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Bリーグ全選手のショット試投数と成功率をプロットしてみる

Bリーグ2020-21シーズン第21節終了時点のデータで、全選手のショット試投数と成功率をプロットします。x軸が試投数、y軸が成功率です。なるべく情報量と視認性のバランスを取ろうとはしたのですが、選手名で図が見辛いのはご容赦ください。

スリーポイントショット

まずはスリーポイントから見てみましょう。

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B1では試投数でハミルトン、西山、富樫が抜け出ています。西山についてはそこまでプレーを観られていませんが、おそらくプルアップからスリーポイントを量産している3人だと思います。富樫は今季不調の扱いを受けてますが、やはりこうして見るとパフォーマンスは高いです。

金丸についてはご存知の通り異次元の活躍を見せていますが、成功率の高さはもちろん、アテンプトの多さも、シーホース三河が如何に金丸にショットを打たせるべくオフェンスを組み立てているのか、その証左のように思います。

あと目立つのはエヴェッサ大阪のディージェイ・ニュービルですね。ニュービルもおそらくプルアップが多いと考えると、今季ここまでのトップシューターのひとりであることは疑いがなさそうです。

B2では昨季も石川海斗がプルアップスリーをバンバン打っていたイメージでしたが、今季からおそらく丹野合気がそこに加わった感じですね。丹野は後で触れるように、フィールドゴールでも独特の位置付けで、タフショットでも果敢にゴールを狙っていってる様子が伺えます。

フィールドゴール

次にスリーポイントに2点シュートも加えたフィールドゴール全体で見てみましょう。

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お馴染みのインサイドの選手が目立つのはもちろんのことですが、京都のライス、琉球のエバンス、大阪のニュービル、北海道のテイラーなど、1-3番ポジションでプレーする外国籍選手が登場しているのが今季に特徴的な部分ではないでしょうか。彼らによって今季のBリーグは質的な部分で大きく変わったと思っていて、例えるなら富樫勇樹がたくさん増えたくらいのインパクトがあると思っています。

B2では兒玉貴通、木田貴明、丹野合気が目立ちますね。特に丹野は孤高の存在のように思えます。上述しましたが、タフショットでも積極的にゴールを狙いに行っている姿が想像でき、そこに勝手にストリート魂を感じちゃいます。

フリースロー

最後にフリースローです。

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京都のライスはポイントガードという事になっておりますが、大量にフリースローを獲得しているようで素晴らしいです。同じくポイントガード的にプレーする藤井祐眞が日本人ガードとしてはすごい位置にいると思います。積極的にリングにアタックしている結果ではないでしょうか。

富山のマブンガや広島のエチェニケは常連だと思いますが、同じく常連のはずのガードナーのアテンプトが以前に比べると少ないんですよね。ここは上述の金丸についてに繋がりますが、三河のオフェンスの変化を大きく表していると思っていて、ガードナーからボールが回るようになった結果ではないかと思います。

B2では山形のランダルと香川のウッドベリーがフリースローで得点を量産しているようです。奈良のジャクソンは、試投数に比して確率が50%以下とかなり低く、ちょっともったいないですね。インサイドの選手は当然ながらファウルをもらうことが多いので、フリースローが苦手だと得点力という意味ではなかなか生き残りが難しくなりそうです。

書評「B.LEAGUE(Bリーグ)誕生 日本スポーツビジネス秘史」(大島 和人)

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本書は『党首』として一部のスポーツファンにはお馴染みのライター、大島和人さんによる日本バスケットボールの現代史です。私もTwitterでときどき楽しくやりとりさせて頂いておりますし、バスケに関する通常の記事も読ませてもらってます。

大島さんはバスケにまつわる、こう言っては何ですが下世話な話、例えばお金の話なんかをさらりと冷静に、ワイドショーのような下品なやり方でない形で掬い上げるのが上手なライターさんという印象です。本書でもそのスキルは存分に発揮されていると思います。

大島さんが書かれた日本バスケの話であれば是非読みたいと予約して購入したのですが、コロナ禍で唯一の読書タイムだった通勤電車に乗る時間がなくなり、購入から約一か月でようやく読み終えました。

