データとバスケ」カテゴリーアーカイブ

アシスト"された"数リーダーはどの選手なのか調べてみた

今シーズンB1第23節(39試合)までのPlay By Playデータを解析し、誰が誰にアシストをしているのかを調べてみました。

この記事ではその情報を使い「アシストされた数」の総数と1試合平均について、今シーズンのトップ10を出してみたいと思います。

その前に完全に余談ですが、NBAを見始めた中学生の頃、当時のユタ・ジャズの名コンビ、ジョン・ストックトンとカール・マローンのファンでした。ストックトンのアシストも、マローンのフィニッシュも、どちらもとても素晴らしいものでした。

アシストって得点が決まらないと付きませんし、得点も良いアシストが来ることで決めやすくなりますし、そういう持ちつ持たれつの関係がとても好きです。

アシストされた数トップ10(総数)

チーム 選手 回数
川崎ブレイブサンダース ニック・ファジーカス 290
島根スサノオマジック ブライアン・クウェリ 250
京都ハンナリーズ デイヴィッド・サイモン 225
新潟アルビレックスBB ニック・パーキンズ 219
アルバルク東京 アレックス・カーク 217
大阪エヴェッサ ジョシュ・ハレルソン 216
千葉ジェッツ マイケル・パーカー 172
宇都宮ブレックス ライアン・ロシター 172
川崎ブレイブサンダース ジョーダン・ヒース 171
サンロッカーズ渋谷 ライアン・ケリー 167

何となく予想のついていた方も多いかと思いますが、2位以下をかなり離してファジーカスがトップですね。

確かにファジーカスは(例えば三河のガードナーのように)1 on 1の個人技から得点を取るようなタイプではなく、チームのボールの流れの中で得点を取ることに長けている選手です。この結果にファジーカスと川崎のチームの在り方が表れているように思います。

2位のくクウェリは意外でした。と言うのもクウェリは得点王争いに顔を出すような選手ではなく、今シーズンここまでの平均得点は20点を下回っています。ここから察するにクウェリの総得点において「アシスト付き得点」の割合はかなり高いと思われます。

この「アシスト付き得点」の割合については別の記事でネタにする予定です。

アシストされた数トップ10(1試合平均)

チーム 選手 試合数 平均
川崎ブレイブサンダース ニック・ファジーカス 39 7.435897
島根スサノオマジック ブライアン・クウェリ 36 6.944444
富山グラウジーズ ジョシュア・スミス 4 6.750000
京都ハンナリーズ デイヴィッド・サイモン 34 6.617647
サンロッカーズ渋谷 ライアン・ケリー 27 6.185185
大阪エヴェッサ ジョシュ・ハレルソン 35 6.171429
アルバルク東京 アレックス・カーク 36 6.027778
サンロッカーズ渋谷 セバスチャン・サイズ 25 6.000000
レバンガ北海道 マーク・トラソリーニ 19 6.000000
新潟アルビレックスBB ニック・パーキンズ 37 5.918919

平均にしても1位、2位に変化はありませんでした。4試合で残念にも怪我による離脱をしてしまった富山のスミス、外国籍選手のローテーションが頻繁な渋谷のケリーやサイズなどの名前が目立ちます。

京都のサイモンは相棒のマブンガから桁違いのアシストを受けていて、おそらくBリーグ最強のホットラインがこの2人なのではないかと思っているですが、この最強ホットラインを調べるのも別の記事のネタにしようと思っています。

最後になりますが、アシストの受け手が誰なのかって結構普通の情報だと思うので、Bリーグさんのスタッツシステムで簡単に取得できるようになると嬉しいですね。

少なくてもNBAのPlay by Playのデータでは、アシストの情報はシュートの情報に紐づいて記録されています(とか書き出すと出羽守かよってなっちゃいますけど…)

