WEB2.0」タグアーカイブ

もう媒体の時代じゃない

ちょっと前の話になるんだけど、CDは全部処分しようと決心して、実際にそうした。同世代の人間は共感してくれると思うが、CDは青春の象徴的な存在であったし、一枚一枚に色々と思い出が詰まっていたりするのだが、「もう媒体の時代じゃない」という時代の変わり目を肌で感じた瞬間があり、その決心に至った。
これからも下記の様なニュースはわんさか出てくるであろう。

英紙イブニング・スタンダードは8日までに、ビートルズ元メンバー、ポール・マッカートニーさん(65)が、米アップルの音楽配信サイト「アイチューンズ・ストア」にビートルズの楽曲を提供することを決めたと報じた。

テクノロジー : 日経電子版

そんなこんなでHD-DVDとブルーレイの争いなんかも、多くの人がそう指摘しているようにちょっと時代錯誤だという印象を受けてしまうのが正直な気持ち。既にAppleはAppleTVを中心とした映像の配信戦略を進めているが、いずれそこに多くの企業が参入してくることになるだろう。僕は元々あまりDVDを所有していないのだが、もしCDのようにたくさん保有していたとするならば、きっとこのタイミングで処分に走っていることと思う。
もう媒体の時代じゃない。

ネットイナゴ問題雑感

ネットイナゴについて何か書こうと思っていたら、各所で盛り上がりを見せているようで完全に出遅れてしまった。まあ別に他人より先に書いたからといってどうということはないのだけれども。

一方、はてなブックマークでの厳しい一言で人が傷ついたりしているのを見かけます。誰かがちょっと間違ったということを指摘するのに、バカとかアホとか、そんなことを書く必要は本当にあるんだろうか、自分の思う正しい回答を丁寧に示すだけでよいのではないか、と思います。

はてなブックマークのコミュニティについて – naoyaのはてなダイアリー

こういう「誰かが傷ついた」的なミクロな話に向かうのは意外だったというか、ちょっと方向性が違うのではないかと思う。結局のところWebが皆にとってどの様な場所になるべきなのか、どの様な場所になると嬉しいのか、というマクロな話が今問題になっているんだと認識している。その意味では池田信夫さんの記事で述べられている視点は共感できる。今こういう議論をすべきでないかと思う。例え話としてはちょっと暗いのだけれど、年間交通事故で1万人近くの人が日本だけで亡くなっている。おそろしい数だと思う。けれど自動車はマクロで見れば我々を幸せにしたのではないかと思っている。例えばそういう話。上手く書けないけれど、どんな物やサービスもミクロで見てしまえば誰かを傷つけたりすることはある。誤解を恐れずに言えばそれはしょうがないことだ。でも今のはてブは全体の質としてどうなの、という話をするべき。人を小馬鹿にすることが中心のしょうもないネット空間になってしまったらどないすんねんと、そういう話に持っていかなければならないはずだ。
前にも書いたと思っているのだが、結局はてブでコメントできてしまうことが全ての元凶なんじゃないかと僕は考えている。あのコメントには一種の独特な暗さを感じるのは僕だけではないのではなかろうか。あのコメントで吹いたことも何度もあるし、納得できないエントリのコメントに共感したこともある。ただじゃあ何か本質的に役に立った事があったか、と考えると、一度か二度そういうことがあった程度だと思う。ただし自分のはてブに付けた自分のコメントは後からの検索時に役に立つ。もともとそれを想定した機能だろう。だからはてブのコメントは自分のだけ見れる様にしてくれて僕は構わない。人のエントリや記事に反応したかったら、トラックバックやコメントで正々堂々と反応すれば良いのではと思う。ここまで書いてきて思ったが、はてブのコメントに独特の暗さを僕が感じるのはそこに責任を感じないからかもしれない。人がいるという気がしない。その意味ではid:naoyaとは正反対の感じ方をしているのかも。
まあ1ユーザとしては、あまりにもしょうもないサービスになってしまったと判断したら、より良いサービスに移行するだけである。もちろん使いなれたものから移行するコストというのはそれなりなので、はてなには頑張ってもらいたい。もちろん協力できることがあればしたいと考えている。

NHKスペシャル「グーグル革命の衝撃」

http://www.nhk.or.jp/special/onair/070121.html

昨晩録画し、今朝確認。色々突っ込みどころはありますが、全体としては佐々木俊尚氏の著書と大体同じかな、という感想を持った。内容があまり批判的なものでなかったのには少し驚いたというか、もう少し「ネットの否定的側面」が強調される内容が含まれるかと思ったがそうでもなかった。グーグル八分も取り扱われていたものの、否定的な側面からの報道ではなかった。まあ強いて言えばゲールさんのグーグル中毒か。
それにしても検索ランキング向上策でページが汚れるなんて絶対嫌なのだが、検索結果が死活問題となる企業にとってはそれどころではないのだろう。なんか資本主義の嫌な面を見たようで気分が滅入った。