本書を読み終えた率直な感想は「是非、漫画化して欲しい」でした。何でも漫画化などのデフォルメを行う風潮はあまり好きではないのですが、歴史読み物のような本書と漫画は相性が良いと思います。あと登場人物がかなり多いので、絵でも人物が区別できると良さそうです。何よりもっと多くの人に届いて欲しいです。

漫画化であれば主人公を設定する必要がありそうですが、個人的には境田弁護士を推したいです。一般的には「お堅い」印象のある仕事に従事している方が、豪腕の改革者の右腕となってスポーツかいで悪戦苦闘する様、漫画向きではないかと思います。もちろん、実際にどういう方かは存じないので、あくまで本書から想像して物を言ってるだけですが。

もうひとつ感想を述べるのであれば、やはりバスケ界の混乱期も含め、今の礎を築いてくれたすべての人とそのバスケ愛に感謝しなければということです。この様な改革の歴史があると、得てして改革側と体制側という枠組みに嵌め込み、改革側の肩を持ってしまいがちです(ちなみに本書でそのように描写されている訳ではないです。)

もちろんそういった構図は少なからずあったでしょうが、混乱期も含めてすべては様々な人々のバスケ愛、血と汗によって築き上げられたバスケ界、それらをすべて含めて、今バスケを存分に楽しめる、存分に応援できる環境があることに感謝したいと思います。

B.LEAGUE(Bリーグ)誕生 日本スポーツビジネス秘史

B.LEAGUE(Bリーグ)誕生 日本スポーツビジネス秘史

  • 作者:大島 和人
  • 発売日: 2021/01/14
  • メディア: Kindle版

NBAデータツールの2020-21バージョンを公開しました

NBAデータツールの2020-21バージョンを公開しました。なんか瞬く間に新シーズンが始まってしまって調子狂いますよね。

ツールの取得場所は以下になります。現在の最新バージョンは1.4です。

詳しい取得方法、使用方法などは以下の記事を参考にしてください。

注意事項

この記事を書いている現時点(2020/12/25)では、まだクラッチタイムを経験していないチームがある関係でデータの取得後にエラーが出る場合があります。使用には特に問題はありませんが、ご留意ください。

2020-21シーズンBリーグデータの四方山話

2020-21シーズンのBリーグが始まってから早1か月以上ですが、ようやくbleaguerに今シーズンのデータを入れました。後述するちょっとした問題はあるのですが、一応使える状態にはなっていると思います。bleaguer(ビーリーグアール)とは何ぞやという人は以下の記事を参照してください。

今シーズンからBリーグのページに変更があり、私を含めスクレイピング勢は多少の変更を求められることになりました。コロナ禍による生活の変化、家族のスケジュールの変更によるあれこれですっかり時間がかかってしまいましたが、とりえあずこのまま今シーズンのデータは取得できそうです。

この記事では今季の対応をしていく中で気が付いた、ちょっとした四方山話をしたいと思います。特に有用な話はないと思います。

スタッツページのロードが遅い問題

スタッツページ(だけじゃないけど)のロードがすごく遅くなった印象です。私はあまりこのページは利用していないのですが、開いてみると表示まで2-3秒はコンスタントにかかる印象です。

この現象と、色々と人から聞いた話から察するに、今季からBリーグはページ(フロントエンド)を変更しただけではなく、データベース(バックエンド)にも何かしらの変更があった可能性が高いと思います。その関連でページがデータを取得する方法が変わり、遅くなってしまったのではないでしょうか。

ページの表示速度というのは基本的には絶対正義、つまり誰しもが望むことだと思いますので、ここは改善して欲しいと思います。

スタッツページのコピペがやりにくい問題

これも私は最近やらなくはなったのですが、スタッツページをどかんとExcelにコピーするようなことがとてもやり辛くなりました。スタッツのテーブルを全選択するのも何かやり辛いですし、Excelにコピーしても1選手ごとに空行が2つ付いてくる構造になっているので、いちいちそれを取り除く作業をしなくてはなりません。

bleaguerなんかを使わなくても、スタッツのページの値をExcelでイジイジするだけでも相当に楽しいので、もちろん一部限定的なファンからの要望ではあるとは思いますが、スタッツのページはなるべくシンプルに保って頂くと嬉しいですね。少なくてもあまり装飾が必要なエリアではないと思っています。

