二十代は模索のときブログ」カテゴリーアーカイブ

消費者が正しいということは…

生意気にも[経済]というカテゴリを作ってみた。勿論経済学の「け」の字も知らない人間であるが、興味はある。技術畑の人間であるし、学問としての経済学を学ぼうというのではなく、単に「世の中どうなっているんだろう」という科学に持っているような興味で経済を見ていきたい。あと読書禁止中でもあるし、ネット上で気になる情報があったらそれについて考える、というやり方で[経済]カテゴリのエントリを増やしていきたい。
さて、米国の著名な経済学者であるPaul Krugmanが以下のようにブログに書いていた。

OK, not really. But the plunge in consumer confidence in recent weeks is pretty startling. The chart below shows the University of Michigan index; consumer confidence is now lower than it ever was during the 2001 recession and aftermath, and close to its worst levels during the early 90s, when the unemployment rate went well above 7 percent.

The consumer is always right – The New York Times

consumer confidence(ここによると消費者信頼感と訳すようだ)が2001年の不況時の値を下回ってしまったのこと。この状況自体について述べる言葉を僕は持たないけれど、気になるのがこのconsumer confidenceという指標。消費者はそれぞれ自分の経済状況に不安を抱えていたり、楽観してたりするのだろうけど、その感覚というのはほぼマスコミの報道によって形作られるものだろう。例えば毎年家計簿を付けていて、一、二年前の家計と現在の家計を比較したりしているマメな消費者が「家計が不安」という事もあるかもしれないが、いきあたりばったりで消費を行う(例えば僕もそうなのですが)人間が漠然と抱く「不安」にどれだけの意味合いがあるだろうか。勿論消費者のこの「感覚」がそのまま消費に関連するので、そういう意味では重要な指標なんだろうけど、結局マスコミの報道がどれだけ消費者の気持ちを動かしたのか、ということを計っているだけに過ぎない気がする。Paul Krugmanが「not really」と言っている理由もこの辺りにあるのだろうか。いや、よく分からない。
う〜ん、なんか稚拙極まりないエントリになってしまった。お許しを。

コーヒーチェーン店雑感

先日GIGAZINEでマクドナルドのコーヒーが人気だという趣旨のエントリがあったが、元記事を見てみると勝負の決めてはやはり100円*1という値段の様子。先日噂を聞きつけて早速飲んでみたけれど、一昔前よりも味がかなり改善されており、「これでワンコインなら」と納得。忙しい早朝にはワンコインで買える手軽さというのもかなり重要。持ち歩く人にはカッコ良くなったカップも嬉しい。
逆に最近久しぶりに入ったけれど、善くも悪くも味や店内の雰囲気が昔のままだったのがカフェ・ベローチェ。喫煙が可能な店舗は愛煙家にとっては憩いの場として貴重かもしれないが、正直いまの職場の近くにある店舗ではレジで持ち帰り用のコーヒーを買っているわずかの間でも目眩がしてくるほどモクモクしていた。コーヒーの味もいまいちと感じたし、隣にマクドナルドがあれば必ずそちらで買ってしまうだろうと思う。ベローチェは覆面調査ランキングで最下位に選ばれてしまったようだが、外資に対抗する国内コーヒーチェーンのひとつとして、是非コーヒーや店舗の改善に取り組んでもらいたいと思う。いちコーヒー好きとして。
ちなみにチェーンと言う程の店舗数がないのだが、僕のお勧めはAUX BACCHANALESというカフェ・レストランのコーヒー。ここも値段は易く、Lサイズがスタバでいうトールくらい*2で210円で売っているのだが、味が素晴らしい。冷めてもあまり味が落ちない不思議なコーヒーは、毎朝の一杯に非常に適している。お近くに店舗がある方は是非お試しあれ。

*1:Mサイズなら200円です。

*2:もしくはそれより少し大きいかもしれない。

クリック数で判断するのは間違い?

A study put out yesterday by comScore, Starcom Media, and Tacoda suggests that half of all clicks on display ads (as opposed to clicks on paid search links) are generated by only 6 percent of Web surfers.

And these are not a particularly desirable bunch. The average heavy clicker is 25 to 44 years old, earns less than $40,000 a year, spends a lot of time online but not a lot of money online, and likes to frequent auctions, gambling sites and job boards. Sounds like a lot of these heavy clickers are out of work and have nothing to do. But who did you think clicked on those ads anyway?

