
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 文庫
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「世にも美しい数学入門」を先に読んでしまいましたが、文庫化を機にこちらも購入。読んでみて分かったが、小川氏は数学の美しさに本当に魅せられたのだろう。
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映画にもなっているし、登場人物やストーリーは言わずもがなだからここでは書かない。読後感は穏やかかつ爽やかで、「もうダヴィンチ・コードでドキドキするのが体に辛いのよねー」と感じる年齢層が上の方でも大丈夫。数学、限定すれば整数論の知識が少しあるとより楽しく読書が出来るがなくても構わない。物語中に出てくる「オイラーの公式」について詳しく知りたい方は「オイラーの贈物―人類の至宝eiπ=-1を学ぶ (ちくま学芸文庫)」をお奨めします。僕現在鋭意勉強中です。
しかしながら、この物語がつまらないという意味ではないが、本書が100万部を突破する大ベストセラーになったというのは不思議な気がする。
本屋大賞受賞、2006年1月の映画化の影響をうけ、2005年12月に文庫化(ISBN 4-10-121523-5)されるやいなや新潮文庫では史上最速の2ヶ月で100万部を突破した。
なんと言えばいいか、マスマーケットにどかっと売れるようなタイプの話と思えなかったのだ。「本屋大賞」というリリーフランキーの「東京タワー」の火付け役にもなった賞の第一回目の受賞本らしいが、どうもリアル本屋の「ネット本屋に負けてなるものか」的な対抗意識からこのヒットが生まれたように思う。
本屋大賞(ほんやたいしょう)とは、2004年に設立された、本屋大賞実行委員会が運営する文学賞。書店員が最も推奨する本を選出し、出版市場と業界の活性化を目的としている。他の文学賞と大きく異なる点として、選考資格者が「新刊を扱う書店(形態を問わない)の書店員のみである」という事が大きな特徴である。
こういった賞を無理やりにでも確立し、リアル書店全体で大きなマーケティングを展開した結果「まだまだリアル本屋にはこんなに本を売る力があるんだ」と出版業界にアピールした形になっている。前にも書いたのだが、リアル書店には頑張って欲しいと思っている。ただあまり、「作られたヒット商品」なんじゃないかと思ってしまうほどの大袈裟なマーケティング活動は、「しらけ」も同時に生み出しかねないことには注意を払って欲しいと思う。ちなみに本書はamazonで購入。