スタッツからDUNKが消えた問題

これは別に私にとっては問題ではないのですが、スタッツからいつの間にかDUNKが消えております。

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先日Twitterでダンクがスタッツなのか、最高記録更新を宣伝するものなのかという議論が交わされていましたが、実はページの方ではひっそりと今シーズンからダンクの項目が消えています。

先日の宣伝にあるようにBリーグとしてはダンクの数は数えているようで、それはPlay by Playなどに記録があることからも明らかです。おそらく上述の話題と関連するのですが、今季より何か新しいバックエンドがスタッツの記録に用いられていて、その中にはDUNKの項目が存在せず、既存のBリーグのデータベースからそちらに値を移すときにDUNKを捨てざるを得ないのではないでしょうか。あくまで推測ですが。

バンビシャス奈良 vs. ライジングゼファー福岡問題

私はここまで5シーズンすべてのゲームのスクレイピングをしてきたのですが、その中でいくつか例外的な扱いをする必要があるゲームというのはありました。ただ今季はまったくスクレイピングが出来ないゲームが現れてしまいました。以下のゲームです。

GAME REPORTがページに表示されておらず、かつページの内部にも値が見つからない為にスクレイピングが出来ません。またページの構造が他のゲームと違っているのか、BOX SCOREも他のゲームと同様のスクレイピングが出来ませんでした。このゲームについては手入力でbleaguerにデータを入れる必要がありますが、GAME REPORTにしかない項目については空白としておくしかありません。

デション・トーマス問題

アルバルク東京のデション・トーマス、合流から早速プレーで存在感を発揮していましたね。間違いなく今季の注目選手のひとりとなりそうなのですが、実は一部のデータクラスタでも注目を集めています。理由は以下で一目瞭然なのですが、各選手に割り当てられるプレイヤーID、トーマスに唐突にすごく大きな値が割り当てられているのです。

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ほんのちょっと大きいだけならさして問題ではないのですが、この数(5100000003)って2の32乗(4294967296)より大きいんですよね…こうなるとこのIDを保存する型の変更を求めれる可能性が出てきて、例えば私のbleaguerもRのinteger型を使っていたので、この値の為に変更する羽目になりました。

NBAの方でもそうだったのですが、経験上(とか言って今回全然対応はできていないですが)人様のIDなどを流用するときは数値に見えても念のため文字列型の定義としておくのが確実ですね。場合によっては頭に0が付いたりとか、今回のように唐突に大きな値が来たりとか、突然アルファベットが入ってきたとかそんなことがありえますからね。

そう言えばこれを書いていて思い出したのですが、bleaguerでは背番号もinteger型で管理してしまっており、背番号0と背番号00を区別できないというマイナーな問題も発生してしまっています(反省)。

全試合スケジュールが表示できなくなった問題

私は以前botを制作し、以下のようなツイートで毎朝6:30頃にその日の日程をお知らせしています。

これをやる為にBリーグのスケジュールページにアクセスし、第1節から最終節までのすべてのスケジュールを取得してからその日の分だけを抜き出していたのですが、今シーズンからそれが出来なくなってしまいました。

現在はある節のすべてのゲーム、もしくはあるチームのすべてのゲームを表示する事はできるようですが、すべてのチームのすべての節のゲームは表示できないようです。

とりえあず何も考えずにアクセスすると、デフォルトで今節のゲームが表示されるので、それを利用してbotは直しましたが、ざっと向こうしばらくのゲームのスケジュールを眺めることが面倒くさくなってしまった印象です。

小言みたいになってしまうのですが、Bリーグはサイトにしろアプリにしろ、『閲覧者はどこか特定のチームを応援している』という前提に依りすぎている気がしています(もちろんそういう閲覧者の方が多数派だとは思いますが。)私のように特定のチームを応援しておらずその時々で気になったゲームを見る立場だと、ときどきページやアプリのひょんな落とし穴に落ちる感じがあります。小言ですけど。

まとめ

なんか文句を言っているような記事になってしまいましたが、現状は将来のシステム的な部分、IT的な部分でのステップアップの為の移行期間、痛みの期間だと信じてますので、基本的にはBリーグさんにはそのまま進んでもらいたいと思っております。頑張ってください。

書評「バスケットボール戦術学 《1》 オフボールスクリーンをひも解く」(小谷 究, 前田 浩行)