Half Of All Clicks On Display Ads Are Worthless – TechCrunch

WEB広告のクリックの半分は価値が薄いという話。それらはWEB利用者の中の6パーセントの人間によって行われるクリックで、大抵は25から44歳で、年収が4万ドル以下、たくさんの時間をWEB上で消費するけどもお金を消費する訳ではない、とのこと。だからクリック数をカウントしてもあまり意味がないんじゃないのかな、と。
僕は実際に広告をクリックしない。感覚論で言っていいなら、クリックをたくさんするという人間はそういないであろう。以下のように似た様な意見がちらほら。

だけど、僕はWeb使用暦も長いけどWebの広告をクリックして商品を購買したことは一度もない。広告に出てるサイトと同じところに行くとしても、なぜか検索結果の方から辿っていってしまう。

nomushun’s Blog : 無料サービスにとっての利用者の存在とは?(3) – livedoor Blog(ブログ)

僕はネット広告をクリックすることがほとんど無いし、まわりのヘビーユーザもほとんどがそうらしい。自分はクリックしないのに、1パーセント前後のユーザがクリックすることを前提にページビューや広告料を概算したりもする。ではクリックするのはどんな人か?

誰が広告をクリックしているのか? | 秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログ

だがWEBの広告は雑誌やTV等のマス広告と違い、仕組みさえ作ってしまえば「どこかの広告を見て商品を購入した」というのが分かるという特性がある(例えばAmazonのアフィリエイト)。
クリック数をカウントする事にあまり意味はないかもしれないが、どこのサイトでどれだけの売り上げがあったのかを判断出来る可能性がある以上、効果測定に関して言えば従来のマス広告とは一線を画した存在であるだろうとは言える。このあたりは技術屋さんの仕事か。

特例の扱いが上手いアメリカ

米国では科目別に飛び級制度があって、数学と科学で飛び級しました。この仕組みのよいところは、飛び級クラスは1年の3分の1の時間を使って、自分の関心のある分野の研究をしてよいことです。この時間を使ってCGの勉強ができたのです。ある意味「有効に機能したゆとり教育」だったと思います。

テクノロジー : 日経電子版

記事の見出しが若干煽り気味ですが、これはゆとり教育の話とはほとんど関係なく、どちらかと言うと「なんてアメリカという国は特例の扱いが上手いのだろう」と関心すべき記事であるように思う。
アメリカは本当に例外的に能力のある人間の扱いが上手いというのは僕の印象だし、多くの人の印象でもあるのではないか。扱いが上手いというよりは、能力のある人が爆発的にその能力を発揮する為の障害が少ない国だと言える。逆に言えば均質に人や物事を扱うのが得意ではないため、例えば日本の様に横並びで扱ってあげればそこそこの能力を発揮出来た人間を、アメリカ的なやり方では駄目にしてしまうといったことも多々あるだろう。このようなメリットとデメリットをしっかりと把握した上で、日本の教育のあり方について考えるべき。この記事はその議論の為に良い材料と言える。
プログラムとかソフトウェアの開発というのは、一人の人間が多くの能力を発揮するのに適した領域であるが故、百人の組織された凡人に、一人の自由な天才が勝ってしまうというような現象が起こり易い領域だと僕は思っている。それ故アメリカの例外的に能力のある人間を伸ばすというやり方が、アメリカのソフトウェアの競争力の強化に繋がり、ひいては経済の牽引力とまでなっているのではないだろうか。

英語の本を読んでみたいという方にお勧めの書籍

敢えてノンジャンルで、過去に読んだ洋書をいくつか推薦してみる。「英語で本を読んでみたい」と思う方は結構いると思うが、中々踏み出せないというのがありがちなパターンだと思う。そんな方の背中を一押し出来ればと思います。おそらくどの本も和訳が販売されているのではないかと思うので、分からない部分があったり、飛ばしてしまった部分があったりすれば、和訳版で補完するという手もある。お金は二倍かかってしまうが。

The Google Story

The Google Story: Inside the Hottest Business, Media, and Technology Success of Our Time

The Google Story: Inside the Hottest Business, Media, and Technology Success of Our Time

Googleの誕生から成功までを描いた本。IT系の人であれば、知っている話が多いのではないかと思うので読み易いと思う。既に知っている話を英語で読む、というのは以外といい勉強になると個人的には思っている。

Only The Paranoid Survive

Only the Paranoid Survive: How to Exploit the Crisis Points That Challenge Every Company

Only the Paranoid Survive: How to Exploit the Crisis Points That Challenge Every Company

Intelの創業者のひとりであるAndrew S.Groveの著作。変革の時代を生きる者への提言としての内容の素晴らしさは折り紙付きだけど、それプラス英語表現が非常に平易、かつそこまで分厚い本ではないので、ビジネスパーソンが初挑戦する英語本にはぴったりではないかと個人的には思っている。

