書評「Basketball Lab 日本のバスケットボールの未来。」(バスケットボール・ラボ編集部)

まさに最高のタイミングでの出版となったのではないでしょうか?

Basketball Lab 日本のバスケットボールの未来。

Basketball Lab 日本のバスケットボールの未来。

  • 作者: バスケットボール・ラボ編集部
  • 出版社/メーカー: 東邦出版
  • 発売日: 2019/09/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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NBAドラフト1巡目9位で指名された八村を含む、「史上最強」の男子バスケ日本代表のワールドカップ挑戦は連日大きく報道されました。ニュースで日常的に流れる代表選手陣の映像に、個人的にどこか違和感を覚えたくらいです。

そんな注目のさなかに発売されたのが本書です。ただ売れ行きの面で最高のタイミングだと言っているわけではなく、今回日本代表が経験したワールドカップ、世界の壁、到底満足のできない結果、それを踏まえて今一度バスケットを見直す為に必要なコンテンツだと思いました。

本書をひと言で表現すると「非常に濃い」です。インタビューを通し、選手、ヘッドコーチ、トレーナー、アナリストなどバスケットボールに関わる方々の思考を炙り出すかのような内容になっています。

特にルカさん、大野さん、佐々さん、安齋さん、そしてWリーグ三菱コアラーズの古賀さんのヘッドコーチ陣のインタビューは圧巻でした。彼らが日々どのようなことを考えながらチームを作っているのか、その考え方の一端に触れることができると思います。各HCが共通して「信頼関係」や「コミュニケーション」などのキーワードに触れていたのも興味深いです。

ルカHCのPick & Rollに関する洞察は流石で、Bリーグの外国籍選手の状況について述べた部分は、このブログ冒頭で述べた「ワールドカップでの結果」に対する今後のBリーグのアクションを考える上で大きく参考になるのではないでしょうか。

また本書を通して「パス技術」がテーマになっているのですが、これもやはり先のワールドカップでの試合内容を踏まえ、大きな示唆を与えてくれるテーマだと思います。強豪国のパスの正確さ、強さ、そしてクリエイティビティには個人的に関心しっぱなしでした。

パス技術は出し手の技術、受け手の技術、チームのスペーシングなど、多岐に渡り考察が必要な分野です。それを選手、コーチ、トレーナー、アナリストがそれぞれの視点から語る本書は、まさに今のバスケ界に必要な情報を提供してくれているのではないでしょうか。

余談になりますが、いつも仲良くさせて頂いている方々も本書の制作に協力しております。まだの方は是非ご覧になってみてください。

東邦出版さんはバスケの書籍に関して、非常に攻めた内容を提供してくれていますね。以前に読んだこちらもとても面白かったです。今後ともどんどん攻めた内容のバスケ書籍の登場を期待しています!

ワールドカップはBリーグの呼び水となったのか?

日本代表のワールドカップが終わりましたね。結果は到底満足のいくものではなかったと思いますが、ここから選手、スタッフ、そして日本のバスケットボールに関わる全ての方が、何か大きなものを持ち帰ってくれることを一ファンとして期待しています。

さて結果は伴いませんでしたが、日本のバスケットボールに注目を集めるという意味では大きな成功を収めたのではないでしょうか。先に行われたニュージーランド、アルゼンチン、チュニジアとの親善試合では計5万人以上も動員があったそうです。報道もとても活発でした。

さてそんな注目を集めたワールドカップにおける代表活動ですが、Bリーグへの呼び水としての効果はどの程度あったのでしょうか?いくら八村や渡邉が最注目だったとは言え、他の選手は全員がBリーグ所属です。多少なりともBリーグに注目が集まってもいいと思うのですが、どうだったでしょうか?