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恐縮ながら生まれて初めてご献本いただいてしまいました。昔からブロガーの人が献本された書籍を紹介しているのを見たりしていて「そんな世界がこの世にあるものなんだな」と思ったりしていたのですが、まさか自分が献本いただく日が来るとは。これからはプロブロガーを名乗りたいと思います(笑)

冗談はさておき、こちらの書籍は流通経済大学スポーツ健康科学部の准教授であります小谷究さんと、現在はバスケ男子日本代表のテクニカルスタッフとして活躍されている前田浩行さんによって著されたバスケットボールの戦術解説書です。日本バスケの情報を追っている方であれば、少なくても何処かでお二人の名前を目にされた方は多いと思います。

私は小谷さんが佐々木クリスさんと著された書籍を以前に読ませて頂きましたし、ツイッターのアカウントもフォローさせて頂いておりました。

またこの書籍の出版元であるベースボール・マガジン社のピックアンドロール解説書も読ませて頂いたことがあります。ちなみにこちらは元琉球ゴールデンキングスHC、現宇都宮ブレックスACの佐々宣夫さんの著書です。

こちらのバスケットボール戦術学でも佐々さんの著書同様、3Dによる分かり易い図解が使われておりますが、どちらかというと佐々さんの著書よりは文章での説明を中心に据えている印象を持ちました。

ハッカー(オフェンス)とセキュリティ担当者(ディフェンス)の終わりなき戦い

さて、ソフトウェアエンジニアならではの感想になるかもしれませんが、私がこの書籍のを一読して持った感想は「なんかオフェンスとディフェンスの攻防って、ハッカーとセキュリティ担当者の果てしない攻防みたいだな」というものです(ちなみにソフトウェアの世界では必ずしもハッカーという言葉を悪者の意味で使わないのですが、ここではそのような意味で使っております。)

ハッカーが何か悪い事をしたとします。すると、セキュリティ担当者はそれをされないように更にセキュリティを強化します。そうするとまたハッカーが新しい手を考えます。そしてセキュリティ担当者も更に新しい策を打ちます。こうして世の中のセキュリティに関する技術力は向上していきます。大学でコンピューターサイエンスを学んでいた頃、ひとりの教授が「優秀な守り手になりたいのであれば、攻める側にもなれる技術力と知識が必要」と話していたのを思い出します。

バスケットボールにおけるオフェンスとディフェンスの進化も同様の道を辿っているはずで、本書ではそれがページの流れと共に説明されています。例えばこんな感じです。

オフェンス側はインサイド選手2人を使ってカーテンスクリーンを作り、シューターにワイドオープンのスリーを打たせようとする

ならばシューターのディフェンスはスクリーンとシューターの間に割って入り、シューターをノーマークにさせない

ならばシューターは裏をかいて、スクリーンを使うと見せかけて逆方向に動き、ゴール下でノーマークになる

ならばシューターのディフェンスはシューターを後ろから追いかけ、ノーマークの瞬間を最小限に抑えつつも裏をかかれないようにする

ならばシューターはボールをもらった後にシュートにいかず、スクリーンを活かしてゴール下にドリブルでアタックする

ならばスクリーナーのディフェンスのひとりが一時的にドリブルでの侵入を防ぐ役割をする

ならばオフェンスは(永遠に続く…

そっちがそう来るならこっちはこうする。こっちがこう出ればあっちはああする。そんな対策のし合いのプロセスをひたすら繰り返して、バスケットボールの戦術は日々進化しているんだと思います。この書籍ではそうして磨き上げられてきた戦略の進化を追体験することが可能になっており、そこが一番のセールスポイントであると個人的には思いました。プレイヤーやコーチはもちろんの事、ただ観戦を楽しみたい私のような1ファンにも嬉しい内容だと思います。

ただひとつだけ追記しておきたいのは、ここで説明されている戦術や戦略を暗記してそして練習して、それを実際にそのまま試合で使ってみて下さいというのは著者たちのメッセージではないと思います。もちろんそれは重要な第一ステップだとは思いますが、著者たちの願いはここで説明されている知識をもとに、ひとりひとりのプレイヤーやコーチが考え、試行錯誤し、自分たちにとって最適なものを掴む、そういう過程を踏んでくれることだと思います。