NBA/Gリーグに挑戦する日本人3選手の結果ツイートを始めてみた

NBAやその育成/下部組織に挑戦中の八村塁、渡邉雄太、馬場雄大の試合結果ツイートを始めてみました。

せっかく最近NBAのデータAPIについて学んだので、それを用いて内容と画像を自動生成しています。ちなみに同APIはGリーグについても使用可能です。

これからも必要に応じて情報や画像を追加していくつもりですが、現状はこんな感じです。これが八村塁。

これが渡邉雄太。グリズリーズにて出場の場合はそちらを対象にします。

こちらが馬場雄大です。

得点や出場時間など、簡単なスタッツは各種メディアさんの記事を読んでも分かりますが、どのような時間帯に起用されたのかという情報はなかなか文字情報からは掴みにくいので、あくまで個人的にはですが、このチャートは重宝しております。

NBAもオールスターが終わり、いよいよ後半戦に差し掛かってきましたね。3選手それぞれの状況がありますが、日本人4人目のNBA選手は誕生するのか、日本人初のプレーオフにおけるプレーはあるのか。これからも楽しみに追いかけたいと思います。

佐々木クリスさんと作ったNBAデータツールの取得方法と使用方法

こんにちは。以下の記事で紹介されているNBAデータツールの取得方法と使用法を説明したいと思います。

なお、この記事とツールの対象者として

  • 普通にこのツールを使ってみたい方
  • このツールと似たようなツールを作ってみたい方

を想定しています。後者向けの情報は、記事の最下部にあります。

説明の前に余談ですが、引用の記事にもあるように、佐々木クリスさんはNBAの解説の仕事の為、日々かなりのデータを収集されているそうです。シーズン中は日々データが変化していくので常にそれを追いかけなければならず、それだけでかなりの仕事量だそうです。

クリスさんがあれだけ解説で色々と話せるのはそうした下準備かあるからなのだなと、古舘伊知郎さんの実況の下準備の話を思い出したりしながら妙に納得しました。そしてクリスさんの仕事の一部分がこのブログで遊んでいた事の応用で自動化できそうだったので、ツール化してみたという次第です。

ちなみにこのツールというのは、有り体に言ってしまうとNBAデータ取得機能のついたExcelシートです。では以下、ツールの説明です。

注意事項

  • 一部例外を除き、すべてのデータはNBAスタッツのサイトで確認できるものです。特別なものはないです。
  • ツールに表示されるデータは、レギュラーシーズンのみ対象にしています。
  • NBA側の仕様変更などにより、ツールがある日突然に動かなくなる可能性はあります。その場合、できる限りバージョンアップで対応します。実はツール作成中に何度か仕様変更が起きており、今後も変更の対応が必要になる可能性が高いです。
  • 不具合も無理ない程度にバージョンアップで対応予定です。無理ない程度に。発見したら教えて下さい。
  • 各スタッツ項目が何を意味するか説明はここではしません。ちなみにNBAのサイトにも説明がなかったりします…
  • ある程度新しいExcelであればWindows版でもMac版でも動くはずですが、詳細な動作確認は行っておりません。
  • NBAはAmazonのAWSやMicrosoftのAzureなどからのアクセスをブロックしており、それらを含むクラウドサービスで動くマシンではこのツールは使えないはずです。

取得方法

  1. 私のGitHubリポジトリにアクセスする(ちなみに執筆時点でこのツールの最新バージョンはv1.3です。)
  2. 画面にある”Download” をクリックしてダウンロードする。完了したらファイルを開く。
  3. 以下のようなメッセージが表示されると思うので、有効にする。

    f:id:rintaromasuda:20200206223118j:plain
    f:id:rintaromasuda:20200206224103j:plain

