何をやっているんだろう。
元々何か凄いものを開発したいと思って開発者になった。別にそれはソフトウェアじゃなく、ハードウェアでも良かったんだけど、趣味趣向が自然と僕にプログラミングを選択させた。何か凄いものってなんだろうっていう定義は出来ないけれど、例えばGoogleの検索とかiPodとかトヨタのプリウスだとか、とにかくそういう世界的に大きなインパクトを与えた製品やサービスに心を惹かれたし、そういった製品やサービスの開発物語(プロジェクトXみたいなイメージ)を読んだり聞いたりすると心が震えたものだ。「自分もいつかそんな製品やサービスを世に送り出したい」、そう思った。僕の仕事の目標はシンプルにただそれだけだと思う。すんげぇもんつくる。
でも最近の僕は何をやっているんだろう。1年前くらいにチームリーダーになった。そこから工数の調整だとか上への報告だとかそういう仕事が増えた。会社がそう決めている訳ではないけれど、チームリーダーはコードなんか書かない存在になるべきだという考え方はかなり会社に浸透している様に思う。そんな存在にはなりたくない。しかし正直言えば、一旦なってしまったこのチームリーダーという存在に恋々としている自分が存在する。チームリーダーの給与幅は一般社員より広いのだ。僕にも家族はいる。そんなことを言い訳にしながらどっちつかずの毎日を過ごしている気がする。
この間会社の評価制度が変わった。自分の成果をプレゼンテーションで評価者に発表し、採点するというもの。プレゼンする相手、プレゼンをされる相手は普段一緒に仕事をしていない人達だった。15分のプレゼンテーションでは何も評価できなかった。一部の人はとてもプレゼンテーションを上手くこなしていた。言い訳がましいけれど、僕はプレゼンテーションなるものは得意だと思う。人前も得意。でもだ、終わると思った。ここで素晴らしいプレゼンテーションをして、自分の評価を上げる真似をしてしまったら開発者として終わると思った。その方法論から抜け出せなくなると思った。高評価に恋々としてしまうだろうと思った。開発者として技能を向上させることを馬鹿馬鹿しく思うようになるだろうと思った。だから僕は単調なプレゼンテーションをした。立ってプレゼンテーションをした方が印象が強いだろうというプレゼンテクニックの話が終わったあとに出たけど、僕は来年以降も座りながら単調なプレゼンテーションを行うだろう。無論、自分が凄いものを作れたときにはその凄さを必死でアピールしたいと思っている。開発者ってそういうもんだと思う(実際は、チームリーダーとしてチームメンバーをどの様にマネジメントしたのかを中心にプレゼンテーションするのだが…)。
今僕は不安であり、そして頭に来ている。頭に来ている?何に対して。それは間違いなく自分に対して。会社の評価制度も周りの社員もどうのこうの言ってはいるものの、僕にもっと素晴らしい技術があれば、アイデアがあれば、能力があれば、会社がどんなことを言ってこようとも、どんなことをこちらにさせようとも、世間が僕を評価してくれるはずだから。だから自分の能力の無さに頭が来る。だったら世渡り上手になって能力の無さを隠しながら生きようと思ってしまう弱い自分にも頭が来る。不安なのも結局自分の能力が自分が思う十分なレベルに達していないからだ。全ては自分に起因する。
凄いものじゃなくてもいい。とにかく何かを作ろう。何かを生み出そう。結果それがクソでも構わない。次に繋がればそれでいい。超簡単なゲームでも構わない。意味の無いものでも構わない。会社で作れないなら自分で作るしかない。最終的にも凄いものは作れないかもしれない。でもそれでも構わない。世渡り上手なカスエンジニアになるよりましだ。もし自分には凄いものは産み出せないという結論に辿り着くようだったら、そのときは潔くエンジニアをやめよう。僕にはお金を稼ぐための技能がプログラミングの他にもある。
まとめ
開発者としての自分の能力とのみきちんと向き合う。能力が無いようだったら潔く止める。世渡り上手開発者にはならない。以上。
あー、よく分からないエントリになったけどすっきりした。会社の人間も一部読んでるかもしれないけど、まあいっか。