今後に向けて

生まれて初めてご献本頂いたんだからベタ褒めするしかないやろー、と思ってはみたものの、それだとあんまり面白くないと思ったのでいくつか思いついたことを書いてみたいと思います(笑)

これは読者に考えさせる為に意図的にやっていないのかもしれませんが、各箇所で何がポイントなのか、冒頭や末尾に箇条書きのまとめでもあると頭に入りやすいかと思いました。もしくはポイントとなる文章を太字にするだけでもいいかもしれません。いずれにせよ記憶への定着の向上、また書籍の検索性の向上の観点からも、まとめがあると助けになるのではと思います。

また書籍を超えた話題にはなってしまいますが、やはりこのように3Dによる絵図を活用するのであれば、動画で観たらもっと分かり易いなと思ってしまったのは正直なところです。動画となると制作のコストも上がりますし、一方でマネタイズが難しくなるなどの問題もありますが、特に若い世代においては動画コンテンツの方が好まれるのではないかと思いました。

以上になります。ご献本まことにありがとうございました。このような書籍が今後とも発売され、プレイヤーやコーチの手に渡り、日本のバスケットボールがさらに前進することを願います。

バスケットボール戦術学 《1》 オフボールスクリーンをひも解く

バスケットボール戦術学 《1》 オフボールスクリーンをひも解く

2019-2020年の日本バスケ界が激動すぎる件

2019年から2020年にかけての日本バスケ界、本当に色々とあり過ぎです。占星術だったら「○○星と□□星が交差する100年に1度の年」とか細木数子さんに言われそうです。知らんけど。

思いつくままに出来事を列挙してみるとこんな感じです。どれも感慨深く大きな最近の出来事ですが、最近の激動の世の中のせいか、どこか懐かしさを感じてしまうのが正直なところ。

  • 男子バスケ44年ぶりオリンピック出場決定
  • 男子バスケW杯に21年ぶり自力出場。史上最強チームと呼ばれながら5連敗。
  • 八村塁がNBAドラフトにて、日本人として初めて1巡目で指名される
  • 馬場雄大がBリーグから米国へ挑戦
  • レジェンド折茂武彦が現役の引退を表明する
  • 吉田亜沙美が引退を表明。そして半年後に電撃カムバック。
  • 富樫勇樹が日本人初の1億円プレイヤーに
  • 鉄人桜井良太の連続出場記録が途絶える
  • 女子バスケアジアカップ4連覇を達成
  • 女子3x3U23代表がワールドカップで優勝。初のFIBAタイトルを獲得。
  • テラスハウスに田渡僚が出演し界隈が大騒ぎ
  • 大崎佑圭がママアスリートとして代表に復帰
  • ウインターカップの決勝で史上初の福岡対決が実現
  • 河村勇輝が現役高校生として鮮烈Bリーグデビューを飾る
  • 史上初の無観客試合が開催される
  • Bリーグ、Wリーグ共にシーズンが中止される
  • オリンピックの延期が決定
  • (海外)コービー・ブライアント氏が事故死

繰り返しになりますが、どれひとつとってみても普段なら3大ニュースのひとつにでも入ろうかという内容です。やはり〇〇星か□□星の影響なのでしょうか…

シーズンも終わり、来シーズンのBリーグはB1が20チーム、B2が16チームだから地区をどうしようだとか、選手の移籍がどうなるのかなとか、1年がオリンピックが伸びたことで男子、女子とも代表の選考に影響があるのかな、とか。

まあ色々と考えたら面白そうなことはあるのですが、正直に言うと、次のシーズンが今のチームのままで普通に始まって、そしてそのまま普通に終わってくれれば、それで100点満点なんじゃないかなって思っています。

あ、まだ2020年って3か月しか経ってないんですよね。ここからもまだまだ何か起こってしまうのでしょうか…悪いことは起きないように、○○星と□□星に向かって祈りを捧げます。

オフェンスリバウンドを取った直後に何が起こっているのか?