  4. 以上で取得は完了です。

使用方法

  1. “Controller” という名前のシートがあるので開く。

    f:id:rintaromasuda:20200206224336j:plain

  2. 対象チームを選択するための黄色い選択ボックスがあるので、チームを選択する。

    f:id:rintaromasuda:20200206224617j:plain

  3. (これをするとデータ取得が始まります)下の”Update All Seasons” ボタンをクリックする

  4. データ取得に~3分くらいかかると思うので、待つ。
  5. Congratulations! と表示され、”View” というシートが自動的に開いたら完了です。

f:id:rintaromasuda:20200206225604j:plain

Viewには以下のような情報が表示されているはずです。これはアトランタ・ホークスの例ですが、左の赤枠の部分に昨シーズンのデータが、右の青枠の部分に今シーズンのここまでのデータが表示されています。

f:id:rintaromasuda:20200206225651j:plain

各スタッツの項目は実際の値と、そしてその値が全チーム中で何番目なのかという情報が得られます。例えばホークスの昨シーズンのFG%が45.1%だったのはリーグ21位、今シーズンの44.7%はリーグ23位という事を表しています。

ちなみに一番上の”Season”の順位はカンファレンス内の順位なので、この項目だけは15チーム中の順位です。

この画面に収まりきっていませんが、ずらずらとクリスさんが特に注目しているというスタッツ(の一部)が並んでいますので、観戦のお供にしてみて下さい。ちなみに昨シーズンのデータは変化しないので、2回目以降は”Update Current Season Only” ボタンで今シーズンのデータのみ更新の方がお得です。

アクセスエラーについて

このツールの作成上で一番面倒だったのがこれなのですが、NBAの方でアクセス負荷を軽減する仕組みが入っており、ときおりアクセスがブロックされることがあります。確かではないですが、連続で何度もアクセスしているとブロックされやすいように思います。

これはNBA側の事情なので如何ともしがたいところです。ツールではこのブロックが起きると以下のメッセージが出るようになっています。”OK” をクリックすると再度アクセスにチャレンジします。

f:id:rintaromasuda:20200206231325j:plain

しかし何度かアクセスにチャレンジしてもダメだった場合にはエラーとなるようにしていますので、その場合にはお手数ですが時間をおいて再度試してみてください。あまりスマートな感じではありませんが、現時点ではそれが最善の手です。

プログラマ向け情報

以降はこのツールの中身についてです。

このツールは以下のライブラリを土台にして作っています。具体的にはHTTPリクエストとレスポンスの扱いと、JSONのパースに使用しています。

MSXMLなどに依存せず動くので、WindowsでもMacでも気にせず使える素晴らしいライブラリです。この様なものが無料で提供されている事には感謝しかありません。私のツールはこのライブラリを使ってNBAのAPIにアクセス、結果として返ってきたJSONをパースし、必要な情報を抜き出しています。

私がVBAを触ったのはこれが生まれて初めてです。正直クソコードな部分もいくつかあって恥ずかしいのですが、似たようなツールをExcel/VBAで作る際には、多少は参考になるかもしれませんので、そんなときはコードを覗いて見てください。通常のVBA開発と同じように、”開発” タブを表示し”Visual Basic”に進めば中身を見ることが出来ます。

ちなみに新しい言語などを始めるときは必ずいくつか書籍を購入するのですが、今回は以下のものを購入し参考にしました。別にこれがおすすめだという意味ではないのですが、クレジットのため記載しておきます。

Excel VBA 本格入門 ~日常業務の自動化からアプリケーション開発まで~

Excel VBA 本格入門 ~日常業務の自動化からアプリケーション開発まで~

  • 作者:大村 あつし
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2015/05/16
  • メディア: 大型本

NBAのAPIについては公式の詳しい情報は知る限り存在しないのですが、下記のサイトにパラメータの指定や返されるJSONのスキーマなどがある程度まとまっています。あとはトライ&エラーで学びました。

私が以前にNBAのAPIで遊んだときの記事も参考になるかもしれません。


あとは本当に問題が見つかる度に、”NBA API access problem”などで検索することで解決策を都度見つけてました。上述のツール開発中のNBA側の仕様変更の際には、Twitterで同じ問題で騒いでいる人を見つけて助けてもらったりしておりました(笑)