以下の図は日ごとにBリーグの公式SNSアカウントが日ごとにどれだけフォロワー数を増やしたのかを表したものです。ちなみに親善試合とワールドカップの日程をおさらいしておきますと、

  • 8/12 ニュージーランド戦
  • 8/22 アルゼンチン戦
  • 8/24 ドイツ戦
  • 9/1 トルコ戦
  • 9/3 チェコ戦
  • 9/5 アメリカ戦
  • 9/7 ニュージーランド戦
  • 9/9 モンテネグロ戦

というスケジュールでした。さあ見てみましょう。

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まず一番伸ばしたのはドイツ戦だったようですね。やはりお昼のいい時間帯に地上波での放送というのが大きかったと思われます。またドイツに勝利したことが大きく報道されたことも影響してか、次の日もかなり伸ばしたようです。

二番手はこれも地上波で放送されたアメリカ戦だったようです。ただこれは個人的には意外なほど効果が低いと思いました。NBA選手軍団との対決だったこともあり、今までNBAのみ観ていた層からも流入があるかと思っていたのですが、そこまで伸ばせなかったようです。

全体的な感想を言ってしまうと、代表戦はそこまで呼び水にならなかったのかなというのが正直なところです。私はテレビで観ていただけですが、あまりワールドカップに併せてBリーグを宣伝するような取り組みもなかったように思えたので、当然の結果なのかもしれません。

もしくはあれだけ報道があっても、やはり今までバスケに興味がなかった人を開拓するというのは難しいのかもしれません。逆を言えば、代表活動に注目していた人は、ほとんど皆さんBリーグ等は既にご存じの方ばかりだったのかもしれません。

いずれにせよワールドカップは終わり、ここからはBリーグがいよいよシーズンに入ってきます。この値はモニターし続けようと思いますので、シーズンを通してBリーグが新たな顧客をどう獲得していくのか、引き続き見ていこうと思います。

あ、そう言えば私個人はまだ経験していないのですが、チケットのシステムが結構問題になってしまっているみたいですね。既存のファンは何とかやりくりしてくれるでしょうけれど、この手の問題は新規顧客獲得には打撃が大きそうです。速やかに改善されると良いのですが。

最後になりますが、ワールドカップとても楽しかったです。

連続スリーポイント成功回数も調べてみた

前回の記事の続きで今度はスリーポイントの連続成功回数を調べてみたいと思います。

シューターが乗りに乗っているときの盛り上がりはすごいものがありますよね。入りだしたら止まらないというのはシューターに付けられる枕詞の最たるものですが、果たして2018-19シーズンに最も入りだしたら止まらなかったのはどの選手でしょうか。

前回の記事と同じですが、各選手の最高連続成功回数を求めてトップ20を抽出してみました。

こちらです!

名前 スリー連続成功回数
狩野祐介 10
篠山竜青 9
安藤誓哉 6
田口成浩 6
片岡大晴 6
晴山ケビン 6
橋本竜馬 6
金丸晃輔 6
安藤周人 6
ジェームズ・サザランド 6
ヘンリー・ウォーカー 6
ベンドラメ礼生 5
大塚裕土 5
アイラブラウン 5
内海慎吾 5
谷口光貴 5
橋本晃佑 5
遠藤祐亮 5
熊谷尚也 5
渡邉裕規 5

1位は滋賀レイクスターズのエースシューター狩野祐介でした。調べたところ2019/3/10の対秋田ノーザンハピネッツ戦で最後の5本を連続成功、次の3/13の対琉球ゴールデンキングス戦で最初の5本を連続成功させたようです。

2位はおそらくW杯で日本代表の司令塔となる篠山竜青で9本連続成功です。これは有名だと思いますが、2019/3/9の対ライジングゼファーフクオカ戦にて打った8本のスリーをすべて沈めました。続く対横浜ビーコルセアーズ戦でも最初の1本を成功させ9本連続となりました。

1位も2位もどちらも3月の出来事なのは面白いところです。

3位以下はちょっと離れて6本となりました。2019-20シーズンはスリーポイントシューターとして大きく花開いた安藤周人や、フリースローで他を寄せ付けない強さを見せる金丸晃輔も6本連続成功が最高となっています。

