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最近読んだ本

電脳社会の日本語 (文春新書)

電脳社会の日本語 (文春新書)

「文字コードは丁度文系と理系の間に落ちている」という考察が面白かった。確かにそうかもしれないが、個人的にはエンジニアがリーダーシップをとっていかなければならない事ではないかと思っている。しかしアメリカが漢字統合論を打ち出してきた件には「流石アメリカ」と良くも悪くも感心した。その無邪気さと言ってもいい傲慢さがアメリカの経済力の強さのひとつの要因だろう。

ちなみに本書は404 Blog Not Found:Unicodeは文字集合か符号化方式かで紹介されていたのを見て購入した。確かに本書も文字コードの勉強にはなったが、より技術的に勉強をしたいなら以下の書籍から始めると良いと思う。

文字コード超研究

文字コード超研究

前半に2進数や16進数の話から始まるのが多少冗長だが、後半は文字コードで抑えておくべき用語とその概念をしっかりと解説しており、これを読むだけで一通りのことは学べるのではないかと思った。

最近読んだ本

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)

「統計数字を疑う」というテーマと「実感となぜずれるのか」というテーマは別の話であるように読めた。前者はつまり所謂シンクタンクが出してくる数値を訳も分からず丸呑みする危険性について、そして後者については普通の人に統計の知識の不足について書かれているように思う。後者について前から考えているのは、学校教育ではせめて分散の概念は教えておくべきではないかということ。平均や偏差値は学生にとって身近な概念だし(ここでは算術平均のことだが)、分散を意識するようになると統計に興味を持つ学生も増えるのではないかと。それに分散が分かっていないと、算術平均を知ってもあまり意味はない。

昭和史 〈戦後篇〉 1945-1989

昭和史 〈戦後篇〉 1945-1989

敗戦直後の玉音放送から高度経済成長まで、著者の経験や見聞きしたことを織り交ぜた内容で、回想録的な感もある内容。昭和史の話は自虐史観に拠り過ぎていたり、右傾化し過ぎていたりと中々バランスをとるのが難しいテーマであるが(だから面白いというのはあるが)、半藤氏の文章はまあ中立かな、と思えた。別に中立だから素晴らしいという意味ではないが。
やはり昭和の歴史は面白いなと思えた。シリーズ一つ前の「昭和史 1926-1945」も読みたいと思う。

最近読んだ本

リナックスの革命 ― ハッカー倫理とネット社会の精神

リナックスの革命 ― ハッカー倫理とネット社会の精神

  • 作者: ペッカヒマネン,リーナストーバルズ,マニュエルカステル,安原和見,山形浩生
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2001/05/26
  • メディア: 単行本
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リナックスの開発者であるリーナスを中心に、ハッカー達がどういった文化や倫理を持っているかを解説した本。もともとThe Hacker Ethicというタイトルだったみたいだが、なぜかリナックスの本ということになってしまっている。ハッカーの倫理を宗教と比較した文章が多く、正直必要以上に小難しく感じた。

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

いつもブログを拝読している内田先生の最新刊。「学ばない学生」、「働かない若者」がテーマの本書だが、是非広く読まれて欲しいと思える内容。面白いし、ブログでも発揮されている鋭い洞察が勉強になる。僕は特に「学ばない学生」については興味があるというか問題意識があったのだが、この下流志向を読むことで一段と意識が高まった。それは日本の将来への不安が大きくなったことも意味するが。
それにしても内田先生の名前って樹なので「いつき」だと思っていましたが「たつる」と読むんですね。

漢字文化とコンピュータ (中公PC新書)

漢字文化とコンピュータ (中公PC新書)

もう僕が生まれた頃には感じはコンピュータで扱われていた訳で、それ以前に感じがどのように扱われていたのか想像もしたことが無かったが、本書を読むことでイメージが湧いた。いまこうして問題なくブログに文章を書けるのも、先人達の知恵と努力があってのものだと思うと感慨深い。文字エンコーディングを解説した部分は、コンピュータに興味のない人向けに書かれているので冗長に感じた。

最近読んだ本

ビジュアル式 数学嫌いが治る本

ビジュアル式 数学嫌いが治る本

あまりちゃんと読んでいないけれども、ビジュアルから数学に入らせるというのは子供に数学を教えるときに悪くないアイデアだと思った。でも空間を把握する能力って無い人はほんとに無いから、座標の話とかで嫌になってしまう人もいるかも。

読書記録をしばらく簡易版にします

別に誰に報告するというわけでもないが、読書記録をしばらく簡易版にします。簡易版にするといっても面白い部分や感銘を受けた部分は紹介したいし、一言コメントくらいは書くかもしれませんが、兎に角簡易版です。理由は時間短縮という極めて基本的なものです。

最近読んだ本

インターネット2―次世代への扉 (岩波新書)

インターネット2―次世代への扉 (岩波新書)

研究者が研究対象の技術だけでなく、その技術が社会に及ぼす影響まで考え始めるとその人はビジョナリーと言われるようになると思う。特にその技術のインパクトが大きいと。

大学院のすすめ―進学を希望する人のための研究生活マニュアル

大学院のすすめ―進学を希望する人のための研究生活マニュアル

大学院で専門的な勉強をする人はもっと増えて欲しいし、そういった人の能力が活かせる社会になるべきと思う。横並びを尊ぶ日本人だけど、少しずつ状況は変わってくるだろう。勉強する人が損をするんじゃ悲しすぎる。

ロボットの天才

ロボットの天才

とにかくこの人は楽しそう。僕自身はまったくロボットに興味はないのだが、彼のようにモノを愛する気持ちは持っているし、彼の作品であるロボットからは彼の愛着がひしひしと伝わってくる。「人の形をしている」というのは確かにひとつの重要な機能だと思う。

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)

グーグル、アマゾンをとりまくネットの現象、つまりロングテールとかが社会にまで影響を与えるという話に読めたが、最後の選挙のくだりのあたりはイマイチしっくりこなかった。まあでもその部分が他のネット関連本と差別化している部分だと思う。

小室直樹「数学嫌いな人のための数学」

数学嫌いな人のための数学―数学原論

数学嫌いな人のための数学―数学原論

小室先生と言えば「○○原論」シリーズで有名だと思うけど、この本は副題にあるとおり「数学原論」らしい。原論の名に相応しく根源的な内容を扱っており、話題は宗教、歴史、経済と周り巡る。正直この本をタイトルを見ないで買ったとして、これが数学の本だと気付く人いないだろう。

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進化しすぎた脳

進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)

進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)

これは面白い。専門家が素人にその専門分野を分かり易く説明するという試みは大抵面白くなるものだが、これもそのひとつ。大変に知的好奇心を掻き立てられる内容となっている。

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スコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャッツビー」

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

  • 作者: スコットフィッツジェラルド,Francis Scott Fitzgerald,村上春樹
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2006/11/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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おそらく、というか間違いなく、この小説はもう何度か読まないと本当の良さは見えてこない。それは僕の極めて個人的な理由によるものだが。

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三崎亜紀「となり町戦争」

となり町戦争 (集英社文庫)

となり町戦争 (集英社文庫)

出版時も多少気になっていたのだが、先日文庫化されたので購入。内容とはあまり関係ない感想だが、やはりこの手の本は文庫化されるまで待つに限る。特に本書なんかは十代とか二十代前半の年代が読者として想定されるだろうから、一冊に二千円くらい出すのは大分辛いのではなかろうかと思う。書籍にもソフトウェアのようにアカデミックパック、つまり学割があると日本の若者のためになると思うのだが。

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