Harry Potterシリーズ

Harry Potter and the Sorcerer's Stone

Harry Potter and the Sorcerer’s Stone

実は結構ハリー・ポッターが好きだったりする。残念ながら書籍は四作目のThe Goblet of Fireまでしか読んでいないのだが、すべて英語で読んだ。やっぱり面白いし、先が気になる素晴らしい展開を見せたりするので、英語本に楽しく挑戦したいのであれば良いきっかけになるかもしれない。しかし児童推薦図書だからといって、英語の表現が凄く平易であるという訳ではないのでご注意。

Anger-Free

Anger-Free: Ten Basic Steps to Managing Your Anger

Anger-Free: Ten Basic Steps to Managing Your Anger

ちょっとイライラしたり、怒りっぽかったりする自分に悩んでいるときに購入して読んだのだけど、英語表現が非常に分かり易くて読み易かったのを覚えている。本自体も薄いのでとっつき易いし、内容は誰にでも身近な怒りを扱ったものだ。もしイライラで悩んでいる方で、かつ英語を勉強したい方には丁度いいかも(笑)

見晴らしの良い丘から何が見えるか

突然の話になるが、この2月末で現在勤めているソフトウェアベンチャー企業を退職し、来月から新たな場所で再びソフトウェアの開発に関わる事となった。いわゆる転職である。現在勤めている企業では開発技術や開発プロセスといった直接的なこと以外にも、多くの人がひとつのソフトウェアを開発することの難しさであるとか、新人をどのように育てていくべきなのかという貴重な考察や、どういったエンジニアがどういう仕事に向いているとか向いていないとか、ソフトウェアの開発にはどのような組織で挑めばいいのか等、とにかく様々な事を学んだように思う。非常に実りのある5年間であったと思うし、そのような5年間を僕に与えてくれた関係者にはこの場を借りて感謝の意を表したい。

ドメスティックに事業を進めている現在の企業での職とは違い、次の職では海外のエンジニアと協力して開発を進める必要があり、かつ企業自体もグローバルに事業展開している為、嫌でも世界標準を意識する必要が出てくると思う。そしてそれを次の5年間の目標としたいと思っている。つまり簡単に言えば「世界に通用するエンジニア」になることが目標である。新しい職場では新しい事を身に付ける必要は当然あるだろうし、それにプラスして今現在自分が出来ることを、世界を相手にして出来る必要があるということになる。それは簡単な例ではコーディングのコメントやメールを英語で書く必要があるとかそういう事だし、別の例では日本人相手なら説得出来るような内容でも、中国人やインド人やアメリカ人でも説得出来るとは限らないので、それを彼らに通じるロジックで説得する必要があるとかそういう事である。

以前にid:umedamochioのブログで以下の様な文章が紹介されていた。次の職場はまさに僕にとってバンテージポントになるのではないかと思う。いや、そうしたいと思っている。

世界で何が起ころうとしているのかが見える場所に行け。シリコンバレーなら、まずはGoogle。GoogleがダメだったらApple。いや Yahooかな。Oracleだっていい。シアトルならMicrosoftだな。こういうところは皆、「a great vantage point」((見晴らしのきく地点、よい観戦場所)なんだ。そういう会社で職を得れば、世界でこれから何が起ころうとしているかが皆見える。the next big thingが来たとき、そこに陣取っていれば、見ることができる。

これは本当に実感のこもったいい言葉だ。短いながら、真実をついている。

若者はバンテージポイント(有利な場所)でキャリアを磨け:梅田望夫・英語で読むITトレンド – CNET Japan

別に5年後にまたどこかに移ろうとかそういう意図がある訳ではないが、5年後にまた何か大きな流れが起こっているとして、そこに参加出来ない様なエンジニアではありたくないし、理想を言えばそこに参加してもらいたいと他者から誘われるようなエンジニアでありたい。
見晴らしの良い丘から何が見えるのか。そもそも本当に見晴らしは良いのか。それを確かめる為にも、とにかく全力で丘を駆け上がらないといけない。

Kai-Fu Leeの講演

こちらでGoogle Chinaの社長であるKai-Fu Leeが彼の母校であるカーネギーメロン大学で先日行った講演が紹介されていた。かなり興味深い内容であったので、こちらでも紹介したい。紹介して下さったshimaさんは実際にカーネギーメロン大学に留学中のようであるが、日本にいる私たちでも同じ講演を簡単に観る事が出来るなんて本当にいい時代なんだろうな、と思う。

講演は一時間に及ぶものですが、普段あまり考えることのなかったことを色々と気づかせてくれる内容でした。特にアメリカ人と中国人ではインターネットに対する姿勢がまったく違うという内容は興味深い。姿勢が違えば市場も違う訳で、長期的な視点で中国については考えたいとEric Schmidtも言っていたようだが、中国市場である程度のプレゼンスを得る為にはまだまだ時間がかかりそうである。