グーグルに集まるコンピュータサイエンス系の頭脳

全ページに梅田さんのアップ写真付きなのばかりが頭に残っていますが。

スペシャルインタビュー 梅田望夫氏語る「I(アイ)の革命だ」

以前ならコンピュータ・メーカーで活躍していた人材が,グーグルで働いています。OSを設計していたグループがそろってグーグルに入社したとか,DECで「Alpha」プロセッサを開発した人たちがグーグルに移ったとか,そういう話を聞きます。

とにかくコンピュータサイエンス系の頭脳は、現在Googleに寡占的に集められていると言っていいだろう。

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Appleが電子書籍に参入か?

Engadget Japanese : アップルが電子ブック販売に参入(という噂)

こちらもアップル系噂情報。Engadgetが複数の信頼できるソースから得た情報によれば、アップルがオーディオブックではない普通の電子ブックをiTune Music Storeで販売するとのこと。

iPodとiTunesは音楽の保持形式にパラダイムシフトをもたらしたが、書籍や新聞に関してもそれをもたらす可能性があると思う。

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中国の若者とGoogleとKai-Fu Lee

The New York Timesに「Google in China: The Big Disconnect」という長い記事が載っている。どうやらTimes magazineに載る予定の記事のようだ。少しずつ読んでみようと思う。

When he started the Microsoft lab seven years ago, he hired dozens of China’s top graduates; he will now be doing the same thing for Google. “The students of China are remarkable,” he told me when I met him in Beijing in February. “There is a huge desire to learn.”

中国の若者の間でKai-Fu Lee氏の人気は凄まじいらしく、講演会にダフ屋まで出てしまうそうだ。Googleの中国支部のトップでもある同氏が、中国の学生の学習意欲の高さに感心を抱いているようだ。これは様々なところで聞かれる意見であり、おそらく真実なのだろう。一緒に働いている中国人の人にしても、最近よく見るコンビニで働いている中国人にしても、とにかく必死に何かを学ぼうとしている。かれらは「自分の能力を向上させることが、生活(つまり収入)の向上に直結する」という信念を持っているように見えるし、多かれ少なかれそれは彼らにとって現実なのだろう。そういった向上意欲の高い中国の学生にとって、同氏は成功者の見本みたいなものに違いない。しかし知らなかったのだが、彼って台湾育ちだったのか。

Lee has been with Google since only last summer, but he wears the company’s earnest, utopian ethos on his sleeve: when he was hired away from Microsoft, he published a gushingly emotional open letter on his personal Web site, praising Google’s mission to bring information to the masses. He concluded with an exuberant equation that translates as “youth + freedom + equality + bottom-up innovation + user focus + don’t be evil = The Miracle of Google.”

“youth + freedom + equality + bottom-up innovation + user focus + don’t be evil = The Miracle of Google.”という表現が非常に印象的である。個人的には”desire to study”というのも入れておきたいと思う。おそらく同氏がMicrosoftからGoogleに移った根本的な理由もこの辺にありそうだが、Google及びネットが、youthにequalityを与えることにより、強いdesire to studyを持ったyouthがbottom-up innovationを起こす。そういったビジョンの信奉者なのだ。何のことはない、ネット時代をしっかりと理解しているおじさんだったということだ。その点では梅田望夫さんと似たようなものである。

しかしこういった記事を読んでひしひしと感じるのが、中国人技術者への脅威である。僕は彼らの何倍かの給料を貰いながら、彼らと同等かそれ以下の価値しか創造していないのではないか、そういった不安が胸をよぎるのである。その不安を拭い去るためにも、自らも学び続けなければならない。

東大が授業を配信

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0604/12/news087.html

MITの例もあるので若干心配だが、本気で取り組んで欲しいところ。コンピュータサイエンス関係が配信されたら見よう、ってiPod買わないと。

http://ocw.u-tokyo.ac.jp/course-list/engineering/computer-hardware-2005/index.html

で既にコンピュータ・アーキテクチャの講義ノートなどは手に入りますね。

WEB2.0とニューエコノミーの語られ方が似ている件について

こういうタイトルが流行っているのは何が発端なんだろう。

この記事が発端となって、ここここを中心に騒ぎが起きている。まあ僕としても

とはいえ,その技術力は投資家の評価材料にはなっても,営業売り上げを直接生み出しているわけではない。技術や技術力そのものに値段をつけて売っているソリューション・ベンダーなどとは異なるビジネスモデルである。