各選手の連続フリースロー成功数を調べてみた(金丸晃輔が異次元)

フリースローって不思議な存在でとても好きです。

ゲームの序盤ではフリースローは比較的退屈なプレーですが、接戦の終盤では最高に緊迫したプレーに変わります。あの緊迫感の中で決めきる選手達には尊敬しかありません。

さて、2018-19シーズンの中盤に日本が誇るスポーツ記録王のべこ。さんがこんなツイートをされていました(いつも参考になる情報ありがとうございます!)

金丸の54本連続成功ってとんでもないですね…正確無比過ぎてとても人間とは思えません(笑)このツイート時点で継続していた連続記録も結局45本まで伸ばしました。

「そう言えば富山グラウジーズの阿部もシーズン序盤に20本くらい連続で成功させていたな…」と思い出し、ついでなので他の選手もどれくらい連続成功させていたのか気になりました。この記事ではそれを見てみたいと思います。

以下は2018-19シーズンのB1選手を対象に、各選手最大のフリースロー連続成功数を調べ、そのトップ20を抽出したものです。

はい、どうぞ!

名前 FT連続成功数
金丸晃輔 54
ニックファジーカス 34
古川孝敏 30
片岡大晴 28
折茂武彦 28
ダバンテ・ガードナー 28
ジェフ・エアーズ 28
内海慎吾 26
ライアン・ケリー 26
並里成 25
阿部友和 24
川村卓也 24
ジョシュ・チルドレス 23
五十嵐圭 22
大塚裕土 21
藤井祐眞 21
辻直人 21
桜井良太 21
マーキース・カミングス 21
安藤誓哉 19

やはり金丸晃輔が異次元です(汗)54本連続はもちろん、45本連続も他を寄せ付けない大記録です。2019-20も彼のフリースローには最高の安心感が伴いそうですね。

2位は我らが日本代表のファジーカス。先日DAZNの取材にて彼のシュート練習に対する拘りが明かされていましたが、そういった努力の成果なのでしょう。

ランキングの上位には有名シューターが名を連ねるかと思いましたが、京都の片岡や内海、新潟のガードナー、琉球のエアーズや並里などが上位にランクインしているのは面白いですね。

もちろん予想通り古川、折茂さん、辻、川村、大塚、安藤誓哉などシューターとして定評のある選手も納得のランクインをしています。

ところでここまで書いていて気が付きましたが、金丸、ガードナー、川村の3人は2019-20シーズンはチームメイトでしたね。シーホース三河にはあまりフリースローを与えないよう、各チームはファウルに気を付けたいところです。

Twitterに強いチーム。Instagramに強いチーム。

バスケ情報のフォローの為にと私も一応Instagramのアカウントは持っているのですが、実際ほとんど開くことはありません。でもTwitterは隈なくチェックしていますし、バスケ以外の話題ではFacebookに投稿するのも大好きです。

語りつくされた話題ではありますが、そのようにユーザーによってどのSNSを好むのかの趣味嗜好はかなり違ってきます。よってブースターの年齢や性別によって各チームのSNSがどのように消費されるのかには違いが出てきそうです。

この記事ではB1各チームのTwitterとInstagramのフォロワー数を見てみましょう。上述のように各チームのブースターの年齢層や性別の分布に大きく影響されているかもしれませんし、各チームがそもそもどこに力を入れているのかの表れてくると思います。

Twitter

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千葉ジェッツと宇都宮ブレックスの両巨頭がそろそろ15万人に届こうかというところで争っています。それを追うのが10万超えの琉球ゴールデンキングス。次に10万人を超えてきそうなのが富山グラウジーズとレバンガ北海道というところでしょうか。