オフェンスリバウンドを取ると、解説者の中川聴乃さんが嬉しそうに「ナイスリバンッ!!」と言ってくれます。あれ、最高です言われてみたいです。

という冗談はさておき、前回の記事に引き続いてオフェンスリバウンドの話題です。Bリーグの今季ここまでの全オフェンスリバウンド7,634本について、その直後にどんなプレーが生まれているのかを調べてみました。

「リバウンドを制する者はゲームを制する」、よく知られた言葉ですが、現代では無理にオフェンスリバウンドに行くのではなく、ディフェンスの戻りを優先した方が良い効果が出やすいと聞いたこともあります。

下がその7,634本の直後にどうなったのかのデータです。BリーグのPlay by Playにはポゼッションの変わらないアウトオブバウンズの記録は残っていないので、「直後」と言っても一回ボールがコートの外に出てプレーが止まっている場合もあります。

ついでに期待値も求めてみたのですが、フリースローで得られる点数は、バスケットカウントの場合などは無視して、適当に確率75%の2回分と設定してあります。また、当然再びオフェンスリバウンドを取得する可能性もある訳ですが、単純化の為にそれも無視しています。

直後のプレー 回数 起きている割合 得点 期待値
2点 成功 ペイント内 2262 29.6% 2 0.592611999
2点 失敗 ペイント内 1537 20.1% 0 0
3点 失敗 903 11.8% 0 0
ファウル取得(FTなし) 674 8.8% 0 0
ファウル取得(FTあり) 577 7.6% 1.5 0.113374378
ターンオーバー 541 7.1% 0 0
3点 成功 472 6.2% 3 0.185485984
2点 失敗 ペイント外 395 5.2% 0 0
2点 成功 ペイント外 204 2.7% 0 0
その他 40 0.5% 0 0
オフェンスファウル 29 0.4% 0 0
7634 0.89147236

オフェンスリバウンドの直後、約50%がペイント内で再びシュートを放ちにいっています。ファウルの取得もペイント内のシュートに対してだと仮定するならば、実に約58%はペイント内でのシュートに行っています。その成功率も約60%と高めです(2262 / (2262 + 1537))

次に多いのはスリーポイントで、オフェンスリバウンド後のプレーの約18%はスリーを打ちにいったようです。ちなみに「オフェンスリバウンド直後のスリーは確率がいい」と述べられいるのを聞いたことがあるのですが、ここでは約34.3%という成功率になりました。

ちなみにペイント外の2点エリアの場合、そのシュート成功率は約34.1%とかなり低めです。

ターンオーバーとオフェンスファウルで7.5%にもなっているのは面白い、というかもったいないですね。オフェンスリバウンドの13~14本に1本くらいは無駄にしてしまったということになります。

オフェンスリバウンド1回で約0.89点の期待値。この値を高いと見るか、低いと見るかは、相手のトランジションオフェンスのスキルや自チームのトランジションディフェンスの習熟度にもよります。

トランジションは最も容易に点が取れるシチュエーションのひとつであることを考えると、0.89点はチャレンジするには少し物足りないかもしれません。

以下、関連したツイートです。

ペリーメーターからのシュートはオフェンスリバウンドも取りづらい

以前NBAの方でこんなデータが紹介されていました。要はショットロケーションによってどうオフェンスリバウンドの確率が変わってくるかということですね。

端的に言えば制限区域内(ゴール下)やペイント内のシュートだとオフェンスリバウンドが最も取りやすい事と、スリーポイントよりもミッドレンジの方がオフェンスリバウンドの確率が悪いというのがポイントだと思います。

Play by Playのデータを解析し、今シーズンのB1についても調べてみました。具体的に言うと、ここまでの全シュートミス23,327本について、ディフェンスリバウンドに終わったのか、オフェンスリバウンドに終わったのかを調べました。

以下が結果です。ちなみにフリースローは当然ながら最後の一本のみ対象にしています。

シュートの種類 シュートミス総数 OREB DREB OREB%
スリー 9054 2499 6555 27.6%
2P(ペイント内) 8383 2072 5663 32.4%
2P(ペイント外) 4381 1042 3339 23.8%
2P 計 9002 3762 12764 29.5%
FG 計 15557 6261 21818 28.7%
フリースロー 1509 180 1329 11.9%