最後に余談ですが、NBAが今後このAPIに関してどのようなビジョンを持っているのか、いまいちよく分かりません。あまり積極的にこれを広めようという意思を感じないのは確かなのですが、結構遊べるので、なるべく変な制限をかけないでサポートを続けて欲しい所です。

「河村勇輝エフェクト」でBリーグに新たなファンが流入しているかもしれない

三遠ネオフェニックスに入団した特別指定選手の河村勇輝がとにかく話題です。

鈴木達也をコンディション不良で欠いていることもあり、三遠は河村のデビューわずか3戦目からスターターで起用。まだチームの勝利には繋がっていないものの、そのプレーでバスケファンを早速騒がせています。

その活躍はコート内に収まりません。下のツイートであきさんが分析してくれているように、同チームのフォロワーや観客動員数に大きな影響を与えている様子がうかがえます。

直近のゲームでは、アウェイの動員数に影響を与えることで有名な宇都宮ブレックスが相手だったことも手伝って、クラブの最多来場者数を更新したようです。

しかし河村エフェクトの勢いは三遠のフォロワー数や、観客動員数に影響を与えるだけに留まらないようです。

下はここ数ヵ月のBリーグ公式SNSアカウントのフォロワー数の増加数ですが、この2020年1月で大きく伸ばしているのが分かると思います

f:id:rintaromasuda:20200202232402j:plain

念のため1月を日ごとに見てみると、河村勇輝の入団会見のあった1月24日、そしてデビュー戦となった1月25日の千葉ジェッツ戦あたりから一気にBリーグのフォロワー数が伸びていることが分かります。

f:id:rintaromasuda:20200202230413j:plain

(ちなみに1月18日はオールスターゲームのあった日です。こういうタイミングで伸びているのも嬉しいことですね。)

日本のバスケファンと言っても、Bリーグファン、Wリーグファン、NBAファン、大学バスケや高校バスケのファン、その他もろもろ、様々なカテゴリ別にそれぞれのファンがいると思います。もちろん横断的なバスケファンという方もいらっしゃると思います。

今回の河村のように、別のカテゴリのスター選手がBリーグに参加することにより、Bリーグに新しい層が流れ込んできていると思われます。Bリーグとその界隈はこのチャンスを逃すことなく、河村をきっかけにBリーグを観てくれた、興味を持ってくれた方を繋ぐための施策を素早く打ちたい所です

Bリーグを観るのは初めてでも、バスケットボール自体は観たことのある方、少なくても河村のバスケを観てきた方は多いと思うので、そういった人に響くような、そんなコンテンツをタイムリーに用意できると素晴らしいのではないでしょうか。

個人的には今回の河村エフェクトにはかなり驚いております。

昨夏には男子日本代表がW杯に出場、その中でアメリカ代表と激突、代表の数試合は地上波で放送されるという大きなイベントがありました。

それにも関わらず、あまりBリーグのフォロワー数に好影響はなかったように思えたからです。

そんな中でこの河村の登場のインパクトたるや。

報道ではBリーグで3か月ほどプレーした後に東海大学での活動に参加ということですから、リーグとしてはまずその期間を最大限に活かすべく、Bリーグの魅力をもっと伝えるようにしたいですね。

三遠ネオフェニックスにも、対戦相手となる他のクラブにも、知ってもらいたい素晴らしい選手はたくさんいますから。

コービーがミドルレンジから放った10,771本のシュート

NBAのスタッツサイトによると、コービー・ブライアントはキャリアを通して26,200本のFGAをレギュラーシーズンで、4499本のFGAをプレーオフにて記録しています。

NBAのAPIを使ってデータを取得してみると、なぜかレギュラーシーズンの方は2本少ない26,198本のFGAが見つかるのですが、いずれにせよ1本1本の細かい情報まで取得できます。

コービーと言えばミドルレンジからのジャンパーの印象が強いです。実際、レギュラーシーズンに放ったFGAの1万本以上がミドルレンジからのシュートでした。4割以上のシュートがミドルレンジからだったことになります。

f:id:rintaromasuda:20200128061632j:plain

コービーのNBA初FGAは1996年11月3日の対ミネソタ・ティンバーウルブズ戦、1Q残り42秒、リングから18フィートの距離から打ったミドルジャンパーだったようです。映像で確認すると、これはどうやらエアボールに終わったようですね。

Kobe Bryant Week: Kobe makes his NBA debut in 1996!