私は上述の通りTwitter界隈の人間なので、これらの数値を見てずっと「アルバルク東京と川崎ブレイブサンダースのフォロワー数が思ったより少ない」という印象を正直抱いていました。ではInstagramの方を見てみましょう。

Instagram

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アルバルク東京、川崎ブレイブサンダース、そしてシーホース三河がぐっと出てきましたね。千葉ジェッツと宇都宮ブレックスの差はTwitterよりも大きいのも面白いところです。あと秋田ノーザンハピネッツが随分下がったのも目立ちます。

私自身はあまりきちんとフォローしていないのですが、アルバルク東京、川崎ブレイブサンダース、そしてシーホース三河はクリエイティブに力を入れている印象ですし、もしかするとブースター層が若い傾向にあるのかもしれません。

比較しやすいように両方のフォロワー数をプロットしてみます。

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こう見るとやはりアルバルク東京、川崎ブレイブサンダース、シーホース三河、そして秋田ノーザンハピネッツが少しTwitterとInstagramのフォロワー数に少し偏りがあると言えそうです。今度真面目にこれらのチームのInstagramアカウントを追ってみたいと思います。

2019-20シーズン中にフォロワー数はどのくらい増加するのか

さて、各チームは2019-20シーズンの間にどれくらいフォロワー数を増やすことができるのでしょうか?そんな中の人たちの努力を追ってみるのも面白いと思いますので、2019-20シーズン中、シーズン後にそんな話題も扱えればと思います。

今シーズンはW杯の後にはじまりますし、来年の東京オリンピックに向けてバスケット界全体のパイが大きくなることも期待されます。その中で各チームは新しいファンのエンゲージメントを獲得できるのでしょうか?乞うご期待。

Bリーグデータbotを作りました

ちょっと今までの活動とは毛色が違うのですが、Bリーグに関するデータをTwitterでお届けするbotをいくつか作りました。今後はうるさくない程度にTwitterで皆さんにデータをお届けできればと思います。

いくつかは既に動いていますし、これから動かすものもあるのですが、とりえあずここで紹介したいと思います。着想があったら更に増やすかもしれません(ツイートの頻度には気を付けたいと思いますが。)

各クラブのSNSフォロワー数を報告するbot

B1各チームのTwitterとInstagramにおけるフォロワー数をツイートするbotです。各クラブ間のバスケにおける競争だけでなく、中の人によるSNS運用面での競争も可視化できればと思い作りました。

何気なく作ってみましたが、Twitterに強いチームとInstagramに強いチームがあるなどの発見もあり面白いです。そのうち一定期間でどれくらい増加したのか等の分析もやってみたいと思います。

ちなみに今のところB1チームのみ対象としております。

BリーグとJリーグのSNSフォロワー数を比較するbot

こちらは近日開始予定ですが、Bリーグの公式アカウントのフォロワー数をJリーグの公式アカウントのそれと比較するbotも作りました。

単純には比較できない面もありますが、やはりBリーグの発展を見守る上でJリーグはひとつの大きな指標かなと思っています。

こちらもTwitterとInstagramからデータを取得し、週次で両社の数値を比べてみたいと思っております。こちらもいずれ時系列のデータを分析してみると面白そうです。

例えばシーズン中のどの期間が一番フォロワー増えやすいのか、など調べてみたいです。

その日の試合予定を報告するbot

こちらはシーズンが始まってから稼働予定ですが、その日の試合予定を報告するbotを動かす予定です。

これはデータとはちょっと違う話なのですが、個人的に欲しかったので作りました。いつも「えーと今日のゲームはなんだっけ?」と思ったときにBリーグ公式ページでそれを確認するのが面倒だったので、それを代わりにやってくれるbotを作った次第です。

