
- 作者: 魚住昭
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/05/09
- メディア: 文庫
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http://d.hatena.ne.jp/rintaromasuda/20070912/1189549821で紹介した「官僚とメディア」と同じ魚住氏による本書は、この日本で起こっている司法の腐敗を抉り出したもの。相当に読み応えがありました。
著者は本書で語っているように、以前は特捜検察のファンだったという。特捜検察 (岩波新書)という前著は特捜検察の活躍を描いたものであるようだ。しかしその著者が今度は検察、そして司法全体に蔓延る腐敗の構造に光を当てることになった。日本の司法にどんな変化があったのか、そしてこれからどう変わっていくのだろうか。そういったこと深く考えさせられる内容である。
本書は基本的には二人の弁護士、一人はヤメ検(検察を辞めて弁護士に転じた人)の田中森一氏。田中氏は検察時代はピカピカの正義の検事という感じだったというようだが、自己の中に生まれた矛盾を解消できず、弁護士に転じ、その後裏社会の有能弁護士として数々の裏社会の大物との関係を持つに至った。非常に興味深いエピソードである。
もう一人は人権派の弁護士として有名な安田好弘氏である。彼はバブル後の「不良債権回収」という国家の大きな動きの中で生まれた生贄のひとりとなり、検挙され、特捜検察との対決に至っていく。魚住氏が描く安田氏側弁護団と検察の闘いは息を呑むものがあった。
とまあ素人ながら宣伝してみた感じになりましたが、要は非常に面白いのでお薦めです。また今後は陪審員制度などで法律(というか法廷)と関わる機会が我々民間時にも増えてくる訳なので、それに備えた準備としても良いかもしれません。