コービーのキャリア最後のFGAもミドルジャンパーでした。そしてこちらは決めました。ご存じの通り2016年4月13日の引退試合ユタ・ジャズ戦。60点を取ったゲーム。右のショルダーくらいからの24フィートの距離のジャンパーでした。4Q残り31秒のシーン。

Kobe Bryant’s Last Shot of his Career

エアボールのミドルジャンパーで始まったコービーのNBA、それは60点取った引退試合のミドルジャンパーで幕を閉じました。コービー・ブライアントはその間にレギュラーシーズンのみで1万本以上のFGAをミドルレンジから記録しました。

そんなコービー・ブライアントの軌跡は、我々の記憶にも、そしてNBAのデータベースにも残り続けます。

そう言えばデータ分析サイトのKaggleでも、コービーのFGAを題材に以下のようなコンペが作られたりもしました。またこんな企画も面白いかもしれませね。

彼が残してくれたもの、それはいつまでもいつまでも様々な形で輝きを放ち続けることでしょう。

馬場雄大はGリーグで順調にプレータイムを伸ばしている

タイトルの通りですが、テキサス・レジェンズにてGリーグ、先はNBAに挑戦中の馬場雄大、順調にプレータイムを伸ばしているようです。最近では自己最長を更新する28分出場というゲームもありました。

ここまでのプレータイムと得点の推移を見てみると、以下のようになります。赤線が表すプレータイム(分)が順調に右肩上がりであることが分かります。

f:id:rintaromasuda:20200113121056j:plain

ここまでは、チームの信頼を勝ち取った証である、そしてマーベリックスを含むすべてのNBAチームにアピールする為に重要であるプレータイムに最注目していました。

20分以上のプレータイムがコンスタントに獲得できれば十分だと思うので、ここからは他のスタッツでも存在感を見せていけるとなお素晴らしいですね。

なお馬場雄大以外の選手は全く知らないのですが、レジェンズのチームメイトのプレータイムを見てみると以下のようになっています。

f:id:rintaromasuda:20200113121114j:plain

マーベリックスの不調を望むわけでは決してないのですが、同チームがプレーオフ進出を逃すとすれば、今シーズンの後半にでも10日間契約等でNBAのコートに立つ可能性はあるんじゃないかと思っております。

そうなるとBリーグ出身の選手が初めてNBAのコートに立つことになり、また大きなニュースとなりそうです。

改めてサンロッカーズ渋谷の全員バスケに注目したい

令和最初の天皇杯・皇后杯はそれぞれサンロッカーズ渋谷、JX-ENEOSの優勝で幕を閉じました。見応えのあるゲームが続き、ひとりのバスケファンとして非常に楽しめた大会となりました。次は現地観戦したいです。

さて既に様々に語られている話ではありますが、今季のサンロッカーズ渋谷のバスケのスタイル、とても特徴がありますね。交代を多用し、ベンチに座る全てのメンバーを活かすことにより、強度の高いディフェンスを40分間継続、相手チームに強いプレッシャーを与え続けています。

ここ直近4試合のゲームの起用を見てみましょう。ちなみに青く囲んであるのは、天皇杯でも飛び出しました伊佐HCによる5人フルメンバーチェンジです。

f:id:rintaromasuda:20200113232223j:plain

f:id:rintaromasuda:20200113232246j:plain

f:id:rintaromasuda:20200113232258j:plain

f:id:rintaromasuda:20200113232318j:plain

サンロッカーズ渋谷の交代頻度の高さは、相手チームである名古屋ダイヤモンドドルフィンズと横浜ビー・コルセアーズのそれと比べてみると一目瞭然ではないかと思います。フルメンバーチェンジもこの4試合で3回も飛び出していますね。