まだまだ時間があるので調整中ですが、だいたいこんな感じのツイートを試合のある日の朝に投稿する予定です。

こちらはB1に加えてB2のゲームも対象とする予定です。

同じ要領でゲームの結果もツイートできるのですが、こちらはどうするかまだ決めていません。

botを動かしている基盤

botはMicrosoft Flow、もしくはAzure Logic AppとMicrosoft Azure上で呼ばれているサービスを使って作りました。最近では「Low-code, no-code」なんていう言葉がありますが、プログラミングを書かなくてもある程度の自動化ができるサービスです。

Twitterのフォロワー数取得なんかはネイティブにサポートされていますし、インスタグラムのフォロワー数取得のようにREST APIをコールし、結果のJSONをパースする、なんてこともそれなりに簡単にできます。また結果をデータベースに保存するなんてことも割と簡単にできます。

試合予定を通知するbotはBリーグ公式ページのスクレイピングをやっており、多少プログラミングが必要でした。その部分はAzure Functionというサービスを使ってて実装しております。

興味のある方はぜひ見てみてくださいませ。

エリア別のFG%を見てみる

基本的に前回の記事の続きなのですが、各チームの2018-19レギュラーシーズンのシュート成功率をエリア別に見てみましょう。

下の図はレギュラーシーズンに打った全シュートの総計を対象としたものです(前回の記事の図と色が変わってしまっていてごめんなさい…)

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ペイント内の成功率が60%超えたのは千葉ジェッツと京都ハンナリーズのみで、千葉ジェッツがリーグトップの61.5%です。

ペリメーターでの成功率は40%超えたのは千葉ジェッツとアルバルク東京のみで、千葉ジェッツがトップの41.8%です。

そしてご存知の通りスリーポイントの成功率も千葉ジェッツが38.9%でリーグトップと、今季の千葉のオフェンス強さを象徴した結果となっています。

エヴェッサ大阪はペイント内の成功率がリーグワーストの50.3%と、ペイント内でのオフェンスに苦戦していた様子が伺えます。

秋田ノーザンハピネッツはペリメーターでの成功率がリーグワーストの29.5%となっており、改めてシュート力の課題が浮き彫りになっています。

新潟アルビレックスBBもペリメーターの成功率は30%強と低めです。前回の記事で取り上げたようにそもそもほとんどペリメーターからシュートを打っておらず、成功率から察してもほぼ捨てシュートだったことが想像されます。

B2も見てみましょう。

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意外なのかどうかは分かりませんが、西宮ストークスがペリメーターの成功率で40%を上回っており、リーグトップです。島根スサノオマジックも素晴らしいですね。

インサイドの決定率はやはり王者信州ブレイブウォリアーズが頭ひとつ抜けていたようです。しかしそれでも60%は下回っていて、改めて千葉ジェッツの決定力の高さを示す形となりました。

新潟アルビレックスBBはペリメーターからのシュートを約8.8%しか打っていなかった

近年はいわゆる期待値が低いことから、ペリメーター、つまりペイントの外の2点シュートは好まれない傾向にあるのはご存じの通りです。

どうせ遠くから打つなら3点、もしくはどうせ2点なら近くから打ちたい、と考えれば自然なことですね。

NBAではヒューストン・ロケッツが顕著にその観点からオフェンスを組み立てているというのは有名な話です。Bリーグだとどうでしょうか。

下の図はB1各チームのフィールドゴール試投数の割合ですが、新潟アルビレックスBBが顕著だです。新潟はペリメーターからのシュートというのは約8.8%しかありません

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もちろんそれが庄司HCの戦略だからだと思いますし、その戦略を実現するための強力なインサイドプレーヤーとシューター陣を揃えているからこその結果だと思います。

来季はその重要なピースであったガードナーがチームを出る可能性が高そうなので、ガードナーなしでこの戦略がどう変わるのか、そこには注目したいと思います。

なおB2について同じデータを見ると以下のようになりました。

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こちらは信州ブレイブウォリアーズが一番低く12%ほどでした。バンビシャス奈良や金沢武士団と比べると約半分の割合で、今季の王者が行っていた効率の良いオフェンスがここに表れている可能性が高そうです。