才能がある奴ほど安い

リファクタリング本などの執筆で有名なMartin Fowlerが、CheaperTalentHypothesisという面白いタイトルでBlogエントリを書いている。なかなか興味深いのでご紹介。タイトルを意訳すれば「才能があるほど奴ほど安いという仮説」てなところだろうか。

Although the technorati generally agree that talented programmers are more productive than the average, the impossibility of measurement means they cannot come up with an actual figure. So let’s invent one for argument sake: 2. If you can find a factor-2 talented programmer for less than twice of the salary of an average programmer – then that programmer ends up being cheaper. To state this more generally: If the cost premium for a more productive developer is less than the higher productivity of that developer, then it’s cheaper to hire the more expensive developer. The cheaper talent hypothesis is that the cost premium is indeed less, and thus it’s cheaper to hire more productive developers even if they are more expensive.

CheaperTalentHypothesis

要するにあるプログラマの生産性(これを計ることは非常に難しいことだが)が平均より何倍かあるとして、そのプログラマに払う給料がその「何倍」よりも下だったら、結果的に安い買い物だということ。これは以前にLisp HackerのPaul Grahamも同じことを言っている。

経済的には、この事実は重要な意味を持つ。素晴らしいハッカーに、彼の価値相応のものを支払う必要が無いということだからだ。凄腕のプログラマは普通のプログラマの10倍から100倍生産的かもしれないが、普通のプログラマの3倍も給料をもらえばラッキーだと思ってくれるだろう。

Great Hackers

またMartin Fowlerが以下のように言っているように、生産性の高い少数精鋭のチームには、チーム内のコミュニケーションコストが大きなチームに比べて少なくて済むという大きなメリットもある。これは大規模なソフトウェアの開発に携わったことのある人間ならすぐに理解出来る話だ。Martinの感覚的な数字では、生産性はチーム人数に比して対数的に増加するとのこと。つまり人を4倍に増やすと2倍の生産性が得られるということだ。

The trouble is that that assumption assumes productivity scales linearly with team size, which again observation indicates isn’t the case. Software development depends very much on communication between team members. The biggest issue on software teams is making sure everyone understands what everyone else is doing. As a result productivity scales a good bit less than linearly with team size. As usual we have no clear measure, but I’m inclined to guess at it being closer to the square root. If we use my evidence-free guess as the basis then to get double the productivity we need to quadruple the team size. So our average talent team needs to have forty people to match our ten talented people – at which point it costs twice as much.

CheaperTalentHypothesis

アメリカのソフトウェア企業の給与体系がどのようなものになっているかは知らないが、彼らが生産性の高いプログラマを集めることができ、「その生産性に見合っているがその生産性ほどではない給料」を支払うことに成功しているとすれば、彼らがソフトウェアやインターネットの世界を席巻するのは当然とも言える。そして横並びで物事を扱うことに長けている日本が遅れをとってしまうのも、もしかすると当然の事なのかもしれない。
ちなみに以前開発チーム内で以下のリファクタリング本を輪読したのだが、かなり為になったのを覚えている。「そんなの当たり前だよね」という話も数多く載っているのだが、それが現実にはあまり守られていないのというのもこれまた事実であり、コード書きとして身を引き締める為にもいい読書でした。

リファクタリング―プログラムの体質改善テクニック (Object Technology Series)

リファクタリング―プログラムの体質改善テクニック (Object Technology Series)

  • 作者: マーチンファウラー,Martin Fowler,児玉公信,平澤章,友野晶夫,梅沢真史
  • 出版社/メーカー: ピアソンエデュケーション
  • 発売日: 2000/05
  • メディア: 単行本
  • 購入: 94人 クリック: 3,091回
  • この商品を含むブログ (312件) を見る

追記

引用したエントリの日本語訳がアップされていましたので、追記します。

デザイン変更&初お絵描き

言わなくても見れば分かることですが、ブログのデザインを変更してみました。ついでに初めてのお絵描きにも挑戦してみました。絵を描く程に直感的な事もこの世には少ないと思います。実に近藤社長らしいアイデアですね。
ブログのデザインを変えるのは、どこか髪型を変えるのに似ているようで、新たな気持ちに身が引き締まります。

英語関連エントリまとめ

今までに書いた英語関連のエントリを纏めてみました。昔書いたものを読むと拙い文章だったり、やたら頑張った文章だったりするのが何とも気恥ずかしいが、自分の大切な思考の過程をここらで一度俯瞰しておくのは良いことだろう。