今季ここまでのベンチメンバーの出場時間割合、つまりベンチメンバーの出場時間の合計を全選手の出場時間の合計で割ったもの、を各チームで比べてみると、やはり中央値ベースで渋谷がトップになっています。

f:id:rintaromasuda:20200113233257j:plain

タイムシェアはもちろん手段に過ぎず、最終的には勝利することが目的です。しかしBリーグ特有の土日連戦を多く含んだ60試合のリーグ戦を安定して戦い抜くため、多くの選手に成長機会を与えるため、個人的には非常に有効な手段ではないかと感じています。

サンロッカーズ渋谷の天皇杯優勝、そしてこのまま同チームがリーグ戦やチャンピオンシップで好成績を残すような展開になれば、今季の渋谷のバスケは今後のBリーグの選手起用、並びにそれを達成する為の選手獲得にある程度の影響を与えるのでは、と推測しています。

言い過ぎかもしれませんが、ブースターさんのいわゆる推しが試合に起用されなかったというケースも少なくなるため、ビジネス的にもいい影響があったりするのではないでしょうか。やはりファンとしてはコートに立っている姿こそ一番見たいものでしょう。

いずれにせよ、サンロッカーズ渋谷、JX-ENEOSをはじめ、素晴らしいゲームを見せてくれた選手と関係者の皆様、どうもありがとうございました。天皇杯・皇后杯お疲れ様でした。

bleaguer環境がDockerで簡単に構築できるようになりました

このブログで行っているほとんどの分析は、bleaguer(Bリーグアール)という自前のR用のパッケージを用いて行っております。このパッケージは公開しているのでどなたでも利用可能です。

このbleaguerを使う為の環境構築を、Dockerで簡単に行えるようにしてみました。Dockerというのは小さな仮想環境のようなものを作るためのソフトウェアです。

Dockerによる環境構築のメリット

Dockerを使うと環境構築が簡単になるだけではなく、

  • 仮想環境にゼロから構築するのでユーザーのPCの状態などに左右され辛く、想定外の問題が起きにくい
  • 要らなくなったら仮想環境をDockerから消せばよいだけで、ユーザーのPCの環境が汚れない

といったメリットもあります。とても便利です。

Dockerについては数多の情報があるのでここでは解説しませんが、WindowsやMacなどのプラットフォームに関わらず利用できますので、インストール方法を調べてみて下さい。

環境構築の手順

Dockerをインストールしましたら、以下の手順でbleaguerの環境が構築できます。

  1. コマンドラインにて以下を入力。これで環境に必要なイメージがダウンロードされます。数分の時間がかかります。


    docker pull rintaromasuda/bleaguer-user

  2. 続けて以下を入力。これで環境(ちなみに”コンテナー”と呼ぶ)が開始されます。yourpasswordの部分は適当に各自で決めて下さい。


    docker run -d -e PASSWORD=yourpassword -p 8787:8787 rintaromasuda/bleaguer-user

  3. お使いのブラウザで以下のアドレスにアクセスして下さい。RStudioのログイン画面が出るはずです。


    localhost:8787

  4. Usernameは「rstudio」、Passwordは先ほど決めたパスワードを入力してください。

これで完了です。ブラウザの中にこんな画面が見えているはずです。

f:id:rintaromasuda:20200109232022p:plain

samples.Rというのは私が作ったサンプルコードで、bleaguerの使用方法のとっかかりを掴んでもらう為に作ったものです。クリックするとコードが表示されるので、よろしかったらコードを1行ずつCtrl + ENTERで実行してみて下さい。

RStudioの使い方もここでは説明しませんが、実行に応じて結果が画面下部のコンソール部分か、もしくは実行がグラフの描画の場合は結果が右下の画像表示部分に表示されるはずです。