Bリーグの方でもどうやら2点のエリアのペイント外、いわゆるペリメーターと呼ばれるエリアにおけるシュートではオフェンスリバウンドの確率が低そうです。

近年このエリアは得点の期待値が低いことで有名。簡単に言えば2点のエリアのくせにあまり確率良く決められないことで嫌われがちです。

そこに来てオフェンスリバウンドも取りづらいというデータもあれば、ますます避けられるプレーになるかもしれません。ファウルのもらいやすさも考慮すると更にでしょうか。

なぜペリメーターからのシュートだとスリーポイントよりもオフェンスリバウンドが取りづらいのでしょうか。流れの中で打ってないタフショットになりがちだからでしょうか。それともリバウンドを取るべきインサイド陣が打ちがちだからでしょうか。考えてみると面白いかもしれません。

それにしても、NBAもBリーグもフリースローのOREB%って10%以上もあるんですね!気を抜いてしまいがちな瞬間ですが、油断は禁物です。

スリーポイントの成功数をアシストありなしで分けてみた

再びアシストの話題が続きます。今回は今シーズンのスリーポイント成功数をアシストありなしで分けてみました。

B1の2019-20シーズン第23節終了時点で、スリーポイント成功数がトップ30位以内の選手をプロットしてみます。

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富樫勇樹と言えばピックアンドロールから放ってくるプルアップのスリーという印象がありますが、やはりひとりだけその点に関しては抜けています。

富樫の決めたスリーの約70%がアシストなしのスリーとなっており、これは主要な選手の中でも飛びぬけて高い数字です(次点はビーコルの生原秀将で54.3%。)

琉球の岸本隆一(アシストなし割合44.4%)や名古屋Dの安藤周人(同36.7%)も積極的にプルアップを放ってくるイメージはありますが、それでも富樫の割合からはかなり離れています。

もちろんこれは単純に高いから素晴らしいというものではありません。チームの流れの中でスリーが放てていれば、必然的に割合は低くなるはずです。

実際にこの割合が低い選手を見てみると、ピックアンドポップでスリーが打てるビッグマンや、各チームのシューター陣が名を連ねているのが分かります。

チーム 選手 スリー成功数 成功数の内アシストなしの割合
島根スサノオマジック ロバート・カーター 96 15.6%
京都ハンナリーズ 松井 啓十郎 90 3.3%
琉球ゴールデンキングス 岸本 隆一 90 44.4%
滋賀レイクスターズ 狩野 祐介 85 4.7%
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ 安藤 周人 79 36.7%
サンロッカーズ渋谷 ライアン・ケリー 75 16%
千葉ジェッツ 富樫 勇樹 75 69.3%
富山グラウジーズ 前田 悟 75 5.3%
大阪エヴェッサ ジョシュ・ハレルソン 71 1.4%
シーホース三河 川村 卓也 67 6%
川崎ブレイブサンダース ニック・ファジーカス 67 0%
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ 笹山 貴哉 67 31.3%
宇都宮ブレックス 渡邉 裕規 66 34.8%
新潟アルビレックスBB 今村 佳太 66 16.7%
三遠ネオフェニックス 西川 貴之 63 22.2%
川崎ブレイブサンダース ジョーダン・ヒース 62 0%
大阪エヴェッサ 橋本 拓哉 60 13.3%
富山グラウジーズ レオ・ライオンズ 60 10%
サンロッカーズ渋谷 ベンドラメ 礼生 56 37.5%
新潟アルビレックスBB 五十嵐 圭 56 35.7%
滋賀レイクスターズ 高橋 耕陽 55 21.8%
秋田ノーザンハピネッツ 細谷 将司 55 36.4%
千葉ジェッツ 田口 成浩 55 3.6%
川崎ブレイブサンダース 藤井 祐眞 55 12.7%
京都ハンナリーズ ジュリアン・マブンガ 53 47.2%
川崎ブレイブサンダース 大塚 裕土 53 5.7%
アルバルク東京 須田 侑太郎 52 1.9%
横浜ビー・コルセアーズ ジェームズ・サザランド 52 9.6%
レバンガ北海道 中野 司 50 8%
琉球ゴールデンキングス デモン・ブルックス 50 14%
アルバルク東京 安藤 誓哉 48 47.9%
アルバルク東京 田中 大貴 48 27.1%
サンロッカーズ渋谷 杉浦 佑成 48 4.2%
滋賀レイクスターズ 齋藤 拓実 48 29.2%
秋田ノーザンハピネッツ 保岡 龍斗 48 35.4%
横浜ビー・コルセアーズ アキ・チェンバース 47 10.6%
川崎ブレイブサンダース 辻 直人 47 12.8%
シーホース三河 金丸 晃輔 46 10.9%
レバンガ北海道 多嶋 朝飛 44 9.1%
三遠ネオフェニックス 菅野 翔太 44 2.3%
宇都宮ブレックス 比江島 慎 43 2.3%
島根スサノオマジック 相馬 卓弥 43 11.6%
サンロッカーズ渋谷 関野 剛平 42 11.9%
宇都宮ブレックス 遠藤 祐亮 42 19%
滋賀レイクスターズ ヘンリー・ウォーカー 42 38.1%
秋田ノーザンハピネッツ ジャスティン・キーナン 40 2.5%
三遠ネオフェニックス 寺園 脩斗 39 25.6%
サンロッカーズ渋谷 石井 講祐 38 10.5%
シーホース三河 長野 誠史 38 15.8%
宇都宮ブレックス 喜多川 修平 38 2.6%
島根スサノオマジック 北川 弘 37 5.4%
新潟アルビレックスBB ラモント・ハミルトン 36 27.8%
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ 張本 天傑 36 2.8%
宇都宮ブレックス 鵤 誠司 35 8.6%
横浜ビー・コルセアーズ 生原 秀将 35 54.3%
滋賀レイクスターズ クレイグ・ブラッキンズ 35 2.9%
レバンガ北海道 マーキース・カミングス 34 38.2%
京都ハンナリーズ 中村 太地 34 11.8%
シーホース三河 熊谷 航 33 12.1%
レバンガ北海道 マーク・トラソリーニ 33 3%
滋賀レイクスターズ 佐藤 卓磨 33 9.1%
千葉ジェッツ 原 修太 33 3%
大阪エヴェッサ 合田 怜 33 12.1%