新潟の話に戻りますと、新潟の今季の躍進とこれがどこまで関連あるのかに興味があるので、データの準備が出来たら同チームの過去2シーズンについても見てみたいと思います。

ここ3シーズンでBリーグのeFG%はどう変化したのか

ここ3レギュラーシーズンの各試合のeFG%を見てみると、じわりじわりと上がってきている様子が伺えます。

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2018-19シーズンについて言えば外国籍選手の常時オンザコート2が認められるようになりましたので、よりインサイド中心の得点の取り方になった結果なのかなと予想しています。

過去3シーズンにB1に所属したチームの%eFGをそれぞれ見てみましょう。

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まず千葉ジェッツのeFG%を上昇具合が目立ちます。今季はパーカーがとにかく活躍しましたし、石井もスリーポイントシュート成功率でリーグ1位になるなどとにかく手の付けられないオフェンス力でした。

スミスが入ったことによりインサイドの攻撃力が増加した富山グラウジーズ、ロシターと遠藤のシュート力が光った栃木ブレックスなども伸ばしています。ちょっと意外だったのは川崎ブレイブサンダースも伸ばしているところでしょうか。

逆に落差が目立つのはシーホース三河でしょうか。もともとエースの比江島が非常に決定率の高い選手でしたし、メンバーをシーズン中に大きく入れ替えたこともありましたので、そのあたりが影響していると思われます。

B2です。

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今季のB2を完全制覇しました信州ブレイブウォリアーズの上昇具合がとんでもないことになっています。残念ながらライセンスが発行されず昇格はありませんでしたが、とにかく今季はよくスリーポイントを決めていたようです。早くB1で見てみたいチームですね。

準優勝の群馬クレインサンダースについても同じくeFG%を向上させていたようです。群馬は得点王のケネディを要すチームですので、オンザコートルール改正の恩恵を受けたこともひとつの要因だったのではないでしょうか。

タイトルこそありませんがファイティングイーグルス名古屋も年々eFG%が上昇しており、このまま行けば来季のB2ではとても楽しみな存在でありそうです。

2018-19シーズンの個人的な振り返り

2018-19シーズンのBリーグが幕を閉じました。ご存知の通り色々な出来事があった訳ですが、簡単にまとめますと

  • アルバルク東京のチャンピオンシップを連覇
  • 千葉ジェッツがレギュラーシーズンを過去最高勝率で制覇
  • 信州ブレイブウォリアーズがB2を完全制覇
  • 島根スサノオマジックがB1昇格
  • ライジングゼファーフクオカがB2に降格
  • 東京エクセレンス、越谷アルファーズがB2に昇格
  • 八王子ビートレインズがB3に降格

というシーズンの結果となりました。

自分がシーズン前に書いた展望を読み返してみますと、アルバルク東京の優勝、富山グラウジーズの躍進など予想が当たっているように見えます。

しかしこのシーズンは自分が思っていたものと全然違う形になったというのが正直な感想です。自分にとっても良い勉強となりました。

この記事ではいくつかのポイントでこのシーズンを振り返ってみたいと思います。以下の項目の順番は適当です。ちなみにデータの話はまた別途する予定です。

総論

一言で言ってしまうと、ほとんどのチームが前シーズンより強くなった、これに尽きると思います。こうしてリーグのレベルがどんどん上がっていくのかと感心したシーズンとなりました。

もう少し言うと、伸びたチームと伸びてないチームの差が開いたシーズンだという印象を持ちました。勿論伸びてないチームもここから対策を練ってきて、さらにリーグのレベルが上がるのだと思います。