サンプルコードの実行の為に必要なものはすべてDockerによって準備されているので、即座にすべて実行できるはずです。

以上です。

参照

「〇〇タイム」は本当にあるのか。2018-19シーズンのベストクラッチプレーヤーを調べてみた。

今さら2018-19シーズンの話題で恐縮ですが、同シーズンのクラッチタイムに活躍した選手たちを調べてみました。

ゲームがどちらに転ぶか分からない終盤の緊張感、バスケ観戦の最高の醍醐味ですよね。そんなときにボールを任されるのがクラッチプレーヤーであり、そんなプレーヤーこそがチームのエースと呼ばれるに相応しいでしょう。

ここではクラッチタイムを以下のように定義しました。ちなみにNBAでもクラッチタイムの基本的な定義は同様のはずです。

  • 4Qの残り5分以降(延長戦までもつれれば延長戦も含む)
    かつ
  • 得点差が5点差以内

ふたつ目の条件ですが、7点差を5点差につめるシュートはクラッチタイムのプレーではなく、逆に5点差を7点差に拡げるシュートはクラッチタイムのプレーです。そういうイメージです。もちろん5点差を3点差につめるシュートもクラッチタイムのプレーです。

ふたつ目の条件により、毎試合に必ずクラッチタイムがあるとは限りません。大きく点差が開いてしまった場合、クラッチタイムなく試合が終わることになります。

では見てみましょう。以下はBリーグ公式ページのPlay by Playのデータから、上述の条件で抽出したクラッチタイムのプレーを抜き出し、そこから累計の得点順にベスト20の選手を並べたものです。

チーム 選手 得点 試合数 (*1) FGM FGA FTM FTA FGA / Team FGA (*2)
新潟 ダバンテ・ガードナー 108 27 34 57 40 47 35.2%
京都 デイヴィッド・サイモン 104 34 44 79 15 27 31.1%
京都 ジュリアンマブンガ 97 34 28 67 34 45 26.4%
横浜 川村卓也 91 32 28 64 24 27 33.2%
栃木 ライアンロシター 86 28 31 73 14 25 30.3%
SR渋谷 ライアン・ケリー 81 33 24 59 31 42 29.9%
SR渋谷 ロバート・サクレ 75 29 22 51 31 36 25.9%
富山 レオ・ライオンズ 73 23 22 46 27 30 30.1%
栃木 ジェフギブス 69 26 19 40 31 34 16.6%
富山 ジョシュア・スミス 68 21 22 36 24 36 23.5%
川崎 ニックファジーカス 66 29 26 52 11 12 26.8%
名古屋D マーキース・カミングス 64 13 20 38 20 31 22.1%
秋田 ジャスティン・キーナン 58 22 12 34 33 44 28.6%
滋賀 ガニ・ラワル 58 20 26 47 6 13 22.2%
SR渋谷 ベンドラメ礼生 54 32 20 39 7 11 19.8%
富山 宇都直輝 53 20 14 35 24 32 22.9%
三遠 ウィリアム・マクドナルド 53 19 20 34 13 17 29.1%
京都 岡田優介 53 30 13 29 17 21 11.4%
琉球 ジェフ・エアーズ 51 19 16 30 15 17 15.3%
川崎 バーノン・マクリン 50 25 21 29 8 21 14.9%

※1 試合数はクラッチタイムにその選手の出場が確認できた試合数です。クラッチタイムに出場していても、スタッツに残るプレーを一切しなかった場合、カウントされていません。

※2 FGA over Team FGAはクラッチタイムに所属するチームが打ったFGAの内、何%がその選手のFGAだったのかを表しています。

1位は言わなくても分かっていましたよねガードナーです。ただ特筆すべきはフリースローです。クラッチタイム中に47本のフリースローを得て、その内40本を決めています。Bリーグファンにはお馴染みの光景ですが、こうしてみるとやはりすごいです。