プルアップで良い確率のスリーが打てると、相手のピックアンドロールディフェンスにひとつ迷いを多く与えるという点では間違いなく有利だと思います。

その迷いからビッグマンのダイブが活きたりするので、まあ打てないよりは打てるようにありたいですね(当たり前ですが。)

ちなみにビッグマンと言えば、プルアップでスリーを打てている選手がいるということは、そのスペースを演出したスクリーナーの選手がいた可能性も高いです。

そういう意味での「アシスト」が発生していることは忘れないようにしたい所です。NBAにはスクリーンアシストなんていうスタッツもありますね。

ちなみに同じ図をB2について作成してみると、以下のようになりました。皆様のイメージと一致していますでしょうか。

f:id:rintaromasuda:20200229002502j:plain

各チームのアシストネットワークデータを公開しました

コロナウイルスの懸念によりBリーグのレギュラーシーズンゲーム延期が発表されました。残念ですが仕方のないことです。事態が早く収束し、予定通りシーズンが再開されることを願っています。

この期間を少しでも楽しく過ごすべく、先日Play By Playデータから作成した「誰が誰に何回アシストしたのか」というデータを公開することにしました。このデータを使ってブログ記事を書いてくれたりすると嬉しいです。

以下、データの取得方法です。

B1

ただブラウザでデータをみたい方はこちらをどうぞ。
https://github.com/rintaromasuda/bleaguebydata/blob/master/blog/2020022601/b1_assist_to_from_20200226.csv

CSVファイルとして取得したい方はこちらをどうぞ。
https://raw.githubusercontent.com/rintaromasuda/bleaguebydata/master/blog/2020022601/b1_assist_to_from_20200226.csv

B2

ただブラウザでデータをみたい方はこちらをどうぞ。
https://github.com/rintaromasuda/bleaguebydata/blob/master/blog/2020022601/b2_assist_to_from_20200226.csv

CSVファイルとして取得したい方はこちらをどうぞ。
https://raw.githubusercontent.com/rintaromasuda/bleaguebydata/master/blog/2020022601/b2_assist_to_from_20200226.csv

こちらのデータはあくまで私が元データを加工し作ったものですので、値などに間違いがある可能性は否定できません。ご了承下さい。

また、一部に文字化けがあったのですが、使用を妨げるレベルのものではなかったため、そのままにしております。

私はちなみにこのデータを使って以下のようにカッコよくアシストネットワーク図を作ろうと計画しているのですが、まだまだかなり時間が必要そうです(もしかするとオフシーズンの宿題になるかも。)

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延期期間も楽しく過ごしましょう!