
- 作者: 魚住昭
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/05/16
- メディア: 文庫
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再び魚住昭氏の著書に手を出した。この間村上春樹氏の作品を一気に読んだときもそうであったが、どうも僕は気になる著者が現れると、その人の書いた本を飽きるまで読みたくなる傾向の持ち主らしい。とりあえず本作品を読んだ時点では魚住氏には飽きていないと思うので、次も彼の著作に手を出すかもしれない。もちろん予算と時間の範囲の中で、であるが。
本書は政敵を叩きつぶす策謀家として永田町で恐れられた政治家、野中広務氏の生い立ちからその政治生命が閉じられるまでを追ったルポタージュである。野中氏はその出自によって多くの困難を乗り越えてきたようであるが、こう言ってしまっては何だが、彼の人生を傍観する立場、つまり本書の読者にとっては非常に興味深い部分であるというか、政治家野中広務の核のようなものがいかにして形成されていったのか、それを考える上での大きな材料になっている。
また本書で非常に面白い部分であると僕が感じたのが、魚住氏は単なる傍観者としてではなく、野中氏を取材していく上で彼と野中氏の間に生まれたある種の空気というか、確執というか、そう言ったことまでを本書に余すことなく記していることである。つまり、魚住氏も野中広務という政治家の人生の物語を紡いでいるだけではなく、そこに自らも出現することにより、本書をいっそう刺激的な内容にすることに成功している。僕はそう感じた。
最後には佐藤優氏との対談が掲載されている。最初は「なぜ佐藤氏が?有名だからか?」と疑問に思っていたが、どうも野中氏と鈴木宗男氏は切っても切れない関係にいたというか、野中総理、鈴木官房長官というシナリオが一部では動い佐藤氏は相変わらず様々なことに詳しいようだった。