サイモンとマブンガのコンビが次点ですが、実は2018-19シーズンのB1で一番クラッチタイムがあった試合数が多かったのが京都ハンナリーズでした。よってこの両エースのクラッチタイムにおける得点が伸びています。18位には岡田優介の名もあります。

日本人トップはやはりこの人、川村卓也でしたね。幾度となくクラッチタイムでチームを救ってきたプレーヤーですが、やはりそれはスタッツにも表れているようです。あとカミングスは13試合しかクラッチタイムに出場していないのにランクインしてます。すごい。

B2はこんな結果になりました。

チーム 選手 得点 試合数 (*1) FGM FGA FTM FTA FGA / Team FGA (*2)
金沢 デンゼル・ボウルズ 91 30 34 58 23 29 29%
群馬 トーマスケネディ 90 20 31 69 20 22 36.1%
香川 テレンス・ウッドベリー 87 25 30 57 20 24 33.9%
西宮 谷直樹 78 27 22 43 23 26 21.6%
広島 ジャマリ・トレイラー 78 26 21 43 35 46 21.5%
愛媛 アンドリュー・フィッツジェラルド 78 23 24 55 30 39 30.7%
FE名古屋 ギャレット・スタツ 76 24 28 49 19 28 21.6%
FE名古屋 ジョシュ・ホーキンソン 74 30 21 45 30 37 19.8%
広島 朝山正悟 72 26 22 61 17 27 30.5%
信州 石川海斗 69 22 23 54 13 19 30.5%
青森 カレン・ルッソ 58 20 19 52 15 25 33.8%
信州 ウェイン・マーシャル 58 18 15 27 26 35 15.3%
西宮 ブラッドリー・ウォルドー 56 18 18 28 20 30 14.1%
熊本 古野拓巳 56 23 15 35 18 20 21.3%
熊本 チェハーレス・タプスコット 55 22 18 31 17 22 18.9%
金沢 ライアン・リード 55 30 23 45 7 13 22.5%
西宮 ドゥレイロン・バーンズ 54 27 18 46 9 12 23.1%
仙台 ダニエルミラー 53 26 20 27 13 16 19.6%
仙台 ジェロウム・ティルマン 52 17 15 30 19 22 21.7%
山形 ウィル・ヘンリー 47 14 17 33 12 18 19.1%

日本人トップは西宮ストークスの谷直樹でした。西宮のクラッチタイムにおけるシュートの20%以上を任されるエースですね。日本人では他には広島のベテラン朝山、現在は熊本の石川、そして現在は広島に移った古野など、おなじみのメンツもいます。

1位のケネディはガードナーと傾向が似ている感じがしますね。チームのシュートの35%以上を託され、フリースローをもらって確実にそれを決めきる。頼れる得点王というのはそういう存在なのかもしれません。

さて、2019-20シーズンはどんなクラッチタイムのプレーが飛び出すでしょうか。ヒリヒリしたあの緊張感。たまらないですよね。

直近2シーズンでファウル数は減っている。B1よりB2の方がファウルが多い。

すごく小ネタです。TwitterのTLでファウル数が話題になっていたので。

Bリーグの最初の2シーズンとその後の2シーズンを比べると、1試合で起こるファウルの数は減少しているようです。

2018-19シーズンよりアンスポ絡みのFIBAルールの改定を受けて所謂「ファウルゲーム」が出来ない、というかやりづらくなったかと思いますが、そのせいなのか、外国籍選手起用のレギュレーション変更のせいなのか、もしくはその両方でしょうか。

下は1試合当たりのファウル数(両チームの合計)を試合時間(分)で割ったものです。延長戦も考慮に入っています。

f:id:rintaromasuda:20191201232837j:plain

1分当たり0.92回ほどだったのが、0.85回くらいまで減っていますね。1試合だと2〜3回くらい減っている計算になるので、結構な減少だと思います。

あと豆知識ではありますが、どうもコンスタントにB2の方がファウル数は多いみたいですね。これにはあまり上手い説明は思いつきません。どなたか詳しい人がいたら教えてください。

以上、小ネタでした。