
ウェブ2.0は夢か現実か?―テレビ・新聞を呑み込むネットの破壊力 (宝島社新書)
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2006/08
- メディア: 新書
- クリック: 62回
- この商品を含むブログ (39件) を見る
ネットに住んでいる人なら肌で感じていることと思うが、Winny、Skype、Google News、Open Sourceなど、ホンの10年前には皆が当たり前だと思っていた概念を突き崩すような技術や方法論がいまや世の中を席捲し、大変化を起こそうとしている。本書は話題になった新書「Google」の著者である佐々木俊尚氏にが、その大変化の予兆を纏め上げた記事集である。
—–
読後感ですが、まずこのタイトルは適切でないかな、と思った。なぜなら著者の佐々木氏は、ウェブ2.0なる新しい動きは避けようのないムーブメントであり、これが既に「現実」であるということは認識しているからだ。後はこの動きから生まれる変化が最終的に人間にとってどのような変化であるのか、二元論で語れば善なのか悪なのかというところに著者の最大の関心があると思われ、「ウェブ2.0という現実は善か悪か」というようなタイトルの方がすっきりする内容かと思う。
またWEB2.0ムーブメントとは直接関係ないが、いつの時代も若者は旧世代と違うものとして扱われるが、現代の若者が持つその違いというのは「ネット」というものから由来する違いである場合も多いと思われ、そういった背景から新しいネット人間とでも言うべきな人物が生まれてきており、著者はそうした新世代と旧世代の違い、また新世代の人間が運営する企業と旧世代の人間が運営する企業の違いといったものも取り扱っている。電話でもテレビでも飛行機でも、いつの時代も技術革新というのは人間の在り方を変えてしまうものだが、ここに来てインターネット、つまりウェブが人間にもたらす影響を考えさせる本が出版されている。代表的なのはid:umedamochio、id:keiichirohiranoによる「ウェブ人間論」ということになると思うが、今後社会学系、人文学系の学者が取り扱うテーマとなっていくかもしれない。その辺の動きも注視できればと思う。