千葉ジェッツふなばし

思っていたよりずっと強かったです。昨季までももちろん強かったのですが、昨季のファイナルも含め何処か不安定な印象のあるチームでした。

ところが今年はとにかく安定していて、チームもシーズン52勝という、しばらく塗り替えるのが難しいと思われる記録も樹立しました。

技術面はもちろんですが、チームやエースである富樫の精神面での成長が大きく寄与したという印象です。今季のファイナルの4Qがそれを象徴していたと思います。

新潟アルビレックス

失礼ながら一番予想外に強かったのが新潟アルビレックスでした。チャンピオンシップで王者アルバルク東京を苦しめたことからも、シーズンを通したその強さは証明されたと思います。

もともと得点王ガードナーを要しオフェンス力は高かった新潟ですが、ここに来てディフェンスをしっかりと強化、それが結果に繋がったと思います。

スタッツ的にもペリメーターのオフェンスを最小化するなど近代的な側面も見せており、今後はさらに楽しみになりそうなクラブです。

比江島慎

BリーグにはNBAのようなトレード制度は今のところ存在せず、シーズン中の選手の入れ代わりと言えば外国籍選手の話題が中心です。

しかも外国籍選手が入れ代わる場合、怪我等に起因していることが多い為、あまり楽しい話題でないことも多いです。

しかし今シーズンは比江島がオーストラリア挑戦から戻ってきたこともあり、有力な日本人選手が何処かのクラブにシーズン途中で入りそうだという、こう言っては何ですが楽しい瞬間がありました。

結果的に比江島はサプライズ移籍にはなりませんでしたが、1シーズンにひとつくらいはこういう話題があっても楽しいなと思います。

アルバルク東京

チャンピオンシップを制したことはもちろんなのですが、アルバルク東京について最も感心するのがそのシーズンの過ごし方です

まずほとんどのチームが3人目の外国籍選手を持て余してしまった中で、アルバルク東京だけはカーク、ウィリアムズ、ビエリツァの3名をきちんと起用してきました。

もちろんビエリツァは有力な選手ですが、それでも過去のシーズンを知るカーク、ウィリアムズのみの体制で行く方が楽だったはずです。しかしアルバルク東京はそうしませんでした。

結果として、不幸にもウィリアムズは怪我をしてしまった訳ですが、それでもアルバルク東京が大崩れしなかったのはしっかりとビエリツァをローテに組み込んでいたからだと思います。

もちろん、竹内譲次という日本を代表するビッグマンを、リーグの狙いに答えて育成した事実も忘れてはいけません。最近の代表での活躍は我々の多くが知るところですね。

外国籍選手のベンチ登録人数

上の話題と絡みますが、単純にひとり余らせておくのが勿体ない、というのが私の感想です。

彼らは有力なプロバスケットボール選手で、何処かの国で、何処かのチームで、何処かのバスケファンを熱狂させることが出来る選手達なのです。

そういう選手達がゲームに出られず眠っている、そういう状況は勿体ないです。これを回避する為にも、ベンチ登録人数についてはロスターに登録できる人数と同じがいいのではと思ってます。

平日開催

今季は平日開催が増えました。いち観客としては実は嬉しいのですが、観客動員数の出だしには少し悪影響だったかもしれません。

まあ私ごときがビジネスのことをうんぬん言うのもどうかとは思いますが、せめて開幕戦、特に地方(というかアリーナが生活圏からかなり離れている地域)の開幕戦は休日開催がよいかもしれません。

シーホース三河

富山グラウジーズが昨季から一番上昇したクラブとすれば、一番下落したのはシーホース三河でしょう。昨季一番勝利したチームから一転、今季はチャンピオンシップをギリギリで逃す結果となりました。

しかしただでは転びません。シーズン途中に鈴木HCは痛みを伴う改革を断行。今季のメンバーを途中から替え、岡田と熊谷を中心に据えたチーム作りをする姿勢を強く出していきました。

痛みを伴う改革というのは、口では言ってみても人はなかなか実行には移せないものです。この改革が今後どう結実するのか、こよオフシーズンも含めて今後のシーホース三河から目が離せません。

結論

今シーズンもめちゃくちゃ面白かったです!Bリーグ最高!