はひどいなぁ、というか誤解だなぁとこの記事には思うわけだが。ソリューション・ベンダー(こういう用語は好きではないのだが)が技術や技術力で生計を立てているなんて感覚はとても持てない(まあ広告にはそう書いてあるけどね)。
話を本題に移すと、なんかこの記事に対する反応を色々読んでいて思ったのだが、WEB2.0とニューエコノミーに対する人々の反応がなんか似ているのではないか、ということ。梅田さんのオプティミズムがこの論調の基となっているのであれば当然なのかもしれないが、何かWEB2.0という言葉を否定するのが許されない空気、というよりむしろ否定的な感覚、及び既存のものとのアナロジーで語ることが許されない空気が醸成されている。「おいおい、これってバブルじゃねぇ?」、「バ〜カ、ニューエコノミーだよ。今までの常識と照らし合わせるな」というどっかで見た構図が出来上がっている気がするのである。R30さんのブログに

今回の「Web2.0」はもともと何か具体的なサービスや製品を指すわけでもなく、実体のないただの言葉遊びだったので、2年後ぐらいには世の中から完全に忘れられてしまう気がする。2000年の頃によく言われていた「ニューエコノミー」みたいなのと同じようにね。

とあるように、両者とも実体がない言葉遊び、ではないかという懸念もそっくりかも。
上述の識者達が、そして世界のビジョナリーたちが、あえてWEB2.0という言葉を肯定的に捉えることによって「世界をより良いものにしていこう」という目的を達しようとしているのは分かっているつもりだ。というかむしろその為にWEB2.0という言葉が生み出されたという言い方も出来るだろう。それは素直に応援したいし、僕も微力ながら関わりたいと考えている。しかし一方で否定的な意見や、実体が無いが故に理解できないといった意見に耳を傾け、素直に吸収し、オプティミズムを基礎とした議論を精錬していかないと、結末までニューエコノミーと一緒になってしまうのではないか、そんな懸念を持ったわけである。
記事を書いた井出氏は、みんなが分からないと思っていることを「先生、それ分かりませ〜ん」と勇気を持って先生に問いかけた生徒の様に、すすんで道化の役割を買って出たものと思うようにする。

梅田さんがWBSに出演した訳だが

本質ではなく、一番派手で分かり易い部分を切り取ろうとするテレビという媒体に、常に本質を求め続ける梅田さんが出演すること自体にかなりに抵抗感を覚えたが、結果的にはさすがWBS、他のテレビ番組よりも何倍もましだった。なんとか議論の本質に近づいていこうとする姿勢は見れたと思う。そして限られた時間の中で、テレビ受けする部分を織り交ぜながら話を展開した梅田さんはさすがだった。
まぁ、色々消化不良の内容もあったけど、あの時間ではあれが限界だろう。

Google Finance

気がついたらGoogle Financeなんて新サービスが始まっている。The New York Timesの「Google Offers Search Service on Finance」という記事で取り上げられていたので紹介。

http://www.nytimes.com/2006/03/21/technology/21google.html?_r=1&oref=slogin

Google said the initiative grew out of a survey it conducted 15 months ago, asking its users what kinds of new services they would find helpful. The response was dominated by two themes: maps and finance.

グーグルが市場調査(って言うのも変かな)を15ヶ月前に行っていたんだそう。これは意外だった。その結果のほとんどが地図と金融に関するものだった模様。この調査を元に、Google MapとGoogle Financeを開発したと思われる。ここからGoogleの開発の速度も窺える。

The site will focus on current and historical data for both public and private companies, and following a Google practice for its new offerings, it will not immediately carry advertisements.

“Our focus is on the user and the product,” said Marissa Mayer, Google’s vice president for search products and user experience. She said the company would consider revenue possibilities later.

この辺はいつも通りで、儲けは後からついてくるだろう、ということらしい。単純に考えればまた広告かなと思うが、とりあえずは広告を出さないようだ。この辺の展開も今後が楽しみ。

で、実際にhttp://finance.google.com/financeに飛んで使ってみた。記事に以下のようにあるが、

One feature the company emphasizes is the ability to track when news stories appeared along a timeline display of stock prices. It will also link to discussions on Web logs about specific companies.

チャートの所々にある旗みたいなマークと、右側に出現する関連記事とがリンクするようになっている。これで時系列でニュースと株価を照らしあわすことが出来るようだ。僕は株をやらないので、実践的にどのような使い道があるのかよく分からないが、色々と遊べそうだ。とりあえずYahoo!FinanceよりもUIは断然良いと思うのは僕だけか。

役員の名前や関連会社もずかずか下に出てくるし、何よりその会社について書かれたブログが出てくるのが面白い。今後はある会社について言及されたブログを探したいとき、ここから探すのがデフォルトになるかも。