEFG%やTS%は以下の書籍を参考にして学びました。

ガードナーがファジーカスから得点王を奪取できた理由

Bリーグの2ndシーズンこと2017-18シーズンの得点王に輝いたのは、新潟アルビレックスのダバンテ・ガードナーでした。初代得点王だった川崎ブレイブサンダースのニック・ファジーカスは2位となりました。今シーズンの両者の差はどこにあったのでしょうか?データを見てみましょう。

両者の得点スタイルの違いからの考察

まずは試合平均得点(PPG)のベスト10を見てみます。Gは総出場試合数です(ここが30に満たない選手のデータは除いています。)

2017-18シーズン試合平均得点ベスト10

TEAM PLAYER G PPG
新潟 ダバンテ・ガードナー 59 28.7
川崎 ニック・ファジーカス 60 25.3
北海道 マーク・トラソリーニ 56 19.0
千葉 ギャビン・エドワーズ 60 18.1
島根 ジョシュ・スコット 48 18.1
富山 宇都 直輝 59 17.0
京都 ジョシュア・スミス 58 16.8
SR渋谷 ロバート・サクレ 60 16.5
A東京 アレックス・カーク 60 16.2
三河 金丸 晃輔 57 15.7

錚々たる面々が並んでおりますが、やはり目立つのはガードナーとファジーカス両巨頭で、そしてガードナーがファジーカスに試合平均で3点以上もの差をつけていることです。なぜ初代得点王相手にここまで差をつけることが出来たのでしょうか?

ちなみに1stシーズンの両者の出場試合数と試合平均得点数は以下のようになっていました。ご覧のようにファジーカスが大差で2位のガードナーを突き放したシーズンでした。

2016-17シーズンのガードナーとファジーカス

TEAM PLAYER G PPG
川崎 ニック ファジーカス 60 27.1
新潟 ダバンテ・ガードナー 54 21.9

では2017-18シーズンの話に戻ります。以下は両者の総得点(PTS)を2点シュートによる得点(PTSBY2P)、3点シュートによる得点(PTSBY3P)、フリースローによる得点(FTM)にそれぞれに分解したものです。

2017-18シーズンのガードナーとファジーカスの得点方法

PLAYER PTS PTSBY2P PTSBY3P FTM
ダバンテ・ガードナー 1695 1128 132 435
ニック・ファジーカス 1517 1030 186 301

グラフでも見てみましょう。

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ご覧のようにフリースローでガードナーはファジーカスに大きな差を付けたことが分かります。以下のテーブルにあるように両者ともフリースローの確率(FTP)は約85%と非常に高く、純粋にガードナーはファジーカスよりも多くのフリースローを打っていました(FTA)。つまり多くのファウルをもらっていました(FD)。

2017-18シーズンのガードナーとファジーカスのフリースローと被ファウル

PLAYER FTM FTA FTP FD
ダバンテ・ガードナー 435 516 0.84 445
ニック・ファジーカス 301 356 0.85 289

実際にガードナーは被ファウル数ではリーグ1位です。

2017-18シーズン被ファウル数ベスト5

TEAM PLAYER G FD
1 新潟 ダバンテ・ガードナー 59 445
3 千葉 ギャビン・エドワーズ 60 404
9 三河 桜木 ジェイアール 59 301
5 富山 宇都 直輝 59 296
2 川崎 ニック・ファジーカス 60 289

ファジーカスが柔の選手であれば、ガードナーは剛の選手と言えると思います。今回はその両者のプレイスタイルの違いが結果に表れたと言っても良さそうです。

新潟アルビレックスの状況からの考察

ひとりの選手にボールを集めればその選手の得点機会が増えるので、その選手が多く得点することになるのは自然です。新潟アルビレックスにはガードナーにボールを集めざるを得なかったのかもしれません。今シーズンと前シーズンのアルビレックスの選手の試合平均得点を見てみましょう。

2017-18シーズンの新潟アルビレックス

TEAM PLAYER G PPG
新潟 ダバンテ・ガードナー 59 28.7
新潟 ラモント・ハミルトン 30 13.3
新潟 五十嵐 圭 60 10.6
新潟 畠山 俊樹 49 6.9
新潟 城宝 匡史 52 6.6
新潟 今村 佳太 42 6.0
新潟 ジャレッド・バーグレン 27 5.2
新潟 オースティン・ダフォー 59 4.9
新潟 鵜澤 潤 57 4.9
新潟 池田 雄一 60 4.3
新潟 遥 天翼 55 3.1
新潟 森井 健太 35 1.1
新潟 佐藤 優樹 25 0.7
新潟 輪島 射矢 4 0.0

2016-17シーズンの新潟アルビレックス

TEAM PLAYER G PPG
新潟 ダバンテ・ガードナー 54 21.9
新潟 クリント・チャップマン 60 18.9
新潟 五十嵐 圭 58 10.5
新潟 佐藤 公威 59 8.5
新潟 畠山 俊樹 57 6.3
新潟 遥 天翼 58 5.5
新潟 スティーブン・バン・トリース 60 4.4
新潟 池田 雄一 53 3.5
新潟 佐藤 優樹 56 1.6
新潟 八幡 圭祐 5 0.8
新潟 本間 遼太郎 24 0.4
新潟 森井 健太 12 0.4
新潟 田口 凜 1 0.0

やはり前シーズンまでツインタワーのひとりとして活躍していたチャップマンが富山に行ってしまった穴は大きそうです。その穴を他の選手で埋められず、結果的にガードナーが奮闘することで何とかしてきてしまった、という背景が新潟アルビレックスにはありそうです。

まとめ

先月閉幕したBリーグB1の2017-18シーズンの得点王争いをデータから振り返ってみました。ガードナー選手、改めて2ndシーズンの得点王獲得をお祝い申しあげます。ファジーカス選手は、リバウンド王とベスト5への選出おめでとうございます。

追記1: 総得点の推移から考察

選手ごとの各試合のスタッツも手に入ることが分かったので、両選手がシーズン60試合をこなす中でどのように点を積み重ねていったのかを見てみたいと思います。

下のグラフはx軸が1~60試合で、y軸が総得点の累計です。

f:id:rintaromasuda:20180610201107p:plain

両選手はコンスタントに点を積み上げ、単純にガードナーのペースがファジーカスのペースを上回っていた様子が窺えました。